カザフスタン 交通

カザフスタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/04 01:19 UTC 版)

交通

旧ソ連の一部であったカザフスタンの鉄道は1,520mm広軌であるために今でも頻繁に国際列車が運行され、ソ連時代からのエレクトリーチカや客車が各国で使用されており、旧ソ連政府の影響により電化率は高い。

カザフスタンの1,520mmと中国の1,435mmとの間で軌間変換をするために、カザフスタン鉄道は新型車両としてスペインのタルゴの軌間可変車両を導入した。

しかし、近年カザフスタンでは2006年より標準軌(1,435mm)への改軌や新線建設の計画が進み、4年ほどで建設が終わるとされていたが、現在は標準軌の計画はすでに挫折している[33]

国民

国土の大部分は砂漠乾燥したステップで占められており、そのため人が住めるところは少なく、人口の大半は首都と一部の地域に偏在している。2015年の人口は1,760万人程度であり、2010年の統計では、世界第61位となっている。

住民

民族構成(カザフスタン)
カザフ人
  
68%
ロシア人
  
19%
ウズベク人
  
3%
ウクライナ人
  
1%
その他
  
9%

構成はカザフ人が67.98パーセント、ロシア人が19.32パーセント、ウズベク人が3.21パーセント、ウクライナ人が1.47パーセント、ウイグル人が1.47パーセント、タタール人が1.10パーセント、ヴォルガ・ドイツ人が0.97パーセント、その他4.5パーセント(2019年)となっている[21]

「その他」の中には朝鮮系が入っているが、彼らの多くは現時点で3、4世代目となっており、民族的教育も育まれることがないため、母語である朝鮮語を話せない場合が多い[注釈 2][34]

ソ連時代の名残りにより、国内では現在もロシア語風の姓名を用いる世帯が多い。

現在、ロシア人はロシアへの移住により減少傾向にある[35]。以前はカザフ人よりロシア人の割合の方が高かったが、独立以降多くのロシア人が転出し、カザフ人の割合が徐々に増加し逆転した。

さらにカザフスタン政府が在外カザフ人の帰還を進めており、1991年から2014年1月1日までに94万4,500人のカザフ人が移住してきている。在外カザフ人は本国のカザフ人と比べ、よりカザフ文化を受け継いでいるが、それは本国はソ連時代にロシア化が進んだためである[36]。しかし、それに反してソ連時代の名残りが根強いため、本国のカザフ人同様に人名にはロシア語風の姓名を用いる割合が非常に高いことが特徴ともなっている。

言語

憲法ではカザフ語が国家語、カザフ語とロシア語公用語と定められている。カザフ語は国語とされるが、カザフスタンにおいてカザフ語を話すことができるのは全人口の64.4パーセントに過ぎない。一方、ロシア語はロシア系のみならず、ソ連時代から95パーセントの住民が使用しており、異民族間の交流語として、カザフ語と同様の地位を与えられている。とりわけ都市部においてはロシア語を母語とし、カザフ語をまったく話せないカザフ人も多いなど、カザフ語よりもはるかに広く使われているのが実情である。

政府メディアを通してカザフ語の普及を図り、政府機関などでは積極的に使用されているものの、効果は現れていない。

たとえば外国映画は、主にロシアで作られたロシア語吹き替え版が上映されている[37]。これに対し2012年、文化法改正法が施行され、外国映画にカザフ語吹き替えが義務づけられた。カザフスタンはロシア系住民が約20パーセントと中央アジアでは最多であるにもかかわらず、この法律により、カザフスタンでロシア映画を原語で上映できなくなる可能性があった。しかしこの法律は吹き替えコストの問題で空文化し、カザフ語吹き替え映画は政府の資金援助を受けた12本ほどにとどまった[37]。そのため2016年、カザフ語字幕でもよいと緩和した上で改めて義務づけられた[37]

カザフ語に関しては、同じ中央アジアの旧ソ連国家であるウズベキスタントルクメニスタンウズベク語トルクメン語に行ったような、キリル文字からラテン文字への切り替えを進めており、ナザルバエフ大統領は2025年までの完了を命じている[38]。当然ながら、カザフ語とともに公用語である国内ではもっとも広範囲に使われているロシア語はキリル文字表記のままであり、公用語から除外されるわけでもない。

カザフスタンはヴォルガ・ドイツ人の移住・追放先のひとつであったため、現在でも全人口の1.1パーセントほどにあたる18万人がドイツ語を話す。

婚姻

婚姻時に、婚姻前の姓を保持する(夫婦別姓)か、共通の姓(夫婦同姓)か、複合姓に改姓することから選択することが可能である。すでに複合姓である場合にさらに追加することはできない。改姓した場合、離婚時には、婚姻時の姓を保持することも元の姓に戻すことも可能である[39]

宗教

2009年の調査では、イスラム教が70.2パーセント、キリスト教が26.2パーセント、無宗教が2.8パーセントとなっている[40]

なお、イスラム教徒が多数を占めるものの同国においてその戒律は緩く、飲酒なども公然と行われている。

教育

義務教育は6歳からの8年間と定められている。国民の識字率は国民全体の99.8パーセントとなっている[41]

なお、カザフスタンは中央アジアにおいて国立大学の数が非常に多く、国際学校も豊富に揃っていることが特徴である。

保健

国内における全ての専門分野の医師の数は50.6千人(国民1万人辺りにつき約33.9人)となっている。

社会

家族

カザフ人は父系の出自を大きなアイデンティティとしている。父系の氏族「ルゥ」に帰属を持ち、44の主要なルゥがある。このルゥは民族の成立以前からあるものもある。結婚後もルゥは変わることはない。ソ連時代は家父長制度であると批判されたが、集団化抗議による家畜屠殺、それにともなう膨大な餓死者(一説には220万人)も発生し集団化は見直され、ルゥを元にした組織となった[42]


注釈

  1. ^ この他、初代大統領ナザルバエフは与党である「ヌル・オタン」党の党首も兼ねており、現大統領らと共に国家を指導する地位に立っている。
  2. ^ 現地では[кореец](ロシア語で「高麗人」の意)と呼ばれている。

出典

  1. ^ 外務省 カザフスタン共和国
  2. ^ カザフスタン共和国基礎データ”. 外務省. 2018年11月5日閲覧。
  3. ^ a b c d World Economic Outlook Database, October 2018” (英語). IMF (2018年10月). 2019年3月10日閲覧。
  4. ^ Kazakhstan”. Britannica ∣language=英語. 2018年1月13日閲覧。
  5. ^ 中國大使館稱哈薩克斯坦出現「不明肺炎」,哈衛生部稱是「假新聞」”. BBC. 2020年12月1日閲覧。
  6. ^ 哈萨克斯坦国家概况”. 中華人民共和国外国部. 2020年12月1日閲覧。
  7. ^ 田中洋之 (2014年2月8日). “カザフスタン:国名変更へ…スタン取り近隣諸国と違いPR”. 毎日新聞. オリジナルの2014年2月22日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140222134216/http://mainichi.jp/select/news/20140209k0000m030025000c.html 2017年3月6日閲覧。 
  8. ^ “Kazakhstan will not change its name to get rid of the “stan” ending: Foreign Minister” (英語). Tengrinews. (2014年6月13日). https://en.tengrinews.kz/politics_sub/Kazakhstan-will-not-change-its-name-to-get-rid-of-the-stan-254165/ 2017年3月6日閲覧。 
  9. ^ ヘロドトス『歴史』巻4-13
  10. ^ ストラボン『地理誌』、アッリアノス『アレクサンドロス大王東征記』
  11. ^ 『史記』(大宛列伝)、『漢書』(西域伝)、『後漢書』(西域伝)、『三国志』(裴注『魏略』西戎伝)
  12. ^ 『魏書』(列伝第九十 西域)、『北史』(列伝第八十五 西域)
  13. ^ 松田壽男『古代天山歴史地理学研究』
  14. ^ 岩村 2007,p118
  15. ^ 山田信夫『北アジア遊牧民族史研究』
  16. ^ 小松 2005,p166-167
  17. ^ カザフスタン国別評価
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  19. ^ 「シリア和平協議 捕虜交換議題に ロシア主導」『毎日新聞』朝刊2017年11月1日
  20. ^ IAEA、核燃料バンク施設完成 カザフスタンに設立共同通信2017年8月30日
  21. ^ a b http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kazakhstan/data.html
  22. ^ カザフスタン新首都アスタナ計画
  23. ^ 外務省(キッズ外務省)面積の大きい国国連統計局「人口年鑑」(2014年)による
  24. ^ “HP > 国・地域 > 欧州 > カザフスタン共和国 > カザフスタン基礎データ>経済>12 経済概況”. 外務省. (2020年11月15日). https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kazakhstan/data.html#section4 2021年3月6日閲覧。 
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  26. ^ 【点検 成長企業】カズムナイガス■カザフスタン 国営石油、巨大油田で生産量底上げ『日経ヴェリタス』2017年12月17日号、12面(アジア)
  27. ^ Nuclear Energy Agency/ International Atomic Energy Agency, "The Red Book Retrospective" and "Uranium: Resources, Production and Demand"
  28. ^ a b “世界の鉱業の趨勢2018 カザフスタン” (PDF). 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC). (2018年12月26日). http://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2018/12/trend2018_kz.pdf 2019年3月10日閲覧。 
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  33. ^ [1]
  34. ^ 日本人のほとんどが知らない中央アジアの基礎知識”. ハーバービジネスオンライン (2016年7月13日). 2016年8月24日閲覧。
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  37. ^ a b c Aktan Rysaliev (2016年11月1日). “Kazakhstan: Movies Going Kazakh, But Distributors and Audiences Resist”. eurasianet. 2019年10月30日閲覧。
  38. ^ NIKKEI ASIAN REVIEWから】カザフスタン/ローマ字移行 ロシアに背「欧米追従」一部に批判『日経産業新聞』2017年7月20日アジア・グローバル面
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  40. ^ The results of the national population census in 2009 (The Agency of Statistics of the Republic of Kazakhstan) http://www.eng.stat.kz/news/Pages/n1_12_11_10.aspx
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  47. ^ カザフスタン:アクトベ州アクトベ市における銃撃戦の発生に伴う注意喚起(更新)外務省 2016年6月15日
  48. ^ カザフスタン、来年1月15日まで延長Qnewニュース 2016年8月16日
  49. ^ Агентство Республики Казахстан по делам государственной службы и противодействию коррупции (недоступная ссылка) kyzmet.gov.kz
  50. ^ Blogspot.com,Wordpress.com
  51. ^ カザフスタンを知るための60章 253~254頁






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