キハダ キハダの概要

キハダ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/03 07:52 UTC 版)

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キハダ
キハダ(黄肌、木肌、学名 Thunnus albacares
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : サバ亜目 Scombroidei
: サバ科 Scombridae
亜科 : サバ亜科 Scombrinae
: マグロ族 Thunnini
: マグロ属 Thunnus South,1845
亜属 : Neothunnus
Kishinouye,1923
: キハダ T.(N.) albacares
学名
Thunnus albacares
(Bonnaterre,1788)
和名
キハダ(黄肌、木肌)
英名
Yellowfin tuna

名称

地方名には、キワダ(東京和歌山)、マシビ(大阪兵庫県高知)、イトシビ(高知)、ハツ(高知)、シビ(鹿児島県奄美群島)、キンヒレなどがある。また若魚は各地でキメジ(木目地)とも呼ばれる。

成長段階で呼び分けることもあり、高知県では幼魚をビンと呼ぶ。

台湾では「黃鰭鮪」を正式名としているが、台湾語では他のマグロ類とともに英語のtunaから「串仔」(ツガ、tshǹg-á)と呼んでいる。

特徴

成魚は全長239 cm・体重200 kgに達する。マグロ属8種の中ではミナミマグロメバチと並ぶ中型種である。ただし、熱帯海域では全長3 mに達するとした文献もある。日本近海産は熱帯産よりも小型で、大きくても全長1.5 m、体重70 kgほどである。

第二背鰭尻鰭黄色で、成長につれ状に伸長する点で他のマグロ類と区別できる。各地での呼称もここに因んだものが多い。老成個体ではこの二つの鰭が頭長より長く、糸状に伸びる。体色もいくらか黄色を帯びる。また、クロマグロやメバチに比べると体型が比較的前後に細長い。マグロ属の分類では、本種とコシナガ、タイセイヨウマグロの3種類は他の5種と別の Neothunnus 亜属に分類されている。

若魚は体側に後方へ向けて下がる斜めの白い縞模様がある。若魚は第二背鰭と尻鰭が短いので他種との区別がつけにくく、特にメバチの若魚とよく似ている。

分布

全世界の熱帯・亜熱帯海域に広く分布するが、地中海には分布しない。日本沿岸でも北海道以南で見られるが、伊豆諸島以南の太平洋側に多く、日本海では稀である。

生態

水面上を跳ねたキハダ

外洋の表層を群れで遊泳し、日本近海ではカツオなどと同様に季節的な南北の回遊を行う。好む水温は18-31℃で、マグロ属の中では本種とコシナガが最も高水温・表層に生息する。また、流木などの漂流物やイルカにつく習性もある。若魚はカツオやメバチと混群を作る。

産卵期は夏で、分離浮性卵を産卵する。マグロ類にしては成長が早く、1年で全長50 cm、2年で全長1 mに達し成熟する。寿命は8年生きたものが報告されている。

利用

キハダのエスカベシュ(カルパッチョ)
キハダのレアステーキ

食用に延縄、曳縄(トローリング)、巻き網などの遠洋漁業で漁獲される。南西諸島伊豆小笠原諸島では、イソマグロロウニンアジと同様に磯釣りや船釣りでも漁獲される。

21世紀初頭の時点では全世界のマグロ漁獲量は年間約200万t前後だが、このうちの約100万-140万tがキハダで占められ、マグロ類の中では最も漁獲量が多い。日本での流通量はメバチに次ぐ二番目である。台湾韓国からも輸入されている。

乱獲で個体数が減少しており、国際自然保護連合(IUCN)レッドリスト2011年版で準絶滅危惧(NT)と評価されている[1]。しかし成長が早いこともあり他のマグロ類よりは深刻な状況ではないとみられている。

身は頭のほうから尾に近い部分までほぼ均一の赤身で、脂肪が少なく締まっている。色は薄紅色で、クロマグロよりも淡い。世界的にはビンナガと共に缶詰ツナ缶)の材料として重要で、洋風料理ではステーキなどにもされる。日本では脂肪が少ない身質から西日本で珍重される。また、クロマグロの味が落ちる夏から秋にかけてキハダの漁獲量が増える。日本料理では刺身焼き魚唐揚げなどにされる。大分県郷土料理ひゅうが丼沖縄料理の厚い衣の天麩羅にも使われる。

ハワイではahiアヒ: Yellowfin tunaも参照)と呼ばれ、ポケ(ポキ)の食材として用いられる。

モルディブ料理でも一般的な食材で、茹でてツナと称したり、リハフォリ(Riha Folhi)と呼ばれるカレー風味のクレープ巻きにしたりする。

混獲問題

かつてはツナ缶の為の本種の漁獲に伴うマグロまき網漁におけるイルカの混獲問題[3]が起きており、これをアメリカの環境保護活動家や環境保護団体は問題視し、マグロ漁におけるイルカ捕殺に対処する為に 1972年に海洋哺乳類保護法(: Marine Mammal Protection Act:MMPA)が施行され、様々な対策がとられ、アメリカ船への対策のみならず、イルカを混獲する漁法で捕られたマグロの輸入を禁じた[4]。その流れで中南米の漁業者も完全にイルカを当てにしない(巻き込まない)人工集魚装置(Fidh Aggregeting Devices:FADs)を使用した巻網漁業に転換したが、今度はFADsに本種やカツオ以外にメバチマグロの幼魚が混獲され、その資源の減少が心配されている[5]


  1. ^ a b Collette, B., Acero, A., Amorim, A.F., Boustany, A., Canales Ramirez, C., Cardenas, G., Carpenter, K.E., Chang, S.-K., de Oliveira Leite Jr., N., Di Natale, A., Die, D., Fox, W., Fredou, F.L., Graves, J., Guzman-Mora, A., Viera Hazin, F.H., Hinton, M., Juan Jorda, M., Minte Vera, C., Miyabe, N., Montano Cruz, R., Masuti, E., Nelson, R., Oxenford, H., Restrepo, V., Salas, E., Schaefer, K., Schratwieser, J., Serra, R., Sun, C., Teixeira Lessa, R.P., Pires Ferreira Travassos, P.E., Uozumi, Y. & Yanez, E. 2011. Thunnus albacares. The IUCN Red List of Threatened Species 2011: e.T21857A9327139. doi:10.2305/IUCN.UK.2011-2.RLTS.T21857A9327139.en, Downloaded on 24 November 2016.
  2. ^ 魚介類の名称表示等について(別表1)”. 水産庁. 2013年5月29日閲覧。
  3. ^ 江藤淳一、東太平洋のキハダマグロ漁におけるイルカ混獲問題 東洋法学紀要論文,1995-03-10,東洋法学 38巻2号 p.217-248, ISSN 0564-0245
  4. ^ マイケル・ドナヒュー、アニー・ウィーラー、『イルカを救ういくつかの方法』( Save the dolphins, Michael Donoghue, Annie Wheeler, 水口博也 翻訳)pp122-134、講談社 ISBN 4062080125
  5. ^ 山下東子、『魚の経済学―市場メカニズムの活用で資源を護る』日本評論社 経済セミナー (628), 46-52, 2007-07, NAID 40015549930


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