ガンキャノン 小説版におけるガンキャノン

ガンキャノン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/18 08:11 UTC 版)

小説版におけるガンキャノン

富野由悠季による小説『機動戦士ガンダム』に登場する機体はテレビアニメ版とほぼ同じであるが、頭頂高はほかのMSと同様に約16メートルに小型化され、左手にはガンダムと同じシールドを携帯する。装甲が厚くパイロットの生存性が高そうに見えることから、最初はアムロもガンダムではなくこのガンキャノンへの搭乗を希望する。

カイ・シデンとハヤト・コバヤシが搭乗し、胸部左と左頸部には機体識別用に「108」(カイ機)「109」(ハヤト機)のマーキングがあるが、このアイデアは劇場版第3作の設定の原典となった。

当初運用されていたガンキャノン2機のうち1機は、テキサスゾーンでリュウ・ホセイが搭乗して出撃するも未帰還となっている。ハヤトの109は劇場版同様に追加配備である。

ハヤト機はニュータイプ部隊との交戦でシャア・アズナブルリック・ドムに撃墜されるが、カイ機はこの戦いを生き延び、最後はキシリアに協力してシャアのニュータイプ部隊とともにジオン本国を強襲。キシリアによるギレンの殺害とシャアによるキシリア殺害を見届けた後、ジオン共和国軍に接収される。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるガンキャノン

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場するガンキャノンは、原作版とはビーム・ライフルや頭部など各所に違いが見られる(形式番号:RX-77)。

ジオン公国軍のザクシリーズに対抗して開発・量産された地球連邦軍初のMS。当初は腕部マニピュレーターが3本指の簡素な構造のものであったが、ベルファスト寄港後に改修され、5本指に換装される。キャノン砲が背部まで延長され、弾薬庫が砲下部に追加されている。また、ソロモン編ではキャノン砲の間にバーニアが2基追加される。宇宙で推進することは可能だが、高性能のリック・ドムなどと渡り合うことは無理があるため、艦に数機ワイヤーで固定することで、もっぱら対空砲火の銃座代わりとなっている。ホワイトベースのジャブロー入港時、陽動として大量のガンキャノンが投入されたが、この時の機体は頭頂部のカメラがないなど、テレビ版のデザインに近い。ソロモン編でカイ・シデンの搭乗するガンキャノンにも、テレビ版と同じ頭部が見られる。また、ガンダムやジムの使用するシールドとほぼ同じものを装備していた。

なお、本作品でのガンキャノンは量産型という設定からジオン軍側に撃破される描写が多々あり、他の連邦軍MS同様にやられメカとしての役割を担わされている。そのため、ジオン兵たちには旧式呼ばわりされているうえ、ランバ・ラルには「MSとも呼べないできそこない」とさえ言われている。実際、ザクにもついて行けない程度の機動性しかないが、シャアには「旧式だが火力は侮れない」と評されており、リュウ・ホセイなどは集団で陣形を組むことで機動的な欠陥を突かれないようにしていた。

劇中、ベルファスト編においてカイはガンタンクではなく本機に搭乗し、襲来したズゴックを撃破している。ストーリー後半では量産機主力の地位をジムに譲って第一線を退いたうえ、ストーリー面でもカイの出番が減ったために登場は減った。終盤では劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』同様にハヤト・コバヤシ搭乗機が追加されたが、本作では撃墜されずにカイ機と共にア・バオア・クー戦を生き残り、ランチを護衛しながらア・バオア・クーから脱出した。

型式番号については、「RX-77」とする資料と最初期型と同じ「RX-77-01」とする資料が混在している[48]

キャノンザク
鹵獲したコズンのザクの胴体にカイのガンキャノンの頭部を強引に取り付けたもので、グフによって戦力を半減させられたホワイトベースの苦肉の策として生まれた機体である。名に反してキャノン砲は装備されていない。カイが乗って意気揚々と出撃するが、タチの操る旧ザクに肉薄され、頭部を破壊される。

ガンキャノン最初期型

諸元
ガンキャノン最初期型
GUNCANNON FIRST TYPE[49]
型式番号 RX-77-01(漫画版)
RCX-76(OVA版1号機)[50]
RCX-76-02(OVA版)
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[49]
全幅 8.1m[49]
武装 低反動キャノン砲[49]
ミサイル・ランチャー[49]
肩部ガトリング砲[49]
ライフル[49]
60mmバルカン砲[49]
シールド[49]

漫画・OVA『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場。名称はOVA版で設定された。

テム・レイの指揮下で開発されたアナハイム社初の量産型二足歩行機動兵器。ロールアウトした1号機は白を基調に塗装されている。後のガンキャノンと異なり、キャノンは左肩に1基装備され、右肩には小型のガトリング砲が装備されている点が特徴。手にはライフル(ジム改の90mmブルパップ・マシンガンと同形状)を携行する。アナハイムや連邦軍のMSに対する認識の甘さから、もっぱら歩兵や軍用車両の掃討を想定した設計であり、対MS戦はほとんど考慮されていない。テムはこの機体にまったく満足しておらず、「これはMSと呼べるものではない」とまで言い切る。

一年戦争開戦以前のミノフスキー博士亡命事件では、「鉄騎兵中隊」に12機が配備されている。塗装はブルー・グレーを基調とし、隊長のエルドゥシュ中尉機は機体番号のマーキングが白から白フチの赤に変更されている。月面にてブグ1機とザクI 4機の部隊と交戦するが、一矢も報いることができずに全滅させられたうえ、ミノフスキー博士も攻撃の影響で倒れ込んできた本機の下敷きになり死亡する。この「スミス海の虐殺」事件で、アナハイム社はジオニック社に対するMS技術や設計思想の遅れを認識させられ、テムは対MS戦に主眼を置いた新型MS「ガンダム」の開発に着手する。

ガンキャノン機動試験型

諸元
ガンキャノン機動試験型
GUNCANNON MOBILITY TEST TYPE[51]
型式番号 RCX-76-01A
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[51]
全幅 8.1m[51]
武装 マシンガン[51]
肩部ガトリング砲[51]
60mmバルカン砲[51]
シールド[51]

Mobile Suit Discovery(MSD)』で設定された。

ロールアウトした最初期型を引き継ぐ形で、評価試験用に製作された試作機のひとつ[51]。機動性能や追加装備の採用の検討を目的とする[51]。両肩にガトリング砲が装備され、頭部にはガンダムに似た、高精度の探索が可能なV字型アンテナを持つ[51]。手にはジオン公国軍の試作MSと同じ八洲重工製のマシンガン[51]陸戦型ガンダムの100mmマシンガンと同形状)を携行する。塗装はオレンジ・イエローを基調とする。

ガンキャノン火力試験型

諸元
ガンキャノン火力試験型
GUNCANNON FIREPOWER TEST TYPE[51]
型式番号 RCX-76-01B
所属 地球連邦軍
製造 アナハイム・エレクトロニクス社
生産形態 試作機
頭頂高 17.0m[51]
全幅 8.1m[51]
武装 60mmバルカン砲[51]
大口径砲[51]
4連装機関砲[51]
シールド[51]

『MSD』で設定された。

機動試験型に続いて製作された機体で[51]、長距離支援および対地・対空戦闘用装備のテストが実施されている[51]。両肩の大口径砲と右前腕部の4連装機関砲は、ガンタンク初期型と同型の装備である。コックピットもガンタンク同様、腹部のほかに砲手用のものが頭部に増設されている[51]。しかし本機では大口径砲の発射時の反動を抑えきれず、命中率が著しく低下することが判明する[51]。塗装は機動試験型と同じオレンジ・イエロー。

『機動戦士ガンダム サンダーボルト』におけるガンキャノン

漫画およびOVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場するガンキャノンは、基本的に原作版を踏襲しているが、キャノン砲はジムキャノンと同様に機体本体ではなくバックパックに装備されている。サブアームはバックパック背面側に1基。頭部には追加装甲が増設されている。原典機同様にコア・ブロック・システムに対応しているが、コアファイターはジムと同型である。

原作版よりはるかに量産化され、普及しているようであり、ムーア同胞団では新兵が乗っている機体も少数ながら存在する。

ガンキャノン・アクア

漫画およびOVA『機動戦士ガンダム サンダーボルト』に登場(型式番号:RX-77AQ)。

ガンキャノンの水中型で、注排水口を各所に増設した潜水仕様となっている。水中戦用にニードルガンや魚雷を搭載しているなど武装に違いが見られ、任務ごとに仕様変更が可能。漫画版の塗装はガンキャノンを踏襲した赤を基調とするが、アニメ版では青となっているほか、関節の形状や頭部アンテナの本数など細部が変更されている。




注釈

  1. ^ 胴体部分は240mm低反動キャノン砲の接射による爆風やジャイアント・バズの直撃に耐えられるほど装甲が厚い。これに対して黒い三連星との戦いにおいてガンダムのシールドはジャイアント・バズの直撃で破壊されている。ただし、その他の部分についてはそうとも言えず、ア・バオア・クーの戦いでザクIIが発射した280mmバズーカ弾の直撃によって右脚の膝関節から下を失った例もある[11]
  2. ^ 一方で、劇中でヨーロッパ戦線でマチルダ補給隊の出迎え護衛に赴いた際、カイ・シデンのガンキャノンは戦域到着が遅くなり、「こいつは足が遅いからね」と言っている
  3. ^ 「ガンキャノン砲」と記述した資料[5]、「低反動キャノン(砲口径は360mm)」と記述した資料[18]、「360ミリ無反動ロケット砲」とした資料[19]もみられる。
  4. ^ 一方で、ミノフスキー粒子下では実用的な命中精度を発揮できなかったため、実戦ではほとんど使用されなかったとする資料もみられる[15]
  5. ^ 分離可能な下半身部分のことである。
  6. ^ 同様の装置は、現実世界においてクレーン車などの重機などが、宇宙世紀においてガンキャノン・ディテクターダブデ陸戦艇などが備えている。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.1 一年戦争編』バンダイ、1989年2月、54-55頁。
  2. ^ a b アニメック』第6号、ラポート、1979年8月、23頁。
  3. ^ 『ロマンアルバム・エクストラ35 機動戦士ガンダム』徳間書店、1980年7月、121頁。
  4. ^ a b c 『機動戦士ガンダム記録全集1』日本サンライズ、1979年12月、161頁。
  5. ^ a b c 『機動戦士ガンダム記録全集1』日本サンライズ、1979年12月、154頁。
  6. ^ 『B-CLUB VISUAL COMIC 機動戦士0080 ポケットの中の戦争 VOL 2』バンダイ、1989年10月、108頁。
  7. ^ a b c d e 『MG 1/100 RX-77-2 ガンキャノン』バンダイ、2001年12月、組立説明書。
  8. ^ a b 『マスターアーカイブ モビルスーツ RX-78 ガンダム』ソフトバンク クリエイティブ、2011年12月、17頁。(ISBN 978-4797366181)
  9. ^ 「ハイグレードユニバーサルセンチュリー 1/144 RX-77-2 ガンキャノン - REVIVE」バンダイ、2015年6月、組立説明書
  10. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .1 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.1 一年戦争編』バンダイ、1989年2月、110頁。
  11. ^ 『機動戦士ガンダムIII 〜めぐりあい宇宙編〜』より。
  12. ^ 講談社『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』74頁。
  13. ^ a b c d 『1/144 フルカラーモデル ガンキャノン』バンダイ、1988年9月、組立説明書。
  14. ^ 『1/144 フルカラーモデル ジム』バンダイ、1988年10月、組立説明書。
  15. ^ a b c d e f 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー 1/144 RX-77-2 ガンキャノン』バンダイ、1999年5月、組立説明書。
  16. ^ a b 『講談社ポケット百科シリーズ15 ロボット大全集1 機動戦士ガンダム』(1981年)
  17. ^ 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、75頁。ISBN 978-4063721775
  18. ^ ガンダムセンチュリー』みのり書房、1981年9月、銀河出版、2000年3月(復刻版)、44頁。ISBN 4-87777-028-3
  19. ^ 『コミックボンボン特別増刊 機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年、126頁。
  20. ^ a b c 『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』講談社、1984年7月、2006年7月(復刻版)、76頁。ISBN 978-4063721775
  21. ^ 皆川ゆか機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』講談社、148頁。
  22. ^ 『ガンダムアーカイブ 機動戦士ガンダム完全設定資料集』メディアワークス、1999年6月、44-45頁。ISBN 978-4840212113
  23. ^ DVD『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編/特別版』ライナーノート5頁。
  24. ^ a b c 稲垣浩文; 梅崎淳志. 機動戦士ガンダム戦記 アバンタイトル プロデューサーインタビュー Vol.2. (インタビュー). 機動戦士ガンダム戦記公式サイト.. http://ps3-gundam.net/interview2.html 2013年9月25日閲覧。 
  25. ^ 日経キャラクターズ!編「機動戦士ガンダム MECHANIC」『大人のガンダム HISTORY & BUSINESS』日経BP社〈日経BPムック〉、2004年10月1日、ISBN 4-8222-1705-1、22頁。
  26. ^ 小説『機動戦士ガンダム第08MS小隊外伝 TRIVIAL OPERATION』に登場。
  27. ^ a b 『コミックボンボン』1983年11月号、講談社、2頁。
  28. ^ a b c d 『機動戦士Ζガンダムを10倍楽しむ本』講談社、1985年5月、122頁。
  29. ^ a b 『コミックボンボン』1983年11月号、講談社、363頁。
  30. ^ 『講談社ポケット百科シリーズ35 機動戦士ガンダム モビルスーツバリエーション3 連邦編』講談社、1984年7月、69頁。
  31. ^ a b c d e f g h i j k l m 『SD CLUB』第10号、バンダイ、1990年4月、31頁。
  32. ^ 講談社『機動戦士ガンダムモビルスーツバリエーション3 連邦軍編』78頁。
  33. ^ 『グレートメカニック・スペシャル モビルスーツ全集5 RX-78ガンダム&V作戦BOOK』51頁。
  34. ^ a b 皆川ゆか『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』 講談社、144頁。
  35. ^ a b 『機動戦士ガンダムMS大全集2013[+線画設定集]』240頁。
  36. ^ a b 『機動戦士ガンダム MSV-R グラフィックドキュメント』アスキー・メディアワークス、2012年1月、62-63頁。
  37. ^ a b c d e 『ガンダムエース』2010年7月号、角川書店、165頁。
  38. ^ 大河原邦男・草刈健一『機動戦士ガンダム MSV-R 連邦編』角川書店、2012年3月、88~89頁。
  39. ^ a b プレイステーション3用ゲームソフト『機動戦士ガンダム サイドストーリーズ』初回盤特典冊子「MOBILE SUIT GUNDAM SIDE STORY MISSING LINK ARCHIVES」21頁。
  40. ^ 大河原邦男・草刈健一『機動戦士ガンダム MSV-R 連邦編』角川書店、2012年3月、64~65頁。
  41. ^ 『ガンダムエース』2017年4月号、角川書店、35頁。
  42. ^ 講談社『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』142頁
  43. ^ a b c HGUC No.44 ガンキャノン量産型』およびその取扱説明書
  44. ^ a b 『機動戦士ガンダム MSV コレクションファイル[宇宙編]』「021 ガンキャノン量産検討機」より。
  45. ^ 講談社『機動戦士ガンダム 公式百科事典 GUNDAM OFFICIALS』143頁。
  46. ^ 『機動戦士ガンダム エピソードガイド vol.2 一年戦争編(後)』60頁、『GUNDAM WEAPONS マスターグレードモデル“第08MS小隊”&“0080ポケットの中の戦争”編』93頁。
  47. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 『月刊ガンダムエース』、角川書店、2017年8月、 44頁、 ASIN B072MPJKH5JAN 4910124010877
  48. ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式ガイドブック 2』角川書店[要ページ番号]
  49. ^ a b c d e f g h i 『HG ガンキャノン最初期型(鉄騎兵中隊機)』説明書、バンダイ、2016年11月。
  50. ^ 『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』公式サイト - Mobile Suit Discovery(MSD) http://www.gundam-the-origin.net/msd/
  51. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 『HG ガンキャノン機動試験型/火力試験型』説明書、バンダイ、2017年1月。





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