キングコング キングコングの概要

キングコング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/02 02:51 UTC 版)

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キングコング
キングコングのキャラクター
1933年版『キングコング』のコング(右側の木の枝の間にいるのはフェイ・レイ
初登場キング・コング』(1933年)
作者 エドガー・ウォーレス
メリアン・C・クーパー
リック・ベイカー(1976年)
ピーター・エリオット(1986年)
アンディ・サーキス(2005年)
テリー・ノタリー英語版(2017年)
詳細情報
別名 世界第8の不思議
種族 ゴリラ
性別 オス
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コングはウィリス・オブライエンの特撮技術とストップモーション・アニメーションによって作られ、後のリメイク映画ではスーツアクターやモーションキャプチャなどによる演技で撮影された。

東宝との正規ライセンス契約により、ゴジラシリーズをはじめとした日本映画にも登場している。

コンセプトデザイン

コングの創造

メリアン・C・クーパー

キングコングは映画監督のメリアン・C・クーパーが考案した。クーパーは6歳の時にゴリラに魅了され[2]、1899年に叔父からポール・デュ・シャイユの『赤道アフリカの探検と冒険』という本をプレゼントされた。この本にはシャイユがアフリカで出会った先住民や動物のことが記されていた[3]。クーパーはシャイユが描いた「特別サイズ」で、先住民から「無敵」「アフリカの森の王」と呼ばれたゴリラに魅了された[4][5]。シャイユと先住民がゴリラに遭遇した際、彼はゴリラを「地獄の夢の怪物」「半人半獣」と記した[6]。こうした描写は、クーパーに冒険への強い憧れを抱かせた。

成人したクーパーは映画業界に進出し、『The Four Feathers英語版』の撮影の際にヒヒの家族と遭遇した。この出会いは、クーパーに霊長類を登場させた映画の構想を練るきっかけを与えた[7]。1年後、クーパーは「恐ろしいゴリラの映画」を撮影するためにRKOに移った。「ゴリラが高層ビルの頂上で飛行機と戦う」というアイディアは、ニューヨークライフビルの上空を飛行する飛行機を見て思いついた[8]。クーパーはこれについて、「私は思考の意識的な努力なしに、頭の中にビルの頂上にいる巨大なゴリラを思い描いていました」と語っている[9]。また、クーパーはコモドドラゴンにも影響を受けており[10]、恐竜型のドラゴンとゴリラを戦わせたいと考えていた。この間、彼は「近代文明に敵対する巨大な半人型ゴリラ」の構想を固めていた[11]

映画の構想が固まった後、クーパーはゴリラを「悪夢の怪物」として創造することを望み、彼のメモには「ゴリラの手足は蒸気ショベルのように固く、その周囲は蒸気ボイラーのようです。これは百人力の怪物ですが、もっと恐ろしいのは顔です。血みどろの目、ギザギザの歯が厚い毛の下に隠された半人半獣の頭部」と記されている[12]ウィリス・オブライエンは、クーパーの構想に基き、ジャングルのヒロインとハンターを脅かす巨大なゴリラの油絵を描いた[13][14]。しかし、オブライエンとマルセル・デルガド英語版がアニメーションを製作しようとした際、クーパーはゴリラの顔を半人ではなく完全なゴリラにするように指示し、オブライエンは観客の感情を引き付けるために人間的な顔にするべきと反発し、デガルドに「顔をほぼ人間にする」と指示した[15]。さらに、オブライエンは人間的な機能も加えるように指示したが、最終的にはトーンダウンし、デザインを妥協した[15]。最終的に完成したデザインはゴリラのような姿だったが、ゴリラの解剖学的な特徴の幾つかは、デガルドによって除去されていた[16]。オブライエンは1915年に製作した『The Dinosaur and the Missing Link: A Prehistoric Tragedy英語版』に登場した恐竜の特徴や動きをゴリラの動きに応用し、彼はこの恐竜を「キングコングの先祖」と述べている[17][18]。また、クーパーはゴリラがニューヨークのシーンで直立し、より威圧的に見えるようにすることに同意した[19]

名前

1933年版『キングコング』のワンシーン

クーパーは「コモド島」「コディアック島」「コダック」など、「K」から始まる強い響きの言葉を好んだ[20]。彼は巨大ゴリラの映画を構想していた際、コンゴから本物のゴリラを取り寄せ、コモドドラゴンと戦わせたいと考えていた。コモドドラゴンに興味を抱いたのは、友人のダグラス・バーデンがコモド島を旅行してコモドドラゴンと出会った経験を聞いたためである[21]

クーパーがRKOで映画の構想を練っていた頃は、このゴリラは「ビースト」と呼ばれていた。プロデューサーのデヴィッド・O・セルズニックは、映画のタイトルとして「Jungle Beast」を提案したものの[22]、クーパーはキャラクターの名前を決定した後に、その名前をタイトルに付けようとしていた。クーパーは、ドラキュラフランケンシュタインの怪物のような「神秘的でロマンチック、そして野蛮な名前」を考えていた[22]。RKOはタイトルの候補として「Kong: King of Beasts」「Kong: The Jungle King」「Kong: The Jungle Beast」をクーパーに提案した[22]。しかし、ルース・ローズ英語版が脚本を書き上げた頃、クーパーはタイトルをシンプルに「コング」にしようと考えていた。これに対して、セルズニックは以前に製作した『Grass英語版』『Chang英語版』のようなドキュメント映画と混同されると危惧し、タイトルに「キング」を加えて「キングコング」と命名した[23]

身体的特徴

1933年版『キングコング』のポスター

1933年版では、コングは先史時代の類人猿とされており、RKOの資料では「先史時代の猿」となっている[24]。外見はゴリラだが、表情は人間的であり、時折擬人化された直立歩行をしており、カール・デナム英語版は「獣でも人間でもない」と表現している。コングは優れた知性と体力を持ち、その身体は映画の中で代わっていた。クーパーはコングの体長を「40から50フィート(12.2から15.2メートル)[25]」と設定していたが、オブライエンはコングの体長を髑髏島では5.5メートル、ニューヨークでは7.3メートルに調整していた[26]。クーパーはオブライエンの変更には口出しせず、ミニチュアとカメラのサイズを調整することで、コングをオブライエンの設定よりも大きく撮影することに成功した。RKOの資料では、コングの体長は15.2メートルとなっている[24]

1975年、ディノ・デ・ラウレンティスがキングコングの映画化の権利を取得し、翌年にリメイク版『キングコング』が公開された。このコングは直立歩行する猿として描かれ、より人間に近くなっている。1975年版のコングは、髑髏島では12.8メートル、ニューヨークでは16.8メートルに見えるように調整されていた[27]。ラウレンティスは10年後に続編の製作権利を取得し、『キングコング2』を製作し、この映画でのコングは18.3メートルに設定された[28]

1976年にはユニバーサル・スタジオもキングコングのリメイクを計画していたが、30年後にピーター・ジャクソンを監督に迎えて『キング・コング』を製作した。ジャクソンは擬人化されていないゴリラをキングコングとして描き、アフリカではなく、アジアに生息していたギガントピテクスの進化したゴリラに設定した。このコングは、髑髏島・ニューヨーク一貫して7.6メートルに設定されている[29]

2017年にはアメリカのレジェンダリー・ピクチャーズ中国テンセント・ピクチャーズが共同製作した『キングコング: 髑髏島の巨神』が東宝とのモンスターバースの一環として公開され、シリーズ最大の31.6メートルのコングが登場した[30]。プロデューサーのメアリー・ペアレントは、「このコングはまだ青年です。この後まだまだ成長します」と述べている[31]

日本版キングコング

日本での亜流作品

『和製キング・コング』のスチール写真

日本では1933年版が9月14日に公開され大ヒットしたことで、多数の亜流作品が生まれた。鎌倉の海岸に高さ14メートルのキングコングの張りぼてが建造され、また松竹蒲田撮影所では「喜劇の神様」の異名をとった斎藤寅次郎による『和製キング・コング』という便乗映画が撮影され、10月に公開されている。5年後の1938年には『江戸に現れたキングコング』が江戸を舞台にした時代劇として奈良県全勝キネマあやめ池撮影所で撮影、公開された。この映画に登場するコングは等身大であり、アメリカ版のように巨大な猿として描かれてはいない[32]

東宝作品

『キングコング対ゴジラ』のワンシーン

1960年代、東宝はキングコングのライセンス権を取得し、『キングコング対ゴジラ』『キングコングの逆襲』を製作した。これらの映画では、アメリカ版よりも体長や能力が大きく異なっていた。コングはゴジラと戦うため、それと匹敵する強さと耐久力を持つ怪獣として描かれた。東宝怪獣の中で数少ない哺乳類であるコングは、ゴジラの戦闘スタイルを学び適応する能力を持ち、弱点を特定して自分のテリトリーで罠を仕掛けるなど高い知性を特徴とする[33]。『キングコング対ゴジラ』は日本国内では記録的な大ヒットを収め、これを受けて『続・キングコング対ゴジラ』が企画されたが、諸般事情で頓挫している。

『キングコング対ゴジラ』では、コングの体長は45メートルに設定されている。また、電気エネルギーを手から放出して戦うという設定も追加された[34]。『キングコングの逆襲』では体長が20メートルに設定された。このコングはオリジナルに近いが、力と知性を武器に戦っている[35]。東宝版のコングは髑髏島ではなく、それぞれファロ島・モンド島を住処としている。

1966年には日米合作で『ロビンソン・クルーソー作戦 キングコング対エビラ』が企画されたが、アメリカ側が企画に難色を示したため製作が中止された[36]。東宝はコングに代わりゴジラを登場させ、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』を製作した。そのため、ゴジラが女性に好意的であるなど、コングの要素が反映されている[37]




  1. ^ Boland, Michaela (2009年2月9日). “Global Creatures takes on "Kong"”. Variety. http://www.variety.com/article/VR1117999845.html?categoryid=13&cs=1&query=King-Kong 2010年3月4日閲覧。 
  2. ^ Vaz 2005, pp. 14–15.
  3. ^ Vaz 2005, pp. 14–16.
  4. ^ Vaz 2005, p. 10.
  5. ^ Vaz 2005, p. 16.
  6. ^ Vaz 2005, pp. 16–17.
  7. ^ Vaz 2005, p. 167.
  8. ^ Goldner & Turner 1975, p. 38.
  9. ^ Vaz 2005, p. 186.
  10. ^ Vaz 2005, p. 194.
  11. ^ Vaz 2005, p. 187.
  12. ^ Van Hise 1993, p. 56.
  13. ^ Willis O'Brien giant gorilla painting
  14. ^ Willis O'Brien-Creator of the Impossible by Don Shay. Cinefex #7 R.B Graphics. 1982. Pg.33
  15. ^ a b Goldner & Turner 1975, p. 56.
  16. ^ Goldner & Turner 1975, p. 58.
  17. ^ Paul A. Woods. King Kong Cometh!. Plexus Publishing Limited, 2005 Pg.27
  18. ^ Goldner & Turner 1975, p. 44.
  19. ^ Morton 2005, pp. 54-55.
  20. ^ Vaz 2005, pp. 193–194.
  21. ^ Vaz 2005, p. 190.
  22. ^ a b c Vaz 2005, p. 220.
  23. ^ Goldner & Turner 1975, p. 185.
  24. ^ a b 1933 RKO Press Page Scan”. 2017年8月26日閲覧。
  25. ^ Goldner & Turner 1975, p. 37.
  26. ^ Goldner & Turner 1975, p. 159.
  27. ^ Morton 2005, p. 205.
  28. ^ Morton 2005, p. 264.
  29. ^ Weta Workshop, The World of Kong: A Natural History of Skull Island. Pocket Books. 2005
  30. ^ Kong-Sized
  31. ^ “Kong: Skull Island Production Notes And High-Res Photos”. ScifiJapan. (2017年2月19日). http://www.scifijapan.com/articles/2017/02/18/kong-skull-island-production-notes-and-high-res-photos/ 
  32. ^ 高槻真樹 (2014). 戦前日本SF映画創世記 ゴジラは何でできているか. 河出書房新社 
  33. ^ King Kong Stats Page”. 2017年8月27日閲覧。
  34. ^ King Kong”. 2017年8月27日閲覧。
  35. ^ King Kong (2nd Generation)”. 2017年8月27日閲覧。
  36. ^ Lost Project: Operation Robinson Crusoe: King Kong vs. Ebirah”. Toho Kingdom. 2014年10月16日閲覧。
  37. ^ Ryfle 1998, p. 135.
  38. ^ KING KONG Published Fiction, Pre-2005. The Original Hardcover”. www.fullyarticulated.com. 2016年6月19日閲覧。
  39. ^ Joe DeVito (Creator/Illustrator of Kong: King of Skull Island)”. Scifidimensions.com. 2010年3月4日閲覧。
  40. ^ 『The Making of King Kong』p. 59
  41. ^ Scans of various reprints of the original novelization”. 2017年8月27日閲覧。
  42. ^ King Kong unleashed by StarWarp Concepts”. flickeringmyth.com. 2017年2月23日閲覧。
  43. ^ Mystery Magazine scan”. 2017年8月27日閲覧。
  44. ^ Official Kong: Skull Island Art Book and Movie Novelization announced!”. Scified.com (2016年9月1日). 2016年12月2日閲覧。
  45. ^ 『東映動画アーカイブス にっぽんアニメの原点』ワールドフォトプレス、2010年、151 - 152頁。
  46. ^ 初回放送時は「大きな友達」出典:朝日新聞縮刷版1967年9月号733ページ
  47. ^ 初回放送時は「ニューヨーク市の鍵」出典:朝日新聞縮刷版1967年10月号89ページ
  48. ^ 『河北新報』1970年10月1日 - 10月29日付朝刊、テレビ欄。
  49. ^ 『福島民報』1968年1月7日 - 4月28日付朝刊、テレビ欄。
  50. ^ 『北國新聞』1968年4月8日付朝刊、テレビ欄。


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