キュレーター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/02 00:11 UTC 版)
概要
イギリスなどでは博物館専門職員のことをcurator(キュレーター)と呼んでいる[5]。ただし、欧米では博物館専門職の分化が進んでおり、アメリカでは博物館専門職員の統一的な名称はなく、コレクション関係はcuratorやconservator、展示関係はExhibit Developerのように業務内容に応じた名称が使われている[5]。
博物館における収集資料の研究に携わり、専門知識をもって業務にあたる点は日本の学芸員に相当する。キュレーター職は学芸員の中でも企画を担当する権限を有する人を指す。小規模の館では、キュレーター職がそのまま館長職を意味することもある。日本の博物館や図書館においては、館の専門性にかかわる学術担当の職員が管理監督の高い権限を持って企画することがある。権限は人に与えられるものではなく、自分で発揮するものである。研究と同時に欧米の博物館などにおけるエデュケーター職(教育活動担当)、技術職(標本作成・保存処理・描画などといった個別技術担当)といったあらゆる専門技能職が学芸員職ひとつに集約されている。キュレーターと日本の学芸員を比較すると、どちらも自らも専門的学術研究に携わる職種であることは共通している。キュレーターは実質的運営責任者として、様々な技能職員や事務職員を統括し、館の運営事業(資料収集・研究・教育・展示など)を企画・推進する。様々な技能職員とは、博物館においては研究職のほか、日本では学芸員が職務上兼業する教育職、技術職のようなあまたの技能職員、図書館においては司書、公文書館においてはアーキビストといった職種を指す場合がある。日本の学芸員はキュレーターに比べて低い地位にある訳ではない。その法律による職掌は博物館法の博物館に限られる。とはいえ、同様に資料の学術研究に基づく専門業務を行う職種が他にないため、日本語の学芸員を英語に翻訳する時は「curator」の語を与える[6][7][8]
なお、イギリスや日本には博物館専門職員の公的資格があるが、アメリカには博物館専門職員の公的資格が設けられていない[5]。
- ^ a b “小室眞子さん「年収1500万円報道」で注目、美術館学芸員。なぜアメリカでは人気の職業なのか(bizSPA!フレッシュ)”. Yahoo!ニュース. 2021年11月19日閲覧。
- ^ a b “キュレーター/学芸員 | 現代美術用語辞典ver.2.0”. archive.vn (2021年10月20日). 2021年10月20日閲覧。
- ^ a b “欧米のキュレーターと日本の学芸員との違い | 学芸員の仕事・なり方・年収・資格を解説 | キャリアガーデン”. 学芸員の仕事とは. 2021年10月20日閲覧。
- ^ a b “キュレーターになるには|大学・専門学校のマイナビ進学”. マイナビ進学. 2021年10月20日閲覧。 “欧米では仕事の範囲が限られているが、日本では学芸員のことをキュレーターということが多く、美術館や博物館に関わるあらゆる業務を行う。”
- ^ a b c “学芸員制度各国比較”. 文部科学省. 2021年1月12日閲覧。
- ^ goo和英辞典"学芸員"
- ^ excite和英辞書"学芸員"
- ^ 英辞郎on the WEB"学芸員"
- ^ アトリエ出版社(編)「ワールド・アート アートの国際舞台 白夜の眺望 ポール・ゴーギャン アートの演出者 MOCAのキュレーターにきく」『アトリエ』第739号、婦人画報社、1988年9月、96-107 (54コマ目)、doi:10.11501/2264574、全国書誌番号:00001194、2023年11月5日閲覧。
- ^ リン・ガンパート「【キュレーターインタビュー】[コンテンポラリーアート]観方を識ると「裸の王様」の衣裳が見える」『月刊アドバタイジング』第42巻12号(通号498)、電通、1997年12月、20-23(コマ番号0012-)、doi:10.11501/2262188。
- ^ 毛利嘉孝「ソヴィエト現代美術の新たなる局面 ツァリーツィノ現代美術館キュレーター、アンドレイ・エラフェーエフ来日」『美術手帖』第43巻通号643、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、1991年9月、164-166(85コマ目)、NDLJP:7976842。
- ^ a b c d e “キュレーション”. コトバンク(出典:知恵蔵2011). 2012年7月19日閲覧。
- ^ 小林弘治 (2011年5月27日). “「キュレーション」”. 朝日新聞社. 2016年12月10日閲覧。
- ^ “キュレーション 王者グーグルを追う人力の新興勢力:日本経済新聞”. 日本経済新聞社 (2010年12月30日). 2016年12月11日閲覧。
- ^ “アルゴリズムは編集者の知恵と経験を超えるか?”. 毎日新聞社 (2015年6月16日). 2016年12月11日閲覧。
- ^ 中島由弘 (2015年). “キュレーションメディアの最新動向” (PDF). インターネット白書2015. インターネット白書編集委員会. p. 41. 2016年12月10日閲覧。
- ^ “Chris Anderson's TED Recommendations” (英語). www.ted.com. 2022年5月17日閲覧。
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