クルーズ客船
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リスク
集団感染のリスク
順天堂大学の教授で感染制御学を専門とする堀賢は、クルーズ船は「乗客は同じような時間帯に同じような行動を取る。特に食堂や劇場といった社交場は人口密度が高く、人と人との距離が短い」と述べた[14]。こうした場所では患者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスによる飛沫感染が起きやすくなり、行動範囲が重なると、設備の表面に付着したウイルスを触った手を介した接触感染も起きやすい、と指摘した。また、船では同じメンバーが長期間一緒に過ごし、感染者が船内にとどまるため、他人への感染を起こしやすい、とも指摘した[14]。
入港拒否されるリスクと国連海洋法条約の不備
(2020年に1月以降発生のクルーズ客船での新型コロナウイルスの集団感染の判明、たとえばダイヤモンド・プリンセス号で感染者が出て乗客が東京・横浜で長期の検疫状態になり下船できなくなり他にも感染者だと判明した人数が増え続けたことや、ウエステルダム号が各国で入港拒否され 海洋をさまよう事態になり、その後も他のクルーズ船でも入港拒否される事態の続出を受けて) 神戸大教授の若林伸和(航海システム学)は「豪華客船は数千人の乗客乗員がいる。食料は1週間か10日間でなくなり、燃料も補給しないといけない。通常は寄港先で調達するのだが」と述べた[15]。外国からの船の入港には検疫、出入国、港湾の管理で、3つの役所が関わる[15]。入港拒否は港湾を所管する国土交通省。国交省に制度上の入港拒否権はなく、海事局外航課の長井総和課長は「船に入港しないように要請するとともに、実際に港湾を管理している自治体に入港を認めないよう頼んでる」と語った[15]。厚生労働省結核感染症課の加藤拓馬課長補佐は、ダイヤモンド・プリンセス号の扱いは「検疫法に基づく検疫が続いているという整理で乗客を留め置いている」と述べた[15]。若林伸和は「海上のさまざまな権益を取り決める国連海洋法条約では、今回のような(入港拒否による)寄港先が決まらないという事態は想定されていなかった。どの国が船に対して責任を持つのか、早急に議論して国際ルールを作るべきだ」と警鐘を鳴らした[15]。
注釈
- ^ 両船とも航行区域によっては通信長の乗務を要するが(“船舶職員及び小型船舶操縦者法施行令(昭和五十八年政令第十三号)別表第一(第五条関係):配乗表の適用に関する通則第4項”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2018年7月25日). 2020年1月9日閲覧。 “2018年8月1日施行分”、総務省の無線局等情報検索によれば、にっぽん丸も飛鳥ⅡもA1A(モールス通信)の免許は受けておらず、航海士など他部の職員が通信長を兼任できる(通信士#GMDSSへの移行)。ただし、長期航海を行なう超大型船においては、無線と共に電子機器全般を担当する専任者が乗り組む場合もある。
出典
- ^ a b 山田廸夫「クルーズの歴史」 - 日本クルーズ&フェリー学会
- ^ “米領海や港で立ち往生の客船は91隻、乗員6万人超”. CNN (2020年5月17日). 2020年5月22日閲覧。
- ^ 人と環境にやさしい神戸・瀬戸内クルーズのあり方に関する調査研究報告書 - 関西交通経済研究センター 2009年3月
- ^ 「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」、今秋改装で船上サーフィン登場Webクルーズ2014年8月13日
- ^ ロイヤル・カリビアン新造船クァンタム・オブ・ザ・シーズお披露目Webクルーズ2014年11月21日
- ^ クルーズ船で胃腸炎600人、対策は?
- ^ a b c d e f [1]
- ^ [2]
- ^ 報道発表資料:2012年の我が国のクルーズ等の動向について - 国土交通省
- ^ 報道発表資料:2016年の我が国のクルーズ等の動向(調査結果) - 国土交通省
- ^ クルーズ人口2017年実績、日本人は27%増31万人、インバウンドは252万人で、いずれも過去最多トラベルボイス2018年7月6日
- ^ 2017年の我が国のクルーズ等の動向(調査結果)について ~日本人のクルーズ人口、クルーズ船の寄港回数及び訪日クルーズ旅客数が過去最多~
- ^ “中国人満載の豪華クルーズ客船はどこに消えたのか?”. JB PRESS (2019年4月16日). 2019年4月21日閲覧。
- ^ a b “高い人口密度、同じ行動範囲 新型肺炎、クルーズ船で集団感染”. 時事ドットコム. (2020年2月10日) 2020年8月29日閲覧。
- ^ a b c d e 2020年2月13日中日新聞朝刊26面
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