グアム 政治

グアム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/26 03:54 UTC 版)

政治

アメリカ準州

アメリカ合衆国準州であり、国家元首アメリカ合衆国大統領。なお住民は大統領選挙の投票権を有していない。ストローポール(擬似投票)が行われるが、選挙結果には反映されないため、事実上の植民地という意見もある[11]

1968年以降は公選によって選ばれた知事が内政執行にあたる。グアム議会が形成されており、議会は立法院のみの一院制1972年以降、合衆国議会下院に、本会議での議決権のない代表を1名選出している。自主憲法草案が上程されたが、1979年の住民投票で否決された。現在でも国際連合非自治地域リストに掲載されている。

新型コロナウイルス感染症の発生時には、アメリカ政府からグアム政府に弔慰金が支払われるなど、一定の配慮があった[11]

コモンウェルスへの昇格運動

隣接する北マリアナ諸島信託統治を経て1978年に実質的なコモンウェルス(準州)となったことを受けて、グアムでは1980年代から1990年代前半にかけて、プエルト・リコ北マリアナ諸島と同様の自治のレベルを付与したコモンウェルスに向けた重要な推進運動があり、1982年には住民投票を実施してこの方針を決定した。 しかしながら、連邦政府はグアム準州政府の提案したコモンウェルスへの変更を拒否し、理由として改正案の条項がアメリカ合衆国憲法の領域条項(Territorial Clause , Art. IV, Sec. 3, cl. 2)と両立する内容ではないことを挙げた。加えて連邦政府との折衝に6年もの時をかけ、(The Draft Commonwelth Act of 1988)を提出し本格的な交渉を開始したのは1988年であった。

これに対して運動は徐々にアメリカ本国からの政治的独立、国家としての独立、唯一の独自領土として北マリアナ諸島との連合、或いは現在合衆国の一州となっているハワイとの連合に軸足を置きつつある。一方で、中島洋のように、コモンウェルスが外交権を持たないことや、独立した場合の財政援助面での不利、連邦政府・議会との交渉を通じて内政での自治権を徐々に拡充しつつある点などを挙げて否定的に見る向きもある[12]

2003年より2011年1月まで2期に渡りフェリクス・カマチョが知事を務めたが、カマチョは北マリアナとの連合を目指していた。

軍事

アプラ港内のアメリカ海軍潜水艦

アメリカ合衆国が全面的に防衛権を持つ。このために土地を収用することもできる。島の面積の13アメリカ軍用地が占めている。グアム島は、日本列島および南西諸島朝鮮半島台湾南沙諸島フィリピンインドネシアオーストラリアとあらゆる場所に緊急展開できる戦略上の要地であり、アメリカ合衆国の準州でもあるので、西太平洋の礎石としてその価値を見出されてきた。また軍事施設があることからアメリカ政府からの補助金が入るほか、多くの雇用が生み出されている[11]

しかし、冷戦終結に伴って在グアム米海軍基地整理縮小計画が立てられ、1990年頃にはアメリカ海軍航空隊の基地がグアム国際空港からアンダーセン空軍基地に移設され[12]、1997年9月には艦船修理施設(Ship Repair Facility)が海軍からグアム準州政府に移管されるなど1990年代は基地は縮小傾向にあった。

2000年、ジョージ・W・ブッシュ政権に変わって以降は、地球規模の米軍再編の影響で、世界戦略を見据えたグアム島の軍事拠点化を進めることになり、兵力の増強が順次実施されてきた。2004年には、グアム島周辺を調査した中国人民解放軍海軍漢級原子力潜水艦が、行き帰りに日本の領海侵犯を行った漢級原子力潜水艦領海侵犯事件が発生した。

島の北部には、3,000m級の滑走路が2本あるアンダーセン空軍基地が存在する。ここには現在、常駐する戦闘機部隊は存在していないが、しばしば他基地の機体が飛来する。おもにB-52B-2といった戦略爆撃機が配備されており、極東有事の際には、アメリカ本土やハワイなどから前線派遣された航空部隊の重要な出撃拠点になる。

島の西部には、アメリカ海軍も使用しているアプラ港があり、ロサンゼルス級原子力潜水艦が事実上の母港としており、将来的にはオハイオ級原子力潜水艦も配備される予定である。これらは第7艦隊隷下にある。

在日米軍再編の影響により、沖縄本島に駐屯しているアメリカ海兵隊7,000人がグアムに移駐する予定であり、キャンプ・フォスターから司令部も移転する予定である。この部隊の受け入れのための費用を日本国政府が59%負担することで、日米両政府が合意した。上記の基地移転には先住民の一部から反発が起きているが、かつてアメリカ軍基地が縮小された事で経済的に大きな打撃を受けたことや、アメリカからの補助金の増額も予想されるため[11]、大半の住民は基地・観光による経済的観点から、容認もしくは賛同している。


注釈

  1. ^ 英語発音はグワーム。「ア」を小書きし、「グァム」と表記することもある。発音もアが完全に抜け、「ガム」と行う場合も有る。
  2. ^ 「だいきゅうとう」が正式呼称であったが、一般には「おおみやじま」と呼ばれていたようである[独自研究?]
  3. ^ グアムのウマタック湾には、1930年代に建てられたマゼラン上陸記念碑がある。(中山京子「マリアナ諸島は「発見」されたのか?」/ 中山京子編著『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』明石書店 2012年 86ページ)
  4. ^ この占領期間に日本人はチャモロの人々を飛行場建設や稲作の労働などに強制し、日常生活でも束縛したとされる(中山京子「グアムが「大宮島」だった時代」/ 中山京子編著『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』明石書店 2012年 91ページ)

出典

  1. ^ 日本海軍は、島名を「大宮島」(おおみやじま)とし」とある。(中山京子「グアムが「大宮島」だった時代」/ 中山京子編著『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』明石書店 2012年 93ページ)
  2. ^ NOWData – NOAA Online Weather Data”. National Oceanic and Atmospheric Administration. 2012年11月17日閲覧。
  3. ^ Climatological Information for Guam, Pacific Islands, United States”. Hong Kong Observatory. 2012年11月17日閲覧。
  4. ^ 「日本から一番近い楽園」グアムが崩壊寸前 新型コロナ禍:時事ドットコム
  5. ^ a b c d Camacho wants Guam renamed "Guahan"KUAM. 2010-02-16.
  6. ^ “Governor Issues Executive Order Changing Island Name To Guahan”. Pacific News Center. (2010年2月16日). http://www.pacificnewscenter.com/index.php?option=com_content&view=article&id=3315:governor-issues-executive-order-changing-island-name-to-guahan&catid=50:homepage-slideshow-rokstories 2010年2月18日閲覧。 
  7. ^ a b c d e f g Tamondong, Dionesis (2010年2月16日). “Camacho: Name change will affirm identity”. Pacific Daily News 
  8. ^ a b c d e f g h i j k Limtiaco, Steve (2010年2月18日). “Residents mixed on name change”. Pacific Daily News 
  9. ^ José Antonio Saco. Colección de papeles científicos, históricos, políticos y de otros ramos sobre la isla de Cuba. 1859.
  10. ^ a b “GVB Reacts To Proposed Guam Name Change”. Pacific News Center. (2010年2月16日) 
  11. ^ a b c d e f g h i 「日本から一番近い楽園」グアムが崩壊寸前 新型コロナ禍”. 時事通信社 (2020年). 2020年12月27日閲覧。
  12. ^ a b 中島洋(太平洋学会専務理事)コモンウェルスを目指すグアムは? 『ミクロネシア講座』やしの実大学HP内
    (サイパン・ロタ・テニアン月刊情報誌『ハファダイ』1992年2月号からの転載HP)
    中島は執筆に当たり矢崎幸生『ミクロネシアの憲法集』曉印書館 1984年
    矢崎幸生「北マリアナは連邦制国家か」『太平洋学会誌第12号』 1981年 を参照している。
  13. ^ ミサイル計画 グアムに影 北朝鮮表明で邦人客38%減 東京新聞(2017年12月27日 夕刊) 2018年2月7日号閲覧
  14. ^ 泉正南「知っておきたいグアムのマグロ産業-米国マグナソン漁業保存管理法の改正-」『ミクロネシア』1997年4月No.105
  15. ^ 中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)第4回年次会合の結果について 日本国水産庁 2007年12月7日
  16. ^ "Private Schools in Guam." (Archive) Morale Welfare & Recreation Office, Guam (MRW Guam). March 19, 2012. p. 2 of 4. Retrieved on January 2, 2014. "170 Terao St, Mangilao, Guam 96913."
  17. ^ 中山京子「プンタンとフウナの物語」/ 中山京子編著『グアム・サイパン・マリアナ諸島を知るための54章』明石書店 2012年 81ページ
  18. ^ チャモロ料理について グアム政府観光局






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