クロロフィル 生体での役割

クロロフィル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/29 15:00 UTC 版)

生体での役割

光合成におけるクロロフィルの役割の概略。緑色で囲われた過程で光を吸収し、酸化還元反応を進行させる自由エネルギーへと変換する。

光合成において、クロロフィルは光エネルギーを効率よく吸収して化学エネルギーへと変換する、光アンテナとしての役割をもつ。植物の光合成でクロロフィルが光を吸収する過程は2段階あり、それぞれ PSI(光化学系I)および PSII(光化学系II)と呼ばれる。効率よく光を利用するため、PSIとPSIIでは利用する光の波長が異なる。

PSIIにおいて、クロロフィルa は光を吸収して励起され、励起電子を放出する。クロロフィルaから失われた分の電子は酸素に酸化することで補充する。

PSIIで発生した励起電子は電子伝達系に受け渡され、プロトンポンプを作動させてプロトン勾配を形成した後、PSIへと移動する。

PSIのクロロフィルa は光を吸収して励起電子を放出し、この電子はNADPHの生成に利用される。放出した電子はPSIIから移動してきた電子によって補充される。

これら光化学系の内外には、集光色素としてのクロロフィル分子が多数存在する。緑色植物では、クロロフィルaとクロロフィルbが主で、ケイ藻や褐藻などの二次共生藻では、クロロフィルcを含んでいる。

誘導体

クロロフィルの誘導体[11][12]

  • フェオフィチン - クロロフィルからマグネシウムを取り除いた物質
  • クロロフィリド英語版 - クロロフィルから側鎖(フィトール)を取り除いた物質
  • フェオホルビド - クロロフィルからマグネシウムと側鎖を取り除いた物質
  • ピロフェオホルビド
  • クロリン - ポルフィリンに似ている環状の骨格分子
  • 銅クロロフィル - マグネシウムの代わりに銅を配位したクロロフィル
  • クロロフィリン英語版 - クロロフィルから人工的に側鎖を取り除いた物質。構造はクロロフィリドに似ている

利用

食品からの摂取

ホウレンソウパセリレタスに比較的多く含まれている[13][14]

食品添加物

着色料として欧州および米国にて食品添加物として認可されている。E番号はE140およびE141(銅錯体)。日本では、銅クロロフィルと銅クロロフィリンNa塩が認可されている[15]

サプリメント

種類

クロロフィル系の栄養補助食品には植物性プランクトンなどの加工の程度によりいくつかの種類がある。

  • クロレラスピルリナなど植物性プランクトンそのもの。消化がよくなるように加工したものもある。
  • クロロフィルだけを抽出したもの。分子の構造上、側鎖が長いため疎水性が高い。
  • 抽出したクロロフィルをさらに水溶性が高くなるクロロフィリン英語版にまで化学的に変化させたもの。
錯体金属

クロロフィルおよびクロロフィリンでは錯体の金属を調整している製品もある。Na, Cu, Fe, Mg など製品により異なる。




  1. ^ N. Wakao et al., "Discovery of Natural Photosynthesis using Zn-Containing Bacteriochlorophyll in an Aerobic Bacterium Acidiphilium rubrum", Plant and Cell Physiology 37, 889-893 (1996)., doi:10.1093/oxfordjournals.pcp.a029029
  2. ^ 渡辺正、小林正美、「亜鉛クロロフィルをもつ光合成生物がいた!」『化学と教育』 1997年 45巻 p.456-457. , doi:10.20665/kakyoshi.45.8_456, NAID 110001840605
  3. ^ 銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム(横浜市衛生研究所 - 食品衛生情報)
  4. ^ a b Chen M, Schliep M, Willows RD, Cai ZL, Neilan BA, Scheer H., "A red-shifted chlorophyll." Science. 2010 Sep 10;329(5997):1318-9. doi:10.1126/science.1191127
  5. ^ 大久保智司 (2012). “新しく発見されたクロロフィルf”. 光合成研究 22 (2): 80-86. https://photosyn.jp/journal/sections/kaiho64-4.pdf. 
  6. ^ 目に見える光がなくても大丈夫!?遠赤色光で光合成を行えるシアノバクテリアの秘密を解明 ~光化学系Iにおける、クロロフィルfの位置と機能の特定~”. 東京理科大学. 東京理科大学. 2020年5月9日閲覧。
  7. ^ 塚谷, 祐介; 民秋, 均 (2015). “近赤外光を吸収するバクテリオクロロフィル色素の生合成経路解明と応用”. Journal of Japanese Biochemical Society 87 (2): 234-238. doi:10.14952/seikagaku.2015.870234. https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2015.870234/data/index.html. 
  8. ^ 渡辺 正, 小林 正美 (1989). “クロロフィル類の精密分析”. 油化学 38 (10): 876-885. doi:10.5650/jos1956.38.876. 
  9. ^ 古谷研 (2015). “海洋における植物プランクトンの生理生態と物質循環における役割に関する研究”. 海の研究 24 (2). doi:10.5928/kaiyou.24.2_63. 
  10. ^ KEGG EC 1.1.1.294 EC 1.1.1.294
  11. ^ 片山脩 (1974). “食用色素の化学” (pdf). 有機合成化学 32 (8): 628-629. doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.32.620. https://doi.org/10.5059/yukigoseikyokaishi.32.620. 
  12. ^ Handbook of Food Engineering (second ed.). CRC Press Taylor & Francis Group. (2006). p. 201, Figure 2.19. ISBN 978-1-4200-1437-2 
  13. ^ Chlorophyll and Chlorophyllin”. 2018年3月27日閲覧。
  14. ^ “Chlorophyll‐bound Magnesium in Commonly Consumed Vegetables and Fruits: Relevance to Magnesium Nutrition”. Journal of Food Science 69 (9): 348, Table 1. (2004). doi:10.1111/j.1365-2621.2004.tb09947.x. 
  15. ^ 各添加物の使用基準及び保存基準”. 厚生省 (H29.6.23). 2018年3月26日閲覧。


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