グローバリズム グローバリズムの概要

グローバリズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 18:50 UTC 版)

解説

関連語として「グローバリゼーション」「グローバル化」があるが、「グローバリゼーション」「グローバル化」は現象を指すのに対して、「グローバリズム」はグローバリゼーションを推進する理念を指す。 「グローバリズム」という語は1992年以後に使われるようになったが、歴史的には何度も見られた傾向である。19世紀から1945年までの欧米列強による帝国主義植民地主義もグローバリズムの一種であるが、三国以上の列強の勢力圏で閉じた経済活動を行うブロック経済であった。英語では、イギリス世界(グロブブリテン)を中心とした世界構築という意味合いが含まれる。

冷戦時代の1970年代には、国際決済が一気にオンライン・グローバル化。

1992年元日ソビエト亡き世界が到来した後は、アメリカ合衆国の無比の軍事力を背景とした世界の画一化や、新自由主義(アメリカ流の無規制資本主義)を指す事が多い。これは、しばしば各国独自の伝統慣習と衝突するため、反米主義者などからしばしば、「グローバリズムはアメリカニズムでありアメリカ帝国主義だ」として嫌悪される。

1999年11月30日WTO抗議デモを嚆矢にして、国際会議などで反グローバリズムのデモが行われることがある。

功罪

グローバリズムは、多国籍企業による市場の寡占もしくは独占固定化に至る確率が高い。例として、参入に巨額の資金が必要な半導体製造等の業種は、リスクが高く新規参入が困難であることから、多国籍企業による市場寡占独占固定化の可能性が高くなる。参入が困難な業種ほど寡占独占固定化が進むと予測される。

グローバリズムによる相互依存が高まると、原油を初めとする資源価格高騰によって、持てる者である資源国がますます富み、無資源国が高値で資源購入を余儀なくされる状況が深刻化する。一部の多国籍企業による国際市場の寡占・独占固定化が強まると、資金・資本に乏しい国家からの企業の参入は極端に不利となる。

国内産業が多国籍企業に支配された低開発国は、先進国から国際援助を受けても資金が国内産業に回らずそのまま国外に流出し、低開発国からなかなか離陸できない。無資源国で有力な産業が少なく、国外市場参入もできない国は世界を一つの市場として共有するメリットは無いため、グローバリズムの市場共有を放棄する可能性も生ずる。

逆に、ソフトウェア産業等のようにわずかの資金で参入でき、1人の人間のアイデアが大きく生かされる業種は、多くの雇用がアウトソーシングの形で先進国から開発途上国に流れており、世界的な産業規模の拡大が続いている。

ロシア中国インドの急速な台頭による多極化や、経済面での地域統合の動き(南米の南の銀行、ヨーロッパのユーロ通貨など)により、今後グローバル化の動きは相対的に後退し、世界のブロック経済化が進んでいく可能性もある[誰?]

識者の見解

日本工業大学大学院の横田悦二郎教授は、グローバリズムの進行で水平分業が進んでいると指摘している[3]

関岡英之は、アメリカをグローバルリズムの本家本元と言い、グローバリズムについて、米国シカゴ大学発の一つのイデオロギーに過ぎないもので、普遍の真理でも、歴史の必然でもないとし、東北地方唯一の政令指定都市ですらチャイナマネーに手を出さなければならないほど追い詰められていた状況を例に挙げながら、小泉構造改革が、日本にグローバリズムの弊害をもたらしたと主張している[4]

藤井厳喜は、オバマ大統領就任直後のアメリカは、グローバリズムにより、グローバル企業は儲かっているが一般国民の7人に1人が貧困層となり、「多国籍化したアメリカ大企業の利益と一般国民の利益が相反するようになり、両者が鋭く対立するようになったのが、最近(2014年)のアメリカ政治の特徴である。」と指摘している[5]

三橋貴明は、韓国中国は共に、グローバリズムが進んで組み込まれた国であり、共にグローバリズムの問題を抱えているとしている[6]

漫画家小林よしのりは、「規制改革を中心とする小泉路線の頃から、新自由主義・グローバリズムで日本の国柄を破壊する政治家が、靖国参拝によってナショナリズムを喚起し、それを帳消しにする形が生まれた」と指摘している[7]

日本でも、徐々にグローバリズムを押し広げるグローバル資本主義人為的に推進する動きが見られている。[誰?]

経済学者の伊藤元重は、「反グローバリズムの運動は、新たな保護主義のあらわれと見ることができる」と指摘している[8]

経済学者の野口旭は、「反グローバリズム派によるグローバリズム批判は、国内経済・地域経済の自律性を確保すべきという性質を持っている[9]」「世界中の根強い『反グローバリズム』の根底にあるのは、自国の経済が貿易という捉えどころの無いものによって変えられていく嫌悪感なのかもしれない[10]」と指摘している。

経済学者の八代尚宏は、「若者の雇用機会減少や賃金格差の拡大を改善するためには、政治的圧力のみならず、市場の活用を推進するべきである。世界的に貿易が拡大する中で、労働生産性・賃金の差の拡大が生じている。反グローバリズムを唱えても、世界の潮流から取り残されじり貧になるだけである」と指摘している[11]


  1. ^ 『知恵蔵2007』朝日新聞出版 
  2. ^ 『広辞苑第六版』岩波書店
  3. ^ 中国企業が日本企業を続々買収 1000人規模の中堅企業は注意 NEWSポストセブン (2011年2月15日)
  4. ^ 『目覚める日本―泰平の世は終わった』 〜 第6章 「改革」は誰の為のものだったのか-グローバリズムというプロパガンダの欺瞞- 別冊正論(2007年7月発売号)
  5. ^ 【藤井厳喜のアメリカ・ウォッチング】【オバマ米国の大豹変!】反グローバリズム連合誕生 企業と大衆の利益が対立藤井げんきオフィシャルサイト 夕刊フジ (2011年2月14日)
  6. ^ 中韓経済共通の闇 搾取と競争強いられ、外国逃亡する国民 三橋貴明氏[リンク切れ] ZAKZAK (2014年5月7日)
  7. ^ 小林よしのり氏 安倍参拝で天皇の靖国ご親拝遠のくと問題視 NEWS ポストセブン (2014年2月4日)
  8. ^ 伊藤元重 『はじめての経済学〈上〉』 日本経済新聞出版社〈日経文庫〉、2004年、頁。
  9. ^ 野口旭 『グローバル経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2007年、44頁。
  10. ^ 野口旭 『ゼロからわかる経済の基礎』 講談社〈講談社現代新書〉、2002年、204頁。
  11. ^ 日本経済新聞社編 『経済学の巨人 危機と闘う-達人が読み解く先人の知恵』 日本経済新聞社〈日経ビジネス人文庫〉、2012年、66頁。
  12. ^ 米国民、国際問題で米国の役割縮小求める=WSJ/NBC調査 ウォール・ストリート・ジャーナル[リンク切れ](2014年4月30日)
  13. ^ 安倍内閣総理大臣記者会見(2006年9月26日)
  14. ^ アベノミクス第三の矢「成長戦略」、どうして中身が見えにくい?[リンク切れ] THE PAGE (2014年5月2日配信)
  15. ^ グローバル化へ5原則 諮問会議の民間議員が提言 日経新聞 (2013年5月15日)


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