クループ クループの概要

クループ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 06:54 UTC 版)

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Croup
小児のクループ患者の頸部レントゲン写真。「steeple sign」(尖塔のように狭窄した主気管)が認められる。
分類および外部参照情報
診療科・
学術分野
呼吸器学, 小児科学
ICD-10 J05.0
ICD-9-CM 464.4
DiseasesDB 13233
MedlinePlus 000959
eMedicine ped/510 emerg/370 radio/199
Patient UK クループ
MeSH D003440
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クループは臨床現場でこれより重度の病因(例:喉頭蓋炎や気道内 誤嚥等)が除外されたのち、診断される。通常、血液検査やX線、培養検査等の追加の検査は不要とされる。比較的よくみられる症状で、小児の約15%が一度は感染を経験し、生後6ヵ月から5~6歳の小児に最も多い。10代や成人の感染例はまずない。かつてはジフテリアが主因であったが、ジフテリアは現在日本や西洋ではワクチン摂取の成功や公衆衛生および生活水準の向上により主に歴史的意義を残すものとなっている。

日本ではDT,DPT,DPT-IPVワクチンが公費で定期予防接種として投与されている。これらのワクチンの「D」はジフテリアを意味する。

徴候と症状

クループ患者(生後13ヵ月小児)の呼気時および吸気時喘鳴

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クループは犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)、吸気時喘鳴(ぜんめい)、嗄声(させい)および夜間に悪化する呼吸困難を特徴とする。[2] 犬吠様咳嗽アザラシアシカの鳴き声に例えられることが多い。[3] 喘鳴は興奮したり泣いたりすることによって悪化し、もし安静時にも聞こえるようであれば気道の狭窄が危険な状態にある可能性がある。クループが悪化するにつれ、喘鳴が著明に減少することがある。[2]

この他の症状には発熱、鼻感冒(風邪のような症状)および胸壁の陥没などがある。[2][4] よだれや非常に重篤な様子がみられる場合は別の疾患が疑われる。[4]

原因

クループは通常、ウイルス感染により惹き起こされると考えられている。[2][5] 広義には急性喉頭気管炎、痙性クループ、喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎、喉頭気管気管支肺炎が含まれる。このうち急性喉頭気管炎および痙性クループはウイルス感染を伴い、症候は一般に軽度である。喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管支炎、喉頭気管気管支肺炎は細菌感染によるもので、重症になることが多い。[3]

ウイルス性

ウイルス性クループ、急性喉頭気管炎の75%がパラインフルエンザウイルス、特に1型および2型によるものである。[6] これ以外の起因ウイルスにはインフルエンザ A型およびB型、麻疹アデノウイルスおよびRSウイルス (RSV)[3]コロナウイルス(特にヒトコロナウイルスNL63[7])がある。このようなウイルス群は急性喉頭気管炎のほか痙攣性クループの原因となることもあるが通常の感染の徴候 (発熱、咽喉痛、白血球数の増加等)がみられない。[3] 治療法および治療への反応はほぼ同じである。[6]

細菌性

細菌性クループは喉頭ジフテリア、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎および喉頭気管気管支肺炎に分けられる。[3] 喉頭ジフテリアはジフテリア菌を原因とし、細菌性気管炎、喉頭気管気管支炎および喉頭気管気管支肺炎は通常、ウイルスに感染した後、細菌に二次感染することにより発症する。 最もよく知られる原因菌は黄色ブドウ球菌肺炎レンサ球菌インフルエンザ菌モラクセラ・カタラーリスである。[3]

病態

クループの原因となるウイルスに感染すると、白血球(特に組織球リンパ球形質細胞および好中球)の浸潤により[3]喉頭部気管気管支の腫脹を生じさせる[5]。この腫脹により気道が狭窄し、顕著な場合は呼吸仕事量が大きく増大して喘鳴として知られる特徴的な呼吸音が目立つようになる。[5]




  1. ^ デジタル大辞泉の解説”. コトバンク. 2018年2月10日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j Rajapaksa S, Starr M (May 2010). “Croup – assessment and management”. Aust Fam Physician 39 (5): 280–2. PMID 20485713. 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s Cherry JD (2008). “Clinical practice. croup”. N. Engl. J. Med. 358 (4): 384–91. doi:10.1056/NEJMcp072022. PMID 18216359. 
  4. ^ a b c d Diagnosis and Management of Croup (PDF)”. BC Children’s Hospital Division of Pediatric Emergency Medicine Clinical Practice Guidelines. 2013年12月11日閲覧。[リンク切れ]
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p Everard ML (February 2009). “Acute bronchiolitis and croup”. Pediatr. Clin. North Am. 56 (1): 119–33, x–xi. doi:10.1016/j.pcl.2008.10.007. PMID 19135584. 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l Johnson D (2009). “Croup”. Clin Evid (Online) 2009. PMC: 2907784. PMID 19445760. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2907784/. 
  7. ^ Abdul-Rasool, S., et a;. (2010). “Understanding Human Coronavirus HCoV-NL63”. Open Virol J. 25 (4): 76-84. doi:10.2174/1874357901004010076. 
  8. ^ a b c Klassen TP (December 1999). “croup. A current perspective”. Pediatr. Clin. North Am. 46 (6): 1167–78. doi:10.1016/S0031-3955(05)70180-2. PMID 10629679. 
  9. ^ a b Russell KF, Liang Y, O'Gorman K, Johnson DW, Klassen TP (2011). “Glucocorticoids for croup”. Cochrane Database Syst Rev 1 (1): CD001955. doi:10.1002/14651858.CD001955.pub3. PMID 21249651. 
  10. ^ Port C (April 2009). “Towards evidence based emergency medicine: best BETs from the Manchester Royal Infirmary. BET 4. Dose of dexamethasone in croup”. Emerg Med J 26 (4): 291–2. doi:10.1136/emj.2009.072090. PMID 19307398. 
  11. ^ a b Marchessault V (November 2001). “Historical review of croup”. Can J Infect Dis 12 (6): 337–9. PMC: 2094841. PMID 18159359. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2094841/. 
  12. ^ Vorwerk C、Coats T (2010). “Heliox for クループ in children”. Cochrane Database Syst Rev 2 (2): CD006822. doi:10.1002/14651858.CD006822.pub2. PMID 20166089. 
  13. ^ Online Etymological Dictionary、Accessed 2010-09-13.
  14. ^ a b Feigin, Ralph D. (2004). Textbook of pediatric infectious diseases. Philadelphia: Saunders. p. 252. ISBN 0-7216-9329-6. 


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