カザフスタン 社会

カザフスタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/04/01 02:29 UTC 版)

社会

家族

カザフ人は父系の出自を大きなアイデンティティとしている。父系の氏族、「ルゥ」に帰属を持ち44の主要なルゥがある。このルゥは民族の成立以前からあるものもある。結婚後もルゥは変わることはない。ソ連時代は家父長制度であると批判されたが集団化抗議による家畜屠殺、それに伴う膨大な餓死者(一説には220万人)も発生し集団化は見直されルゥを元にした組織となった[37]

婚姻

婚姻時に、婚姻前の姓を保持する(夫婦別姓)か、共通の姓(夫婦同姓)か、複合姓に改姓することから選択することが可能である。すでに複合姓である場合にさらに追加することはできない。改姓した場合、離婚時には、婚姻時の姓を保持することも元の姓に戻すことも可能である[38]

交通

旧ソ連の一部であったカザフスタンの鉄道は1520mm広軌であるために今でも頻繁に国際列車が運行され、ソ連時代からのエレクトリーチカや客車が各国で使用されており、旧ソ連政府の影響により電化率は高い。カザフスタンの1520mmと中国の1435mmとの間で軌間変換をするために、カザフスタン鉄道は新型車両としてスペインのタルゴの軌間可変車両を導入した。しかし、近年カザフスタンでは2006年より標準軌 (1435mm) への改軌や新線建設の計画が進み、4年ほどで建設が終わるとされていたが、現在は標準軌の計画は既に挫折している。[39]

国民

国土の大部分は砂漠乾燥したステップで占められており、そのため人が住めるところは少なく、人口の大半は首都と一部の地域に偏在している。2015年の人口は1760万人程度であり、2010年の統計では、世界第61位となっている。

住民

民族構成(カザフスタン)
カザフ人
  
67%
ロシア人
  
20%
ウズベク人
  
3%
ウクライナ人
  
2%
その他
  
8%
構成はカザフ人が67.47%、ロシア人が19.76%、ウズベク人が3.18%、ウクライナ人が1.53%、ウイグル人が1.46%、タタール人が1.11%、ヴォルガ・ドイツ人が0.99%、その他4.5%(2018)となっている[26]
その他内には朝鮮系が入っているが、彼らの多くは現時点で3、4世代目となっており、民族的教育も育まれることがない為、母語である朝鮮語を話せない場合が多い[注釈 1][40]
ソ連時代の名残りにより、国内では現在もロシア語風の姓名を用いる世帯が多い。また、以前はカザフ人よりロシア人の割合の方が高かったが、独立以降多くのロシア人が転出し、カザフ人の割合が徐々に増加し逆転した。
さらにカザフスタン政府が在外カザフ人の帰還を進めており、1991年から2014年1月1日までに94万4500人のカザフ人が移住してきている。在外カザフ人は本国のカザフ人と比べよりカザフ文化を受け継いでいるが、それは本国はソ連時代にロシア化が進んだ為である[41]。しかし、それに反してソ連時代の名残りが根強い為、本国のカザフ人同様に人名にはロシア語風の姓名を用いる割合が非常に高いことが特徴ともなっている。現在、ロシア人はロシアへの移住により減少傾向にある[42]

言語

憲法ではカザフ語が国家語、カザフ語とロシア語公用語と定められている。カザフ語は国語とされるが、カザフスタンにおいてカザフ語を話すことができるのは全人口の64.4%に過ぎない。一方、ロシア語はロシア系のみならずに、ソ連時代から95%の住民が使用しており、異民族間の交流語として、カザフ語と同様の地位を与えられている。取り分け都市部においてはロシア語を母語とし、カザフ語を全く話せないカザフ人も多いなどカザフ語よりもはるかに広く使われているのが実情である。
政府メディアを通してカザフ語の普及を図り、政府機関等では積極的に使用されているものの効果は現れておらず、その為 現地政府は外国映画にカザフ語での吹き替えを義務付ける文化法改正法案を議会で審議している。法案が通ればカザフスタンはロシア系住民が約30%であり、ロシア以外では最多であるカザフスタンで今後ロシア映画が原語で上映出来なくなる可能性がある。なお、カザフ国内ではカザフ語において旧ソ連が独立して以降同じ中央アジアであるウズベク語トルクメン語が行ったようなキリル文字からラテン文字への切り替えを進めており、ナザルバエフ大統領は2025年までの完了を命じている[43]。当然ながら、カザフ語と共に公用語である国内では最も広範囲に使われているロシア語はキリル文字表記のままであり、公用語から除外されるわけではない。
カザフスタンはヴォルガ・ドイツ人の移住・追放先の一つであったため、現在でも全人口の1.1%程に当たる18万人がドイツ語を話す。

宗教

2009年の調査では、イスラム教が70.2%、キリスト教が26.2%、無宗教が2.8%となっている[44]。イスラム教徒が多数を占めるが戒律は緩く、飲酒なども公然と行われている。

教育

義務教育は6歳からの8年間と定められている。国民の識字率は国民全体の98.4%となっている。
なお、カザフスタンは中央アジアにおいて国立大学の数が非常に多く、国際学校も豊富に揃っていることが特徴である。

文化

イスラム教徒の聖地の一つホージャ・アフマド・ヤサヴィー廟

カザフ人は高度に発達した遊牧民としての文化があった。 8世紀、アラブ人が当時のカザフスタンに当たる地域のカザフ人と交流するようになると、この地はイスラム教の影響を受けるようになった。

現在は旧ソ連中央アジアの中でもっとも文化的にヨーロッパ化された国と言える。ロシア語話者も多く、イスラム教徒であっても戒律を厳格に守る者は少ない。

食文化

文学

音楽

世界遺産

カザフスタン国内には、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の世界遺産リストに登録された文化遺産が3件、自然遺産が1件存在する。

祝祭日

日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 元旦
3月8日 国際婦人デー
3月22日 ナウルズ(新年)
5月1日 民族同調記念日
5月9日 戦勝記念日 1945年ナチス・ドイツソ連などの連合国に対して無条件降伏した日。これはソ連時代から引き継いでいるものである
8月30日 憲法記念日
10月25日 共和国の日
12月16日 独立記念日 1991年にカザフスタン共和国がソビエト連邦に対する主権宣言を採択した日

スポーツ

一般的な競技

1991年の独立時よりアジアオリンピック評議会に加盟している。独立後初の大型国際大会となった1994年アジア競技大会では中華人民共和国日本大韓民国に次ぐ金メダル数で第4位となり、以降の夏季アジア競技大会では金メダル数4位の座を維持。1996年アジア冬季競技大会で日本、韓国を上回る14個の金メダルを獲得したように、アジアでの競技レベルは全般に高い。2011年にはアスタナおよびアルマトイで冬季アジア競技大会が開催された。OCA憲章の改定前には東アジア競技大会に2度参加したこともある。

サッカー

地理的にはアジアに属し、カザフスタンサッカー協会は独立当初はアジアサッカー連盟(AFC)に加盟したものの、2002年1月1日をもってAFCを脱退し、欧州サッカー連盟(UEFA)に加入した。その為、FIFAワールドカップ欧州選手権の本大会・予選を通じてUEFAに加盟の有力国と対戦する機会が多い。またカザフスタンの国内リーグ優勝チームはUEFAチャンピオンズリーグ予選に出場できる。

ロードレース (自転車競技)

2006年6月から、首都アスタナの名義で国際自転車競技連合が主宰するUCIプロツアーに出場する資格を有するチームのスポンサーになった。資金はカザフスタンの主要5企業が出資している。スペインで開かれるブエルタ・ア・エスパーニャでは、カザフスタン人のアレクサンドル・ヴィノクロフ2006年度の総合優勝、アンドレイ・カシェキンも総合3位となった。

ラグビー

2015年大会までラグビーワールドカップ出場は果たせていないが、アジア五カ国対抗では2009年と2010年の2度準優勝を果たし、2011年のワールドカップ予選の最終プレーオフまで進んだ。女子はワールドカップの常連となっている。



注釈

  1. ^ 現地では[кореец](ロシア語で「高麗人」の意)と呼ばれている。

出典

  1. ^ カザフスタン共和国基礎データ”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  2. ^ a b c d World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2019年3月10日閲覧。
  3. ^ Kazakhstan”. Britannica ∣language=英語. 2018年1月13日閲覧。
  4. ^ 田中洋之 (2014年2月8日). “カザフスタン:国名変更へ…スタン取り近隣諸国と違いPR”. 毎日新聞. オリジナルの2014年2月22日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222134216/http://mainichi.jp/select/news/20140209k0000m030025000c.html 2017年3月6日閲覧。 
  5. ^ “Kazakhstan will not change its name to get rid of the “stan” ending: Foreign Minister” (英語). Tengrinews. (2014年6月13日). https://en.tengrinews.kz/politics_sub/Kazakhstan-will-not-change-its-name-to-get-rid-of-the-stan-254165/ 2017年3月6日閲覧。 
  6. ^ ヘロドトス『歴史』巻4-13
  7. ^ ストラボン『地理誌』、アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』
  8. ^ 『史記』(大宛列伝)、『漢書』(西域伝)、『後漢書』(西域伝)、『三国志』(裴注『魏略』西戎伝)
  9. ^ 『魏書』(列伝第九十 西域)、『北史』(列伝第八十五 西域)
  10. ^ 松田壽男『古代天山歴史地理学研究』
  11. ^ 岩村 2007,p118
  12. ^ 山田信夫『北アジア遊牧民族史研究』
  13. ^ 小松 2005,p166-167
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  15. ^ カザフスタン国別評価
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  17. ^ Statistics and Data>Crime data>Other Crimes>Robbery”. UNODC. 2019年2月24日閲覧。
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  19. ^ カザフスタン:アクトベ州アクトベ市における銃撃戦の発生に伴う注意喚起外務省 2016年6月6日
  20. ^ カザフスタン:アクトベ州アクトベ市における銃撃戦の発生に伴う注意喚起(更新)外務省 2016年6月15日
  21. ^ カザフスタン、来年1月15日まで延長Qnewニュース 2016年8月16日
  22. ^ Blogspot.com,Wordpress.com
  23. ^ カザフスタンを知るための60章 253~254頁
  24. ^ 「シリア和平協議 捕虜交換議題に ロシア主導」『毎日新聞』朝刊2017年11月1日
  25. ^ IAEA、核燃料バンク施設完成 カザフスタンに設立共同通信2017年8月30日
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  39. ^ [1]
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  41. ^ カザフスタンを知るための60章 第52章305~309頁
  42. ^ カザフスタンを知るための60章308~309頁
  43. ^ NIKKEI ASIAN REVIEWから】カザフスタン/ローマ字移行 ロシアに背「欧米追従」一部に批判『日経産業新聞』2017年7月20日アジア・グローバル面
  44. ^ The results of the national population census in 2009 (The Agency of Statistics of the Republic of Kazakhstan) http://www.eng.stat.kz/news/Pages/n1_12_11_10.aspx





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