カサゴ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/22 06:46 UTC 版)
生態
分布
日本の北海道南部から朝鮮半島、中国、台湾、フィリピンまでの海域に分布する。
生息環境
海岸近くから水深200 mくらいまでの岩礁域に生息する。メバルほど泳ぎ回らず、海底で生活することが多い。昼は物陰に潜み、夜になると餌を探して泳ぎ出す。
食性
肉食性。ゴカイ、甲殻類、小魚などを大きな口で素早く捕食する。
繁殖
卵胎生。体内受精を行い、卵ではなく仔魚を産む。秋に交尾したメスは1- 3ヶ月後くらいに数万尾の仔魚を生む。ただし母胎の仔魚はヒトのように母体とへその緒でつながれるわけではなく、自身が持つ卵黄の栄養分で育つ。なお、同じフサカサゴ科のメバルも胎生であるが、オニカサゴなどは卵生である。
伊豆半島周辺におけるカサゴを用いた研究では、産仔生態として産仔時期が11~3月、1回の産出仔魚数は1千~94千尾で平均産仔数が26千尾、産仔回数は2回で産仔間隔が13~22日間であることがわかっている。[6]
人間との関わり
民俗
日本においては江戸時代、勇ましい姿が武家に好まれ、端午の節句に飾られる縁起の良い魚の一つであった。
釣り
日本では釣りの対象魚としてなじみ深く、穴釣り仕掛けで根がかりに注意すれば防波堤や岩場からも比較的簡単に釣れる。特に夜活発で動くものに襲いかかるため、釣り餌も生きたスジエビ、イソメ、イカの切り身、小魚などが使われる。
メバルやアイナメとともに、根魚の代表格である。船釣りの対象魚としても人気があり、東京湾・相模湾ではサバの切り身を餌にした胴突き仕掛けで手軽に釣れる。また、最近ではソフトルアーを使ったルアーフィッシングの好対象魚となり、比較的容易に釣れることから「ロックフィッシュゲーム」と称され、人気が出ている。
カサゴは遊泳性が低く移動が活発でない魚である。このため、あるエリアでいったん釣られると余所からの流入による個体数回復が進みにくく、“釣られ尽くし”の状態が起きやすい。これは釣り人の集中する都市近郊で特に顕著であり、同じ傾向を持つ魚であるクロソイ、ムラソイ等と共に、各漁協、公益法人、地方自治体等による種苗養殖及び放流が行われている。
食材
カサゴおよびその近縁の魚は、外見はグロテスクではあるが、締まりがよい白身に脂がのっていて非常に美味のため、和・洋ともにさまざまな料理に使われる。和食では鍋料理・潮汁・味噌汁といった汁ものや煮付け、塩焼きが好まれ、小振りであれば唐揚げとしても多く食される。また、頭が大きく歩留まりこそ悪いが刺身や握り寿司にもされる。洋食であればブイヤベースやアクアパッツァなど。
大衆文化
- 特撮テレビ番組『ウルトラQ』に登場する怪獣ガラモンの顔のデザインは、真正面から見たときのカサゴの顔に着想を得て起こされている。例えば、顔の幅と変わらない大きさがあり、肉厚の“唇”と口角の下がった様子が特徴的な口など、両者の印象は酷似している。
- ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2012). "Sebastidae" in FishBase. December 2012 version.
- ^ 栄川省造 『新釈魚名考』〈1982年〉
- ^ Sebastiscus marmoratus Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2011.FishBase. World Wide Web electronic publication. www.fishbase.org, version (10/2011).
- ^ All tackle records for Kasago International Game Fish Association.
- ^ 中坊徹次編、『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』、2000年、東海大学出版会、p. 585、1526。
- ^ “「静岡県清水港に棲息するカサゴSebastiscusmarmoratusの生態的特性と遺伝的特性」”. 「海―自然と文化」東海大学紀要海洋学部第3巻第2号21-38頁(2005). 2020年1月30日閲覧。
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