クレテック 健康への影響

クレテック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/16 16:39 UTC 版)

健康への影響

ヨーロッパ南アフリカ共和国南アメリカ各国で売られているジャルム・ブラック英語版には10–12mgのタール英語版と1mgのニコチンが入っていることがパッケージに記載されている。このタールとニコチンの水準は他の通常もしくはフルフレーバーのタバコの大半に匹敵するが、インドネシア仕様のジャルム・ブラックの方が入っているタールとニコチンの量は著しく高くそれぞれ25mg、1.6mgとなっている。カナダ仕様のジャルム・ブラックはタールが44.2–86 mg、ニコチンが1.73–3.24 mgと記載されており他のほとんどのタバコと比べてかなりの量である。

喫煙者10人の静脈内で検出される血漿中ニコチンと一酸化炭素の水準がクレテック喫煙後に計測されたが、マールボロのようなクローブの入っていないタバコの場合と変わりが無いと言う結果だった[10]

ラットに短期間でありきたりな紙巻きたばことクレテックを等しく吸引させると、クレテックはありきたりなタバコと比べてラットに悪影響は出なかった[11]。この実験は14日間繰り返されたが、クレテックは通常のタバコと比べて悪影響は出なかったとされる[12]

クローブの煙から生じるオイゲノールは咽頭反射を減らす喉のしびれの原因になり、主要な研究者は気道感染に注意するように呼びかけている[13]。また咽頭反射の減少は嚥下肺炎英語版の原因の一つになることがあるという。

米国での禁止措置と考察

アメリカ合衆国において紙巻きたばこは2009年に米国上院でタバコ葉やメントール以外の特定の成分から生じる特定のフレーバーが入ったタバコの販売を禁止する法案が提出されるなど法的規制や政治議論の主題になっている[14]

アメリカ疾病予防管理センターによる調査でクレテックは未成年者喫煙の割合で比較的小さく、高校生間では減少していることが分かった[15]。この法案への批判として、米国内の大手タバコ会社で普通のやメントールのタバコしか生産していないフィリップモリス英語版がこの法案を支持していることで企業を競争から守るための法案でしかないということである[16]

ユタ州ニューメキシコ州メリーランド州などいくつかの米国州ではクレテック販売禁止法が可決された[17]

2005年3月14日、フィリップモリスインターナショナルはインドネシアのタバコ会社であるPT・HM・サンポルナを主要株主から40%の株を取得して買収することを発表した[18]

2009年米国議会に提出され、バラク・オバマ米国大統領が署名して成立した家族喫煙予防とタバコ規制法英語版によってアメリカ食品医薬品局(FDA)に煙草を規制する権限が強化され、規定の1つしてクレテックを含むメントール以外の香りを付けた紙巻きタバコの販売が禁止が盛り込まれた。同年9月22日時点でアメリカ合衆国でクローブタバコは販売も配布も法的に不可能であり、海外でタバコを買っても米国税関で押収されてしまう[19]

2010年4月12日、インドネシアは世界貿易機関(WTO)に米国によるクレテック紙巻たばこ販売の禁止に関してメントールタバコが新しい規制の対象外になっているため不当な差別であるという内容の正式訴状を提出した。国際貿易を担当する貿易省局長のガスマルディ・バスタミは、インドネシア政府は米国による貿易協定(1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)貿易の技術的障害に関する協定(TBT)の強制規格、任意規格及び適合性評価手続、衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS)における違反の調査をWTO委員団に申し入れたと発表した。TBT合意にはクローブタバコとメントールタバコは「類似製品」と定義されているという特別な重要性がある。差別に対する批判はクレテックの99%は米国以外の国々(主にインドネシア)から輸入されていて、メントールタバコはほぼ全て米国のタバコ会社が生産しているという主張で強化された[20]。インドネシアの主張は米国における若いクレテック喫煙者と若いメントール喫煙者のとの比較でさらに強化されていった。米国の健康に関する報告書によれば、米国において若者喫煙者の43%がメントール喫煙者で総喫煙者数の25%近くに上っているとしている。若者喫煙者はクレテックに慣れているが、米国におけるタバコ消費量の1%未満で、タバコ販売本数も1%に満たないとされている。2012年4月4日、WTOはインドネシアに有利な判決が下されたが米国法への影響は不透明である[21]

国際的な販売

インドネシアは世界一のクローブタバコ生産国で年5億ドル相当の製品が輸出されている[22]。アメリカ合衆国に代わるクレテックタバコの国際的な販売先はオランダ、ドイツ、フランス、オーストラリア、ブラジル、バヌアツなどである。欧州のみより小さいパッケージでより薄いタバコが販売されており欧州連合が定めるニコチンとタールの最大量を順守している。南アフリカ共和国でもより小さい10本入りパッケージ(5本2列)でタール10-12mg、ニコチン1-1.2mgとして売られている。 日本のクレテック消費量は世界第5位である。2017年8月4日、日本たばこ産業は、インドネシアにおいてクレテックたばこ事業6位のPT. KaryadibyaMahardhikaと、同社製品流通・販売のPT. Surya Mustika Nusantaraの全株式を取得し、日本での商品展開を行っている。


  1. ^ 紙巻きのほか、トウモロコシの皮で巻かれたものも初期から存在する。
  2. ^ http://www.clovecigarette.eu/about/
  3. ^ Hanusz, Mark Smoke; A Century of Kretek pp. 140-143
  4. ^ June 3, 1999: Where There's Smoke, There's Kretek: The Cigarette Industry in Indonesia”. 2007年7月20日閲覧。
  5. ^ Cigarette Production & Consumption”. 2007年12月30日閲覧。
  6. ^ A Touch of Clove”. 2007年12月30日閲覧。
  7. ^ Sejarah Indonesia – a Timeline of Indonesian History
  8. ^ Hanusz, Mark (2000) Kretek: The Culture and Heritage of Indonesia's Clove Cigarettes, Equinox Publishing ISBN 979-95898-0-0
  9. ^ Kretek
  10. ^ J.L. Malson, E.M. Lee, R. Murty, E.T. Moolchan and W.B. Pickworth (February 2003). “Clove cigarette smoking: biochemical, physiological, and subjective effects”. Pharmacology, Biochemistry, and Behavior 74 (3): 739–745. doi:10.1016/S0091-3057(02)01076-6. PMID 12543240. 
  11. ^ G.C. Clark (1989). “Comparison of the inhalation toxicity of kretek (clove cigarette) smoke with that of American cigarette smoke. I. One day exposure”. Archives of toxicology 63 (1): 1–6. doi:10.1007/BF00334625. PMID 2742495. 
  12. ^ G.C. Clark (1990). “Comparison of the inhalation toxicity of kretek (clove cigarette) smoke with that of American cigarette smoke. II. Fourteen days, exposure”. Archives of toxicology 64 (7): 515–521. doi:10.1007/BF01971829. PMID 2073125. 
  13. ^ __ (December 1988). “Evaluation of the health hazard of clove cigarettes. Council on Scientific Affairs”. Journal of the American Medical Association 260 (24): 3641–36444. doi:10.1001/jama.260.24.3641. PMID 3057254. 
  14. ^ S.2461 - Family Smoking Prevention and Tobacco Control Act at Congress.gov
  15. ^ Tobacco Use Among Middle and High School Students – United States, 2002”. 2007年12月30日閲覧。
  16. ^ Paul Smalera (2009年6月8日). “Cool, Refreshing Legislation for Philip Morris”. The Big Money from Slate. 2009年6月22日閲覧。
  17. ^ http://www.rjrt.com/legal/stateLawView.asp?State=md
  18. ^ Clove encounter: Philip Morris acquires Sampoerna”. 2007年12月30日閲覧。
  19. ^ Delaware Division of Libraries Blog, http://library.blogs.delaware.gov/2009/11/23/clove-cigarettes/ 
  20. ^ http://www.thejakartapost.com/news/2010/07/21/wto-agrees-set-panel-rule-us-clove-cigarette-ban.html
  21. ^ http://www.reuters.com/article/2012/04/04/us-wto-usa-indonesia-idUSBRE8330Y720120404
  22. ^ Brazil bans sale of clove cigarettes, (April 13, 2012), http://www.thejakartapost.com/news/2012/04/13/brazil-bans-sale-clove-cigarettes.html 


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