クズ 分布

クズ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/07 15:37 UTC 版)

分布

温帯および暖帯に分布し、北海道から九州までの日本各地のほか[6]中国からフィリピンインドネシアニューギニアに分布している[3]世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。山野に自生しており[6]荒れ地に多く、人手の入ったによく繁茂する。

北アメリカでは、1876年フィラデルフィアで開催されたフィラデルフィア万国博覧会(独立百年祭博覧会)の際、日本から運ばれて飼料作物および庭園装飾用として展示されたのをきっかけとして、東屋ポーチの飾りとして使われるようになった[7]。さらに緑化土壌流失防止用として政府によって推奨され、20世紀前半は持てはやされた。しかし、繁茂力の高さや拡散の速さから、有害植物ならびに侵略的外来種として指定され、駆除が続けられている。現在ではクズの成育する面積は3万km2と推定されている[8]アメリカ合衆国におけるクズ も参照)。

形態

大型の草本[6]。地面を這うつるは、他のものに巻きついて10メートル以上に伸び、全体に褐色の細かいが生えている[3]

根もとは木質化し、地下では肥大した長芋状の塊根となり、長さは1.5メートル、径は20センチに達する[3]

は大型の三出複葉で、長い葉柄互生[6]小葉は菱状の円形でさらに中裂することがあり[4]、草質で幅広く大きい[3]。葉の裏面は白い毛を密生して白色を帯びている[3]

は8 - 9月のに咲き、葉腋から総状花序が立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する蝶形花を房状に密集してつけ、下から順に咲かせる[3][6][4]。花色には変異がみられ、白いものをシロバナクズ、淡桃色のものをトキイロクズと呼ぶ[3]

花後に褐色の剛毛に被われた枝豆に似ている扁平な果実莢果豆果)を結ぶ[3]

生態

つる性の多年草[6]、つるを伸ばして広い範囲で根を下ろし、繁茂力が高い。クズは根茎種子により増殖する。除草剤に強く、根絶は困難であり、雑草としてはこびることもしばしばである[4]

かつての農村では田畑の周辺に育つクズのつるを作業用の材料に用いたため定期的に刈り取られていたが、刈り取りを行わない場合は短期間で低木林を覆い尽くすほど成長が早い。伸び始めたばかりの樹木に巻き付くと、それによって樹木の枝が曲がってしまうこともあるため、人工林においては、若木の生長を妨げる「有害植物」と見なす人がいる。

地上部のつるを人間が刈り取ることがある。地下に根茎が残り、すぐにつるが再生する。抜本的に除去する方法として、除草剤のイマザピルを使う手法がある。製品としてはイマザビルを染みこませた楊枝状の楔になっていて、根株に打ち込むことにより効果を発揮する。製品名ケイピンエースが知られる。過去には薬品ピクロラムが用いられることもあった。

様々な昆虫のつく植物でもある。たとえば、黒と白のはっきりした模様のオジロアシナガゾウムシマルカメムシはよくクズで見かける。また、クズの葉に細かい虫食いがある場合、それはクズノチビタマムシによる食痕であることが多い。東南アジア原産の外来昆虫であるフェモラータオオモモブトハムシの幼虫はクズの蔓を肥大させて虫こぶ(ゴール)としその中を食べる。


  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Pueraria lobata (Willd.) Ohwi”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2013年11月18日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “BG Plants簡易検索結果表示”. 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList). 千葉大学. 2013年11月18日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l 浅井 (1993) 74頁。
  4. ^ a b c d e 大嶋敏昭監修 2002, p. 158.
  5. ^ 神農本草経の中巻、草部中品の葛根の節より。
  6. ^ a b c d e f g h i j k l 馬場篤 1996, p. 48.
  7. ^ 浅井 (1993) 77頁。
  8. ^ Irwin N. Forsetha; Anne F. Innisa (2004). “Kudzu (Pueraria montana): History, Physiology, and Ecology Combine to Make a Major Ecosystem Threat”. Critical Reviews in Plant Sciences 23 (5): 401-413. doi:10.1080/07352680490505150. ISSN 0735-2689. 
  9. ^ a b c d 浅井 (1993) 76頁。
  10. ^ 松村光重、御影雅幸「葛根の研究 (I) 採集時期に関する史的考察」『日本東洋医学雑誌』第52巻4-5、日本東洋医学会、2002年、 493-499頁、 doi:10.3937/kampomed.52.493ISSN 0287-4857NAID 110004003706
  11. ^ 久保道徳ほか「漢薬・葛花の生薬学的研究(第1報)」『生薬学雑誌』第31巻第2号、日本生薬学会、1977年、 136-144頁、 ISSN 0037-4377NAID 110008907815
  12. ^ 栗原藤三郎、菊地正雄「花の成分研究(第5報)葛花の成分についてその2,新イソフラボン配糖体の単離」『藥學雜誌』第95巻第11号、日本薬学会、1975年、 1283-1285頁、 ISSN 0031-6903NAID 110003651975PMID 1240926JOI:JST.Journalarchive/yakushi1947/95.1283
  13. ^ 高円宮家宮内庁、2016年3月16日閲覧。




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