グルタミン酸 生合成

グルタミン酸

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/09 07:51 UTC 版)

生合成

クエン酸回路の一員である2-オキソグルタル酸が、グルタミン酸トランスフェラーゼの作用により他のアミノ酸からアミノ基転移を受けることで合成される。

あるいは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ (EC 1.4.1.3) による、グルタミン酸の2-オキソグルタル酸とアンモニアへの分解反応の逆反応により合成される。

L-glutamate + H2O + NAD(P)+ → 2-oxoglutarate + NH3 + NAD(P)H + H+

存在

コンブチーズ緑茶などに大量に含まれるほか、シイタケトマト魚介類などにも比較的多く含まれていることが知られている。

利用

主に、食品添加物であるL-グルタミン酸ナトリウム(グルタミン酸ソーダ、mono sodium glutamate、MSGあるいはグル曹とも呼ばれる)の中間原料として製造、利用される。グルタミン酸そのものは酸味を持つため、そのナトリウム塩であるグルタミン酸ナトリウムが調味料うま味調味料)として利用されている。L-グルタミン酸ナトリウムを主成分とする調味料として、日本では味の素などがよく知られている。昆布等からのグルタミン酸の抽出には水に含まれるミネラルが悪影響を及ぼすので軟水の使用が望ましい[1][信頼性要検証][2][信頼性要検証][3]

製法

現在ではグルタミン酸は工業的に生産されている。2005年には世界で約 170 万トン、年率で3 - 4 %の増産が見込まれていた[4]。用途によっていくつかの製法が併存するが、アミノ酸発酵によるものが最も生産量が多い。

加水分解法

グルテン、大豆蛋白などの植物性タンパク質に、塩酸を加えて高温のもとで加水分解すると、グルタミン酸の塩酸塩が得られる。かつては小麦粉グルテンを使っての製造が行われていたが、現在は用いられない。

抽出法

テンサイから甜菜糖を作る過程で出る廃糖蜜には、約3%程度の遊離グルタミン酸が含まれるので、ステファン法によって抽出すれば利用可能であり、1930年代には工業化されたが、コストが高いことと、廃棄物が多く出ることから、現在は用いられない。

化学合成法

アクリロニトリルを原料に、カルボキシル化、シアノアミン化、加水分解によってグルタミン酸のラセミ体が得られる[4]。3つの反応行程が必要で、需要の多いL-グルタミン酸だけを生産できず、これをさらに分離する行程が必要になる。また、異物混入事故による健康被害、発がん物質、製造過程で発生する公害など、化学合成物を食品添加物として利用することへの不安を払拭できず[4]需要拡大には至らなかった。

酵素促進合成法

生合成にも使われているグルタミン酸デヒドロゲナーゼや、アミノトランスフェラーゼ、グルタミン酸合成酵素などの酵素補酵素の作用によって、それぞれ異なる原料から製造する方法もある。

アミノ酸発酵法

細菌、酵母などの微生物のアミノ酸代謝を人為的な変換により過剰に産生させ体外に排出蓄積させる技術をアミノ酸発酵という。1955年、協和発酵(現・協和発酵バイオ)の木下祝朗、鵜高重三らがグルタミン酸生産菌を発見し、発酵法による工業的な生産技術を翌1956年に世界に先駆けて軌道に載せた[5]。原料の糖蜜粗糖糖液の調達コストの兼ね合いから生産のほとんどは海外で行われている。

神経伝達物質と興奮毒

グルタミン酸は、神経系では、興奮性神経伝達物質の一つであり、記憶・学習などの脳高次機能に重要な役割を果たしている。他方、グルタミン酸は、神経系では、内因性興奮毒としての性質を持ち、細胞死、パーキンソン病抑うつなどの神経症に関わっている[6]大脳皮質でグルタミン酸は脳虚血などの病的状態においては神経毒として作用し、神経細胞の壊死を起こすことが知られている[7]

最近、トリプトファン代謝産物であるキヌレン酸脊髄においてNMDA型グルタミン酸受容体に作用しグルタミン酸に拮抗することが報告されており、脳内でグルタミン酸の興奮毒性の抑制に重要な機能的役割を担っていることが想定される[7]。なお、グルタミン酸は、血液脳関門を透過しないので、循環系から脳に供給されることはない[6]が、グルタミンは通過する。






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