クスノキ 栽培

クスノキ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/17 17:28 UTC 版)

栽培

暖地の半日陰を好み、寒さには弱い性質で、土壌の質は砂礫土がよく、根は深く張る[17]。植栽適期は3月中旬 - 4月下旬・6月下旬 - 7月上旬・9月と言われ[13]、植え付けは暖かくなった5 - 9月に行い、剪定は3月下旬 - 4月に行う[17]。施肥の必要はない[17]

利用

かつては、木部を採集して樟木(しょうぼく)と呼び、樟脳を採取していた[3][5]。現代では、自然保護の観点から枝葉を採集して、水蒸気蒸留して粗製の精油を採取している[3]。この精油のことを「取り下ろし油」といい、さらに精製してできる精製樟脳がカンフル(カンファー)である[3]。カンフルを採取した残りの油を樟脳油と呼び、これから防虫剤である片脳油(へんのうゆ)が分離された[3]。またプラスチックの前身であるセルロイドの原料としても用いられた[3]

古くからクスノキ葉や煙は防虫剤、鎮痛剤として用いられ、作業の際にクスノキを携帯していたという記録もある。樟脳には防虫効果があり、衣類の防虫剤として箪笥に入れられた[5]。また、材は耐朽性が高く[10]、その防虫効果や巨材が得られるという長所から、家具飛鳥時代仏像にも使われていた[19]。仏像の材具として、日本では最初にクスノキが使われている[2]江戸時代には、夏に夕暮れ時にクスノキの葉を焚いて、蚊遣りとしたほか、その煙に包まれて「自然養生にも良きよしと言えり」といった記録が残されている[3]

街路樹など

街路樹として利用されるクスノキ

街路樹は季節感のある落葉樹が好まれる傾向があるが、常緑のクスノキは明るい雰囲気があり、街路樹や公園樹としての植栽に盛んに使われる[7][20]神功皇后が豊浦宮へ行幸した際に、クスノキを植えて日本最古の街路樹とした記録が残るが、正確な時期や場所は特定されていない[21]。クスノキの葉は厚みがあり、葉をつける密度が非常に高いため、近年交通騒音低減のために街路樹として活用されることも多い。

庭木に1本立ちで植えられることもあるが[17]、生長が早く幹が太くなることから、近年では庭木としての利用はあまり見られないが、刈り込みにも耐えるため、こまめに剪定すれば都市部の戸建住宅でも利用される[15]

煙害対策

明治時代鉱山などの煙害地の調査から、クスノキは比較的煙害に強いことが確認されてきた。大正年間に明治神宮が造成された際には各地から献木のほか、景観上必要な場所にはクロマツなどが植えられたが、その他の場所の主木については、将来東京でも煙害(公害)が深刻化することを見通し、クスノキなどが植林されている[22]

木材

材は、古木になるほど年輪が入り組んで、材のひき方によって様々な模様のが現れる[2]。枝分かれが多く直線の材料が得難いという欠点はあるが、虫害や腐敗に強いため、古来から船の材料として重宝されていた。古代の西日本では丸木舟の材料として、また、大阪湾沿岸からは、クスノキの大木を数本分連結し、舷側板を取り付けた古墳時代の舟が何艘も出土している。その様は、『古事記』の「仁徳記」に登場するクスノキ製の快速船「枯野」(からぬ)の逸話からも窺うことができる[19]。室町から江戸時代にかけて、軍船の材料にもなった。1940年、戦時色の強まった日本では、用材生産統制規則により特定の樹種の材について用途指定を実施。クスノキの使用用途については樟脳製造に限ることとなった[23]

薬用

木部に精油が約1%含まれており、有効成分は主にカンフル50 - 60%であるほか、シネオール約6%、ピネンカンフェンフェランドレン、ディペンテンなどである[3]。葉にも精油約1%を含み、精油成分はカンフル約50%、サフロール約30%、α-ピネンなどである[3]

粗製樟脳から精製して得られるカンフルは、強心剤として注射薬に使われるほか、神経痛打撲に用いる軟膏チンキ、歯科用フェノールカンフルなど製薬原料として重要である[3][5]

民間療法では、疲労回復、肩こり腰痛、神経痛、リウマチなどの痛みを和らげるために、陰干しにした葉を布袋に入れて、浴湯料として風呂に入れる使い方が知られている[3]。また、1日量1 - 3グラムの木部(樟木)を400 ccの水に入れて30分ほど煎じ、3回に分けて服用する用法が知られる[5]。ただし、妊婦への服用は禁忌とされる[5]

自治体・大学の木

日本国内

県の木

市・特別区の木

行政区の木

町の木

村の木

大学の木

国外

県の木


  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Cinnamomum camphora (L.) J.Presl” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月31日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 田中潔 2011, p. 66.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m 田中孝治 1995, p. 137.
  4. ^ a b c d e f 辻井達一 1995, p. 162.
  5. ^ a b c d e f 貝津好孝 1995, p. 157.
  6. ^ a b c 田中潔 2011, p. 67.
  7. ^ a b c d 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 65.
  8. ^ a b c d e f 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 234.
  9. ^ a b 林将之 2008, p. 77.
  10. ^ a b c d e f g 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 44.
  11. ^ 辻井達一 1995, pp. 163–164.
  12. ^ 執筆委員会・監修 金沢治『三加茂町史 復刻版』三加茂町、1973年、1277頁
  13. ^ a b c d e f 山﨑誠子 2019, p. 44.
  14. ^ a b 林将之 2008, p. 76.
  15. ^ a b 山﨑誠子 2019, p. 45.
  16. ^ a b 林将之 2011, p. 30.
  17. ^ a b c d e 正木覚 2012, p. 53.
  18. ^ 笠井 (2006) なお、この時点ではフシダニの種名は確定していないらしく、ダニ室内外の種をそれぞれフシダニsp.1、フシダニsp.2と記するのみである。
  19. ^ a b 辻井達一 1995, p. 164.
  20. ^ 林将之 2011, p. 31.
  21. ^ 森脇竜雄、今泉英一「がいろじゅ」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p76 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行
  22. ^ 「針葉樹 都会では枯死 明治神宮、クスの森に」『朝日新聞』昭和48年(1973年)1月4日朝刊
  23. ^ 香田徹也「昭和15年(1940年)林政・民有林」『日本近代林政年表 1867-2009』p420 日本林業調査会 2011年 全国書誌番号:22018608





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

クスノキのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



クスノキのページの著作権
Weblio 辞書情報提供元は参加元一覧にて確認できます。

  
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのクスノキ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2022 GRAS Group, Inc.RSS