ガレージキット 種類

ガレージキット

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 23:21 UTC 版)

種類

バキュームフォームキット

バキュームフォーム(真空成形)」で生産されるキット。底面に空気抜きの穴を設けた台座の上に原型を置き、熱したプラスチック板を被せて下方から吸引し、大気圧で原型に押し付けて成形する。細かい凹凸やシャープなエッジの再現は難しく、流線型のような滑らかな曲面の表現に向いている。雄型を使う場合を雄型成形(ドレープフォーミング)、雌型を使う場合を雌型成形(ストレートフォーミング)という。雄型、雌型のどちらでも可能であるが、雄型とした場合は板の厚さ分成形品が原型より大きくなり、成形品の表面に詳細なモールドを入れることも出来ない。雌型の場合には型に吸引用の孔をあける必要がある。雄型の場合にも細部の再現には減圧用の孔が必要になる。製品はもなかのように中空の貼り合わせになるため軽く、比較的大型のキットを製造することができるが、強度が低いため補強を行う必要がある。組み立て時には切り代を残して切り抜き、薄いプラ板を挟んで接着してからやすりで接合箇所を整形する。吸引は家庭用の掃除機でも可能であり、家庭用の小型バキュームフォーマーも市販されている。熱したプラスチック板を押し付けて成形するため原型は木で作られることが多く、雌型成形の場合は耐熱性の樹脂に反転して使用する。逆テーパー(オーバーハング)となる成形はできず、原型は底面に向けて面積が大きくなるように分割される。生産に手間がかかり細密な再現は難しいが、原型の破損は少なくある程度の量産が可能。

欧米では1960年代からプラモデルと同じポリスチレンの板を真空成形した航空機のキットが作られている。近年の製品は繊細な表面モールドが可能な雌型成形が主流であり、組み立ての精度も高いものが多い。塗装や接着も通常のプラモデルとほぼ同じに行うことが出来る。プロペラや脚柱、タイヤなどは真空成形するのが難しいため、ホワイトメタルやレジンキャスト、簡易インジェクションなどのパーツがセットされている場合もある。また、既存キットのディテールアップ用に、透明な板を真空成形した風防パーツも販売されている。日本でも1980年代初めには宇宙船などのキットが作られており、レジンキャストが一般化する前には、絶版プラモデルをバキュームフォームで複製した例もある。ラジコンカー用のポリカーボネート製クリアボディもバキュームフォームで作られている。

レジンキャストキット

無発泡ウレタン樹脂などをシリコーン型に注型(レジンキャスト)し生産されるキット。キャストキットと略されることもあるが、「キャスト」とは本来メタルキャストなども含む流し込み成形(注型・鋳造)を指す言葉であり、正確ではない。金属・プラスチック・粘土・パテなど各種素材で製作した原型をシリコーンゴムで型取りし、主に無発泡ウレタン樹脂や不飽和ポリエステル樹脂などの二液混合型樹脂を注型し硬化させることで複製を作成する。化学反応(重合)により硬化するため、硬化には時間がかかる。金型と違ってシリコーンゴム型には柔軟性があるため、一組の型で型抜き方向以外への凹凸をもつ複雑な形状をも複製することが可能である。射出成形に較べて初期費用は格段に少ないが、シリコーンゴム製の型は注型する樹脂によって少しずつ侵されるため消耗が早く、一つの型から得られる忠実な複製は数個から数10個程度である。原型が破損しない限り新たに型を作る事が出来るため量産は可能だが、一個あたりの生産費は高めである。注型用樹脂は硬化に伴って発泡するものが多く、また複雑な型に樹脂が十分に行き渡るようにするのが難しく相応の技術を必要とするため、真空脱泡機などを使わないと成形品に欠損が生じたりして歩留まりが悪くなってしまう。またシリコーンゴムの使用量が生産費と直結するため、細かく分割し部品点数を増やすと値段が倍増する。また柔らかいシリコーンゴムは歪みやすく、精度を保つためにもノウハウがある。かつては業務用以外では、無発泡ウレタン樹脂やシリコーンゴムの入手は困難であったが、後にガレージキット販売店を中心に個人でも入手が容易となった。また、ガレージキット用キャスティング作業専門の業者も数多く存在する。

レジンキャストキットはガレージキットの最も一般的な形態であり、材料となるシリコーンゴムと注型用樹脂が入手可能となった1980年代以降、多くの製品が作られている。原型の忠実な複製が可能で、シャープなエッジも複雑な生物的表現も可能であるため、キャラクターモデル系とスケールモデル系のどちらにも対応している。塗装や接着も比較的容易である。スケールモデル系のフルキットを生産するメーカーも多いが、近年中国や旧共産圏のメーカーがそれまでレジンキャストキットしかなかったマイナーな戦車や航空機をインジェクションで製品化するケースが増加し、その影響を受けることも少なくない。

メタルキャストキット

ホワイトメタルと呼ばれる、アンチモンビスマスを主体とした低融点の合金を、耐熱性シリコーンゴム型などに注型(鋳造)して生産されるキット。硬化時間が短く、レジンキャストとは違い、鋳込みに失敗した材料を再利用できる。発泡は少なく、複雑な形状でも、単純な遠心成形で欠損のない成形品が得られ易い。レジンキャストと同様、ゴム型は熱により消耗し大量生産には向かない。金属を材料としているため、接着と塗装は多少難しい。金属の鋳造法には石膏型を用いるロストワックスや、金型を用いるダイカストなどもある。ロストワックスはホワイトメタルより強度の高い真鍮などによる精密鋳造が可能で、強度と精密さが必要な部品などに使用される。ダイカストは大量生産に向いた方法であり、ミニカーなどの玩具に用いられることが多い。

欧米では古い時代から、いわゆる「鉛の兵隊」としてホワイトメタル製の兵隊人形が作られていた。また、ウォーゲームのコマとして各種フィギュアのほか、1/1200ないし1/1250の艦船や1/285の軍用車両等の小型の模型が作られていた。より大型のホワイトメタル製フルモデルとして、1/43の自動車や1/76の軍用車両、1/700の艦船などのキットも作られている。ファンタジー系のゲーム用にドラゴンやロボット、宇宙船なども作られている。連結式のキャタピラなどのディテールアップ用パーツもある。メタルフィギュアは個人や家内工業的な小メーカーで作られるケースも多く、文字通りガレージで生産することが可能で、ガレージキットのルーツの一つと言える。日本ではダイカスト製の玩具は作られていたが、ホワイトメタル製のフィギュアなどはほとんど作られていなかったため、ホワイトメタル製のガレージキットも多くはない。ガレージキット黎明期にゼネラルプロダクツなどからキットが発売されていた後は、ツクダホビーから一時期出ていた『スター・ウォーズ』関連などのキットや、トキホビーなどの1/144航空機、ピットロードなどの1/700キットやパーツなどが主なものである。ただし、鉄道模型船舶模型の分野では、ホワイトメタルや、ロストワックスによるアクセサリーパーツなどが、ガレージキットという言葉が生まれる以前から日本でも盛んに作られている。

ソフトビニールキット

ソフトビニールキットは、スラッシュ成型と呼ばれる方法で作られ、液状の塩化ビニルモノマーを金型に流し込んで加熱し重合して得られる、中空の軟質樹脂(ソフトビニール=ポリ塩化ビニル)製部品で構成される。ソフトビニールは中空の成形品を熱で柔らかいうちに脱型するため、型を分割しなくても型の入り口より大きくある程度逆勾配をもつ部品を成形できる。金型であるため大量生産にも向くが、成形には専門の技術者が必要。中空で成形されるので大型の商品に向いている。逆に薄いものや細いものは成形が難しい。脱型の際に一度変形することもあり幾何学形状などを正確に複製するには工夫がいる。また逆勾配でも成形できるといっても抜ける大きさや角度には限度があるため、原型製作および部品分割時にはそれを考慮する必要がある。素材の特質から通常のプラモデル用塗料の定着が悪く、年月の経過と共に素材から揮発する溶剤分で塗膜が溶出する。高い温度の環境に置くと変形し、直射日光の紫外線で変質するなど、経年変形が大きい。塩化ビニルの変質による健康への影響も懸念される。

ソフトビニールは1950年代以降人形などの玩具に広く使用されている。特に1960年代後半の第一次怪獣ブーム時にマルサン商店の発売したソフトビニール製の怪獣人形は大ヒットを記録した。しかしこれらの初期のソフビ怪獣は実際に画面で見た印象とかけ離れた造形のものが多かったため、ガレージキット黎明期にはソフトビニールはレジンキャスト製のリアルなガレージキットと対極の位置にあるものと考えられていた。その考えを180度改めさせたのがビリケン商会が1983年に発売したメタルーナ・ミュータントである。従来のソフビ人形とほぼ同じ手法で作られ、一部の勘着部が動くギミックまで持っていたのにも関わらず、ハママヤオの造形によるリアルなプロポーションと、詳細なモールドは、従来のソフビ人形とは完全に一線を画すものだった。また価格も先行して発売されたレジンキャスト版の1/3と非常に低く設定されていた。この製品はガレージキットファンからの高い評価を受け、以後ビリケン商会はハママヤオ原型によるソフトビニールキットを次々と発売した。程なくツクダホビーが追随し、その後海洋堂などの他のガレージキットメーカーもソフトビニールキットを手がけるようになった。また、初期のキットの多くがムービーモンスターを題材にしていたこともあり、アメリカに輸出されたビリケン商会製のキットは高い人気を得、アメリカでもホライゾン等の幾つかのメーカーがソフトビニールキットを手がけるようになった。

簡易インジェクションキット

簡易インジェクションキットは、通常の射出成形で使用される金型の代わりに、樹脂または軽合金等の簡易金型を使用し、ポリスチレンを低圧で射出して作られる。樹脂型は、原型師の作成した原型を金属粉などを混入することにより耐熱性と強度を高めた樹脂で直接型取りして作られる。表面のモールド等は原型に施されたものがそのまま反映されるが、型取りの際に形状にゆがみが生じる場合もある。型の寿命も短い。簡易金型は、電鋳技術を用いて原型を型取りして作られる。表面のモールド等がそのまま反映される点は樹脂型と同じであるが、型取り時の変形は少なく、型の寿命も樹脂型より長い。反面、製造コストも高くなる。成形品には組み立て用のガイド等は設けられていない場合が多いが、材質はプラモデルと同じであるので、ほぼ同じ手順で組み立て、塗装を行うことが出来る。ただし、樹脂型では透明度の高い部品の成形や、細かいディールの再現が難しいため、航空機のキャノピー用に透明な塩ビ板やプラスチック板をバキュームフォーム成形した物が入っていたり、ディテールアップ用にレジンキャストやエッチング製の部品が入っている場合もある。

簡易インジェクションキットは、1980年代にアメリカやイギリスなどで樹脂型による航空機のキットが作られ始めた。プラモデル化されていない機体のフルキット以外に、既存キットを他のタイプに改造するためのキットも発売された。一部のキットにはプロペラや脚柱用にホワイトメタル製の部品がセットされていた。これらの初期のキットは、形状、細部の表現ともに大まかに作られており、ビニール袋または簡素なパッケージに入れて販売されていた。1990年代に入ると、チェコのMPMを始めとする旧ソビエト、東欧圏のメーカーが活動を開始する。これらの新しいメーカーの製品の多くは、表面に繊細なモールドが施され、樹脂型特有の組みにくさはあるものの、外形もほぼ正確に作られていた。また、パッケージなども通常のインジェクションキットと同等のものが使用されていた。さらに、1990年代後半以降に導入された軽合金型を使用した製品は、通常のインジェクションキットと遜色の無いものとなっている。日本ではインジェクションキット志向が強かったため、簡易インジェクションキットは少なく、スケールモデルではグリフォンが1990年前後に発売したSu-22がほぼ唯一の例である。キャラクターモデルでは1990年代半ばにバンダイが発売したLM(リミテッドモデル)シリーズが原型を直接型取りした簡易金型を使用していたほか、ガレージキットメーカーがプラモデルに参入する際に同様の簡易金型を使用することもあった。またツクダホビーが1980年代半ばに発売していたジャンボフィギュアは、商品の形態は簡易インジェクションキットに近いが、材質にポリスチレンではなくポリ塩化ビニルの一種を使用していた。

インジェクションキット

射出成形による通常のプラモデルであり、本来ガレージキットに含まれる性質のものではないが、開発の経緯がガレージキットに類似する、インジェクションガレージキットと呼ぶべきものも存在する。特に日本では金型の製造コストが比較的低かったこともあって例が多い。その代表的なものがマニアホビーが1970年頃に製作した1/72スケールの九七式戦闘機である。当時陸軍の一式戦闘機から五式戦闘機までは1/72のプラモデルが存在し、海軍機では九六式艦上戦闘機までモデル化されていたのに対し、日中戦争で活躍した九七式戦闘機は1/72のキットが存在しなかった。そこで、メーカーが作らないのであれば自分たちで作ろうと言う、ガレージキット的発想で模型マニア数名が立ち上げたのがマニアホビーである。作られたキットは当時の最新の考証を取り入れた上質のインジェクションキットで、表面にヒケを生じさせないためにあえて位置決め用のピンを設けないなど、マニアならでの工夫も取り入れられていた。さらに、初版の製品は一般の模型店のルートを通さず通信販売のみとし、ダンボール製の質素な箱に入れて販売すると言う、ガレージキット的方法がとられた。このキットは模型ファンの人気を呼びマニアホビーはその後模型メーカーとしての道を進むことになる。九七式戦闘機も再発売分からは通常のパッケージに入れられ、模型店ルートで販売された。マニアホビーは10年足らずの間に10点ほどのキットを発売した後解散し、プラモデルの金型はハセガワに売却された。このような、メーカーの作らないキットを自分で作ると言う発想で作られたキットには、他にも模型店のホビースポットUが開発したX-1XF5U、モーブのP-40、スウィートのマッキ MC.200などがある。キャラクター系でも、実現はしなかったものの、ハセガワがマクロスのモデル化を行う以前に、個人レベルでCADを利用してVF-1 バルキリーのインジェクションキットを作る計画があった。

別のタイプとしては絶版キットの復刻がある。1980年代、日本ではマルサン製の怪獣キット、アメリカではオーロラ製のモンスターキットのレジンキャスト製の複製が作られ、一部が流通していたが、1990年代末にアメリカのポーラーライツはインジェクションキットでそれを行った。ポーラーライツは金型の現存する旧オーロラ製キットの再生産も行っているが、金型の現存しないものについては、オリジナルのキットを電鋳等で型取りして新たに簡易金型を作成し、販売を行った。これはマニアの行為とほぼ同じであるが、インジェクションキットのため安価な点と、版権所有者の正規の許諾を受けていた点が異なっている。ポーラーライツの活動が低調になった後、アメリカのメビウスも同様に旧オーロラ製キットの復刻を行っている。

既存キットの改造やディテールアップ用のパーツにはインジェクション成形されたものも多い。その代表的な例が1980年代半ばにモデルカステンが初めて発売した連結式キャタピラである。当時の1/35クラスの戦車のキャタピラは軟質樹脂のベルト状のものが普通で、形状的に正確なものは少なかった。そのため、一部のモデラーは予備キャタピラのインジェクション部品を集めてキャタピラを再現しており、それをヒントに本製品は開発された。キャタピラ1枚ずつの連結式と言う構成は、金型を小さくし製作コストを下げる意味合いもあった。発売当初は知名度も低く、戦車本体よりはるかに高価なキャタピラのみのキットというこれまでになかった商品はなかなか理解されなかったが、グンゼ産業(現・GSIクレオス)の発売したこれもガレージキット的な意味合いの強かった、マルチマテリアルキットの「ハイテックシリーズ」に同梱されて以降、知名度も上がり、次第に普及していった。現在では連結式キャタピラのみならず、ファインモールドのナノ・ドレッドシリーズなどインジェクション成形のディテールアップ用パーツは大小の多くのメーカーから発売されている。

また、近年の3D-CAD/CAM の低価格化により、イベントのアマチュアディーラーの中にも、架空機の1/144キットを販売している青空モデルのように、少数ではあるが自ら製作したオリジナルのインジェクションキットやパーツを供給する者がいる。

エッチングキット

エッチングは、金属板を腐食性の液体で溶かし、板厚を薄くしたり穴をあけたりする金属加工である。元々は印刷の版を作成したりプリント基板ブラウン管シャドーマスクを製造する技術だった。材料は、真鍮・洋銀 (洋白)・燐青銅などが用いられる。腐食させたくない部分に塗料を塗ったり、レーザープリンタやコピーのトナーをアイロンによる転写などの方法で自作も可能であるが[6]、ある程度の量産をする場合や精度の要求によっては、写真技術を応用し、感光剤でマスキングする[7]。金属板上に精緻な模様をつけたり、薄い金属板の場合には細かな抜き加工をすることも可能である。製品は薄板状のため、厚みのあるもの、面積(体積)の大きいものには向かない。生産費も高く、設備・技術にも専門性を求められる。製版フィルムが残っていれば製版は何度も繰り返すことができる。

エッチングのみで一つの完成品となるキットはエアロベースの一連の作品など極僅かであり、ディテールアップ用のエッチングパーツとして使われるケースが殆どである。1/700や1/350スケールの艦船モデルに使用したときの効果は大きいが、カタパルトのように立体的に組み立てる必要のある部材の加工には、非常に繊細な作業が要求される。

光硬化樹脂キット

3D プリンターを用い、光硬化樹脂を硬化させて成形する。原型を作ったり、型取りをすることなく、3次元データさえあれば作成でき、型で成形する時は分割する必要のあるものでも一体で成形できるなどの特徴があるが、精度とコストの面であまり一般的ではない。CADで設計を行った場合も、プリンター出力したものに修正を加えて原型とし、レジンキャストで複製する方が一般的である。近年ではオンデマンドで3Dデータを主力するサービスが普及しつつある[8]

NC 加工キット

レーザーカッターフライス盤ワイヤーカッターなどのNC工作機械によって製造された製品。生産費は安いものではないが、安定して一定精度の部品を生産できる。機能部品などに用いられる。原型製作をNC加工で行うこともあるが、ガレージキットがもともと設備投資を抑えて作られてきた経緯からしても一般的ではない。データが残っていればいくらでも生産が可能だが、少数生産向きである。 1996年12月にローランド ディー. ジー.から3DプロッタMODELA model MDX-3が発売され、1997年に3DスキャナーのPICZA(ピクザ)model PIX-3が発売されたことにより、数値制御工作機械での加工、3Dデータの座標入力の敷居が大幅に下がった事で一部の愛好家の間で原型の製作に用いられ、モデルグラフィックスモデル・カーズの誌面でも取り上げられた。

各パーツを毎回工作機械で削りだして製作するキットは、美術工芸品としての精密縮尺の装飾銃やライブスチームなどの限られた分野のメーカーによる製品がほとんどであるが、戦車や戦艦の砲身のディテールアップに用いられる真鍮挽物部品は、NC加工で作られている場合もある。また、近年はレーザーカッターで紙や薄い木板を加工した製品も作られている。これらはエッチングパーツとほぼ同等の加工が可能であり、エッチングパーツより遥かに厚くても切り抜くことが出来る。製品は木の質感や紙の柔軟性を生かした使い方が可能であり、特に艦船模型用の木製の甲板パーツは、塗装での再現の難しい木甲板をリアルに表現することが出来る。

プラ板キット

プラスチック板に部品の展開図が印刷されており、ペーパークラフトのように切り出して組み立てるキット。一時期、主に戦車キットの改造用として販売されていたが、レジンキャストキットの普及とともに姿を消した。

ペーパークラフト

紙に印刷された部品を切り抜いて組み立てるペーパークラフトは、日本でも古くからある独立したジャンルであり、ガレージキットとみなされることは少ないが、ガレージキットの黎明期にはゼネラルプロダクツのメーサー殺獣光線車のようにガレージキット色の強いものも作られていた。また近年は個人でもパソコンを用いて比較的容易にペーパークラフトを作れるようになったため、自作のペーパークラフトを模型イベントで販売したり、インターネット上で公開することも少なくない。

マルチマテリアルキット

インジェクション、簡易インジェクション、レジンキャスト、メタルキャスト、バキュームフォーム、エッチング、NC加工などの複数の素材や製法で作られた部品を、その適性に応じて組み合わせたキット。複合素材キット、マルチメディアキットとも呼ばれる。


  1. ^ YouTube - 特撮リボルテック:聖 咲奇氏 コメント その1 ワンダーフェスティバル2010[冬]の特撮リボルテックブースに、「ガレージキットの名付け親」こと聖 咲奇氏にご来場いただきました!
  2. ^ MFLOG創刊号 小田雅弘「ガレージキット誕生物語」
  3. ^ 「永遠なれ!巣鴨サーキット」 - くるま村の少年たち(くるま村工房)、2023年11月21日閲覧。
  4. ^ THE ORIGINAL MODELS PART2 modeling by hirofumi makino - くるま村の少年たち(くるま村工房)、2023年11月21日閲覧。
  5. ^ 『日本プラモデル50年史』 P254
  6. ^ オリジナルエッチングパーツ製作法『F式』
  7. ^ エッチングの基礎
  8. ^ 3D出力サービス





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