クズ 近縁種

クズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/07 15:37 UTC 版)

近縁種

沖縄には同属のタイワンクズ英語版 (Pueraria montana) がある。全体にクズに似るが、葉の形や花の姿などに若干の差がある。なお、沖縄ではほぼ同様な姿でナタマメ属英語版タカナタマメ英語版 (Canavalia cathartica) も路傍によく出現する。

人間との関わり

日本では古くから食用や薬用に用いられ、天然繊維の材料としても用いられている。長くて大きな根からは、葛粉がとれる[4]

食用

古来から大きく肥大した塊根に含まれるデンプンをとり、「葛粉」として利用されてきた[3]。秋からにかけて掘り起こしたものを砕いて水を加えて繊維を取り除き、精製してデンプンだけを採取する[3][6]。葛粉をで溶かしたものを葛湯と言い、を加えて溶かしたものは固まると透明もしくは半透明になり、葛切り葛餅葛菓子(干菓子)などの和菓子材料や料理とろみ付けに古くから用いられている。あまりメジャーではないが、春先から初夏にかけて伸びるつる先や花も天ぷらなどにして食用に出来る。種子は一般的には食用にされない。

薬用

葛根
根を乾燥させたものを生薬葛根(かっこん)と呼ぶ[9]日本薬局方に収録されている生薬で、数年かけて肥大した根が用いられる[6]。古い株の根を掘り上げて、生のうちに約5ミリメートルの不正六面体に細切りしたもの、もしくは長さ20 - 30センチメートル、幅5 - 10センチメートル、厚さ約1センチメートルの板状に細切りしたものを天日乾燥して調製する[6]発汗作用・解熱作用・鎮痛作用があるとされ[6]、漢方方剤の葛根湯、参蘇飲、独活葛根湯などの原料になる[9]風邪や胃腸不良(下痢)の時の民間治療薬として古くから用いられてきた。民間療法では、8-10グラムを水300ccで煎じ、温かいうちに服用する用法が知られている[6]。薬用として用いる場合の採集時期は、初夏が望ましい[10]
葛花
花を乾燥させたものを生薬名葛花(かっか)と呼ぶ。開花初期の頃、になった花すべてを採取し、風通しのよい場所で速やかに乾燥[11]有効成分は、イソフラボン[12]。花は焼酎に漬け込んで、花酒にする[6]

飼料

かつては飼料としても重宝されたが、こうした用途は減った[9]。「ウマノオコワ」「ウマノボタモチ」といった地方名があるが、だけではなくヤギウサギなど多くの草食動物が好んで食べる。

繊維材料

葛の繊維で編んだ布は新石器時代の遺跡からも出土している。つるを煮てから発酵させ、取りだした繊維で編んだ布は葛布と呼ばれる[9]。現在に伝わっている製法の葛布は平安時代ごろから作られていたとされる。

江戸時代には『和漢三才図会』でも紹介された。かつては衣服壁紙などに幅広く使われた。現在では生活雑貨や土産物として、数少ない専門店によって小規模ながら生産が続けられている。遠州、現在の静岡県掛川市特産品である。
また、クズのつるは長いことから、切り取ったつるが乾燥して固くなる前に編むことで、などの生活用品を作ることができる。

2008年には、クズ属植物からバイオマスエタノールを抽出する技術が宮崎大学によって開発された。

絵画や意匠などの題材

日本においては古くから絵画意匠の題材として扱われ、クズ固有の小さな葉を意匠的に図案化した家紋が数多く存在する。

皇族高円宮家の絢子女王お印でもある[13]

なお、葛は秋の七草のひとつに数えられるとともに、秋の季語として多くの俳句に詠われている。

脚注

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  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pueraria lobata (Willd.) Ohwi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年11月18日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2013年11月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 浅井 (1993) 74頁。
  4. ^ a b c d e 大嶋敏昭監修 2002, p. 158.
  5. ^ 神農本草経の中巻、草部中品の葛根の節より。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 馬場篤 1996, p. 48.
  7. ^ 浅井 (1993) 77頁。
  8. ^ Irwin N. Forsetha; Anne F. Innisa (2004). “Kudzu (Pueraria montana): History, Physiology, and Ecology Combine to Make a Major Ecosystem Threat”. Critical Reviews in Plant Sciences 23 (5): 401-413. doi:10.1080/07352680490505150. ISSN 0735-2689. 
  9. ^ a b c d 浅井 (1993) 76頁。
  10. ^ 松村光重、御影雅幸「葛根の研究 (I) 採集時期に関する史的考察」『日本東洋医学雑誌』第52巻4-5、日本東洋医学会、2002年、 493-499頁、 doi:10.3937/kampomed.52.493ISSN 0287-4857NAID 110004003706
  11. ^ 久保道徳ほか「漢薬・葛花の生薬学的研究(第1報)」『生薬学雑誌』第31巻第2号、日本生薬学会、1977年、 136-144頁、 ISSN 0037-4377NAID 110008907815
  12. ^ 栗原藤三郎、菊地正雄「花の成分研究(第5報)葛花の成分についてその2,新イソフラボン配糖体の単離」『藥學雜誌』第95巻第11号、日本薬学会、1975年、 1283-1285頁、 ISSN 0031-6903NAID 110003651975PMID 1240926JOI:JST.Journalarchive/yakushi1947/95.1283
  13. ^ 高円宮家宮内庁、2016年3月16日閲覧。




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