カンガルー 人との関わり

カンガルー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/02 05:22 UTC 版)

人との関わり

獣害と駆除

高速道路を横切るカンガルー
道路標識
「カンガルーに注意」

オーストラリアではカンガルーをはじめとする野生動物が突然道路に飛び出してくるため、自動車との衝突事故が多発している。事実、田舎の高速道路の道ばたには、カンガルーやその他野生動物の死体を見かけることが多い。このような事故から車体の損傷の被害を最小限に抑えるためにバンパーを取り付ける車もあり、バンパーのことはルー・バー (Roo Bar) と呼ばれている。

オーストラリアではいくつかの種が絶滅、あるいは絶滅の危機に瀕している中、一部のカンガルー類はその生息数を増やし続け、現在の生息数は主要な4種だけで5000万頭以上とも言われている[6]。そのために、環境や農業へ被害を与えているともいわれ、特に近年は、旱魃の影響により、人の生活圏の側までカンガルーが進出してきたと問題になっている。また、気候変動の影響を指摘する声もある[7]

オーストラリア国防省は、2007年5月14日に旱魃の影響を受けた地域で野生のカンガルーによる深刻な被害が出たとして、キャンベラ近郊の軍用基地 2カ所で 3200 匹前後の駆除を発表した。これに対し動物保護団体からは抗議の声が挙がった[8]。一度は撤回したものの、翌2008年5月に、オオカンガルー514頭が駆除された。王立動物虐待防止委員会 (RSPCA) を含む動物管理の専門家の協力で安楽死による駆除が実行されたものの、動物保護団体や動物愛護運動家から猛反発が起きており、この際にも10人以上の動物愛護運動家が逮捕されるなどした[9]

スーパーで売られているカンガルー肉

食用

一方で、一部のカンガルー類において個体数が増加し、環境や農業へ被害を与えている数種のカンガルーを対象に、年間300万頭前後が商業的に狩猟され[10]、その肉はオーストラリア国内での消費をはじめ、世界55国へ輸出されている[11]

オーストラリア国内では食用肉としてバーベキューステーキソーセージミンチ肉ケバブなどの形で、大手スーパーの精肉コーナーで販売され、消費されている。なお、カンガルーの肉はアボリジニの代表的なブッシュ・タッカーとして古くから消費されてきた。

その他の利用

毛皮や皮革はぬいぐるみや財布など様々な製品に加工され、広く販売されている。

象徴

オーストラリアの国籍マーク

オーストラリアの国章エミューとともに描かれており、これらがオーストラリアの国獣とされる。オーストラリアを代表する動物とされている。

野生化の疑い

日本国内では野生種の存在は確認されていないが、2003年ごろから宮城県大崎市岩出山の真山地区周辺で、カンガルーらしき動物を目撃したとの報告が多数寄せられている[12]。正式な手続きを踏めば個人での飼育も可能なため、逃げ出した個体とも考えられるが、テレビの取材に答えた八木山動物園の飼育係の意見では、東北の気候での生存は難しいという。写真なども撮影されていないため真偽も不明であるが、目撃証言は2010年になっても寄せられており、同地区には誰かが設置したカンガルーの横断に注意を促す標識があるという[13]

死亡事故

2022年9月11日、オーストラリア南西部レドモンドに住む男性が飼育していたペットのカンガルーに襲われて死亡した[14]。オーストラリアのメディアによると、カンガルーによる人間の死亡事故は1936年以来であるとしている[14]


  1. ^ a b Colin P. Groves, "Order Diprotodontia," Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 43 - 70.
  2. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1 - 53頁。
  3. ^ a b c 松村明編 「カンガルー」『大辞林 4.0』 三省堂、2019年。
  4. ^ a b Etymology of mammal names. Retrieved January 7, 2007. ※2023年1月1日閲覧
  5. ^ Cath Jones & Steve Parish,Field Guide to Australian Mammals,Steve Panish Publishing,2004,pp. 106-145.
  6. ^ Young People's Trust for the Environment. “Australian Wildlife part 2”. 2010年3月16日閲覧。
  7. ^ 豪干ばつ、野生動物が直面する危機的状況 交通事故も急増AFPBB
  8. ^ ロイター (2007年5月15日). “オーストラリア首都近郊でカンガルーの大量駆除を計画”. 2009年1月25日閲覧。
  9. ^ A A P (2008年6月2日). “カンガルー駆除終了 514頭が安楽死”. 2009年1月25日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ Department of the Environment, Water, Heritage and the Arts. “Kangaroo and wallaby harvesting statistics”. 2009年1月25日閲覧。
  11. ^ Department of the Environment, Water, Heritage and the Arts. “2009 Commercial kangaroo and wallaby harvest quotas”. 2009年1月25日閲覧。
  12. ^ カ、カンガルー生息?! 大崎・岩出山のミステリー 河北新報 2009年11月26日 06:10[リンク切れ]
  13. ^ 雪深い山里にカンガルー?宮城で目撃談相次ぐ AFP 2010年3月9日閲覧
  14. ^ a b カンガルーに襲われ男性死亡 豪州、1936年以来の事故か|全国のニュース|京都新聞” (日本語). 京都新聞. 2022年9月15日閲覧。


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