クラブ 日本

クラブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/06 22:48 UTC 版)

日本

略史

明治・大正期の「倶楽部」

日本における最初のクラブは、外国人居留地に作られた「外国人クラブ」であり、その後の日本のクラブのモデルとなった[1]。最も古いものはイギリス人W.H.スミスが1863年(文久3年)に横浜に設立したヨコハマ・ユナイテッド・クラブである。その後も横浜クラブ、ジャーマン・クラブが相次いで設立された。1868年(明治元年)には神戸にクラブ・コンコルディア、翌年にはユニオンクラブ(のちの神戸クラブ)が作られている。これらのクラブは居留地での社交や娯楽を目的としたクラブだったが、根岸競馬場を拠点とした乗馬クラブである横浜レース・クラブなど各種のスポーツクラブも設立されている。

日本人により初めて結成されたクラブは、1872年(明治5年)に東京築地に建設されたナショナルクラブであろうと見られている。明治10年前後には多くのクラブが結成され、明治10年代後半には本格的な社交クラブが作られるようになった。中でも広く知られているのは井上馨が発起人となり、鹿鳴館を拠点とした東京倶楽部である[1]。その後、上流階級のクラブを模倣した親睦と娯楽享受を目的としたクラブが多数作られた。また、自由民権運動の高まりとともに、政治結社に近い政談のためのクラブや、有力者同士による選挙候補者の予選のためのクラブが多く作られた。

『日本社会大事彙』(1901)によれば、明治初期には苦楽を共にするという意味から「苦楽部」の字を当てたクラブも多かった。クラブの存在が認知されるにつれ、世間では「楽」の文字から、クラブとは遊嬉場に集まって遊戯と酒食で快楽を貪る所である、という誤った概念が生じ[1]、倶(とも)に楽(たの)しむ部の意で倶楽部と表記されるクラブが多数を占めるようになった。

明治・大正期に結成された主なクラブには東京倶楽部、学士会交詢社日本工業倶楽部などがあるが、ヨーロッパに見られるような個人の自主的な意思に基づくクラブ文化が日本に根付いたとは言いがたい。

鉱山の保養施設

第二次世界大戦前には、各地の比較的規模の大きい鉱山炭鉱においては「倶楽部」と呼ばれる保養施設が作られていた。多くが宿泊施設を備え、鉱山を訪れた賓客や重役等を接待するために用いられていた。また、一般従業員や鉱山労働者の保養所を兼ねている場合もあった。戦後、各地の鉱山が閉山となり、ほとんどが解体されるか放置されて廃墟化していったが、一部の施設は保存措置が取られている(秋田県小坂鉱山宮崎県の見立鉱山など)。

教育や趣味・スポーツ

現在の日本では、初等教育・中等教育・高等教育等におけるクラブ活動や、地域スポーツクラブなどが人々にとって最も身近なクラブとなっている。しかし、ヨーロッパのクラブが趣味やスポーツを通じた交流をその本質的な目的としているのに対し、日本のクラブは趣味やスポーツそのものが目的となってしまい、交流が必ずしも目的として意識されないことも多いように、両者の間には小さくない差異が横たわっている。

派生的意味

日本では、風俗業や風俗業に近い飲食業において「クラブ」の語を入れ込む傾向が強い。例えばホストクラブテレフォンクラブナイトクラブキャバクラ(「キャンパス・クラブ」から派生)など。

接待飲食店

日本では、社交クラブから女性による男性会員への接待機能を強めた社交喫茶という営業形態が派生し、ここから男性客がホステスから飲食などの接待を受ける飲食店をクラブと呼ぶようになった(参考→クラブ (接待飲食店))。

ナイトクラブ

  • 欧米の音楽文化の影響により、多数の客が集まって、DJディスクジョッキーがかける音楽に合わせて踊ったりするディスコの形態も「クラブ」と呼ばれている。アクセントは平板型
  • キャバレーや1990年前後のバブル期までディスコと呼称されていた形態の店舗もナイトクラブと呼ばれている。
    • 日本以外の他国では「ディスコ」、「クラブ」といった区別はない。
    • 「キャバレー」と「ナイトクラブ」とは、風俗営業法上では異なるものと区別されている。
    • 1982年に社会問題化した強姦殺人事件を受け、1984年の風俗営業法が改正され、その際に深夜営業が禁止された。
    • 風俗営業法上の届け出を行っているナイトクラブと、無申請の違法ナイトクラブ(風俗営業法違反:無許可営業[2])とがある。ディスコが下火となることと入れ替わるように、違法ナイトクラブが増加していった。後者は、次のような方法をとり摘発を免れる策を講じている。
      • 飲食店として登録し、風営法で定められた営業時間規制を免れる(風俗店登録をし営業許可を得るディスコは通常24時、東京都では条例により商業地の場合午前1時閉店が義務づけられる)。
      • 摘発時に店舗が責任を逃れられるよう、イベントの運営についてオーガナイザー(イベント主催者)への外部委託とし、店舗は直接関与していないこととしている。
      • 小規模で目立たぬように経営される(派生的に、固有の細分化された音楽性を打ち出した店舗が多くを占めるようになったのも「ディスコ」との相違である)。
    • 1990年代中盤には、ディスコよりも大型な違法ナイトクラブが乱立し、看過できない状況が続いた。

その他

和文通話表で、「」を送る際に「クラブのク」という。




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