カサゴ目 カサゴ目の概要

カサゴ目

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/06 07:27 UTC 版)

カサゴ目
ネッタイミノカサゴ Pterois antennata (フサカサゴ科)
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
亜綱 : 新鰭亜綱 Neopterygii
上目 : 棘鰭上目 Acanthopterygii
: カサゴ目 Scorpaeniformes
下位分類
本文参照

概要

カサゴ目には2006年の時点で1,400を超える種が所属し、魚類のの中ではスズキ目(約1万種)、コイ目(約3,200種)、ナマズ目(約2,800種)、カラシン目(約1,600種)に次いで5番目に大きな一群となっている。海産種を中心とするグループとしては2番目の規模をもち、系統順位の上でもスズキ目に続いて進化の進んだ高位群として位置付けられている。

カサゴ目の魚類は極海を含めた世界中の海に分布するとともに、沿岸海域から海溝の深部(水深7,000m以深)に至るまで、極めて幅広い生息水深をもつ。頭部にトゲや骨質の隆起を備えたいかつい風貌のフサカサゴ科、指のような胸鰭で海底を歩くように移動するホウボウ科、頭部が平たくつぶれたコチ科、ぬるぬるした柔軟な体のクサウオ科など、その形態もまた多種多様である。メバルホッケギンダラなど多くの種類が釣魚・食用魚として利用されるほか、ミノカサゴなど観賞魚として水族館で飼育される鮮やかな色彩をもつ仲間も数多い。

カサゴ目は眼下骨棚: suborbital stay)と呼ばれる骨格上の特徴を根拠としてまとめられたグループである。パタエクス科(3種)を除くほぼすべてのカサゴ類はさまざまに発達した眼下骨棚をもち、本目を一つのまとまった分類群として定義するための重要な形質とみなされてきた。しかし、眼下骨棚は複数の異なるグループがそれぞれ独自に獲得した一つの形質に過ぎず、カサゴ目は起源の異なる分類群を寄せ集めただけの多系統群であるとする報告もなされている[2]。このように、近年では本目の単系統性を否定する見解が多いものの、包括的な新分類の提示はいまだなされておらず、従来のカサゴ目としての体系が維持されている。[要出典]

分布

世界

ウツセミカジカ Cottus reinii (カジカ科)。本種は琵琶湖固有の独立種とされてきたが、近年ではカジカ(C. pollux)と同種とみなす見解もある

カサゴ目の仲間はその多くが海水魚で、極圏を含めた全世界の海洋に分布する。カサゴホウボウコチの仲間は熱帯から温帯にかけての温暖な海に、アイナメカジカダンゴウオ類は北部太平洋を中心とした寒冷な海に生息するものが多い。トクビレ科・クサウオ科の一部の魚類が北極海南極海に進出する。海産種の生息水深はタイドプール(潮だまり)、沿岸域から深海まで幅広く、クサウオ科には水深6,000m以深の超深海層に分布する深海魚も知られている。

カジカ科には約60種の淡水魚が所属し、日本を含む世界各地の河川湖沼に分布している。カジカ科の一部の属、およびコメーポルス科・アビュッソコットゥス科の両科に所属する魚類はバイカル湖ロシア)の固有種で、他の水域から隔絶された環境下で独自の種分化を遂げたグループとなっている。

日本

南北に細長い日本の海には数多くのカサゴ目魚類が分布しており、北日本の寒冷な海にはダンゴウオ科・アイナメ科などが、また本州以南の比較的温暖な地域ではフサカサゴ科の仲間が生息する。淡水産種としてはカジカ科の7種が知られ、そのうちカジカCottus pollux)・ウツセミカジカ・ハナカジカ・アユカケの4種は日本固有種である[3]西表島の沿岸に分布するハオコゼ亜科(フサカサゴ科)の2種(ヒゲソリオコゼ Tetraroge niger およびアゴヒゲオコゼ T. barbata)は、汽水域から淡水にも進出する。

形態

ウルマカサゴ Scorpaenopsis oxycephala (フサカサゴ亜科)。カサゴ類の頭部は骨質・肉質の突起や皮弁に覆われ、独特のいかつい顔を呈する

カサゴ目魚類における最も重要な形態学的特徴として、眼下骨棚の存在が挙げられる。眼下骨とは眼窩の周りを囲む複数の骨を指し、本目の魚類ではその中で三番目にあたる眼下骨[4]からトゲ状の突起が後方に伸び、これを眼下骨棚と呼んでいる。眼下骨棚の発達の度合いはグループによってさまざまであるが、一般に頬を横切って前鰓蓋骨にまで達する。眼下骨棚は明瞭でわかりやすい特徴であることから、カサゴ目は19世紀初頭には既にひとまとめの分類群として扱われてきた[2]

眼下骨棚以外の本目魚類の共通点としては、発音筋および頭頂骨に開いた感覚管の存在が知られている[2]。発音筋は浮き袋を収縮させ音を発する機能をもつ筋肉で、ニベスズキ亜目ニベ科)など他のグループの魚類でもみられる。頭頂骨の感覚管は頭部両側の側線系を連絡するための管で、ゲンゲ亜目などスズキ目の複数の群と共通する特徴である。

頭部にいぼ状あるいはトゲ状の突起や房状の皮弁をもつ種類が多く、頑丈な骨質の隆起で覆われるものもある。オニオコゼなどフサカサゴ科の仲間は特に発達した皮弁をもち、藻類や岩に擬態して敵や獲物の目をあざむく。体色はグループによってさまざまだが、深海に生息するアコウダイやホウボウの仲間は赤い体色をしていることが多い。深海には赤い波長の光はほとんど届かないことから、赤い体色は保護色としての機能をもつと考えられている。

背鰭と臀鰭に棘条をもつことが多い。腹鰭は多くの場合胸の位置にあり、ほとんどの種類では1本の棘条と5本の軟条で構成される。胸鰭は丸みを帯びて大きく発達しており、下位の軟条が遊離して大きく広がるものもある。


  1. ^ 『日本の海水魚』 p.188
  2. ^ a b c 『魚の形を考える』 pp.161-200 「形から考えるカサゴ目の単系統性」(執筆者:今村央)
  3. ^ 『日本の淡水魚 改訂版』 pp.652-668
  4. ^ 涙骨を眼下骨に含めない場合は第2眼下骨となる
  5. ^ 『日本の海水魚』 p.212
  6. ^ a b c d 『Fishes of the World Fourth Edition』 pp.318-339
  7. ^ Mooi RD, Gill AC (1995). “Association of epaxial musculature with dorsal-fin pterygiophores in acanthomorph fishes, and its phylogenetic significance”. Bull Nat Hist Mus Lond (Zool) 61: 121-137. 
  8. ^ a b Johnson GD, Patterson C (1993). “Percomorph phylogeny: a survey of acanthomorphs and a new proposal”. Bull Mar Sci 52: 554-626. 
  9. ^ a b Imamura H, Yabe M (2002). “Demise of the Scorpaeniformes (Actinopterygii: Percomorpha): an alternative phylogenetic hypothesis”. Bull Fish Soc Hokkaido Univ 53: 107-128. 
  10. ^ Imamura H (2000). “An alternative hypothesis on the phylogenetic position of the family Dactylopteridae (Pisces: Teleostei), with a proposed new classification”. Ichthyol Res 47: 203-222. 
  11. ^ Ishida M (1994). “Phylogeny of the suborder Scorpaenoidei (Pisces: Scorpaeniformes)”. Bull Nansei Natl Fish Res Inst 27: 1-112. 
  12. ^ 『日本の海水魚』 pp.210-213
  13. ^ Mandrytsa (2001). Lateral line system and classification of scorpaenoid fishes (Scorpaeniformes: Scorpaenoidei). Perm University 
  14. ^ Kontula T, Kirilchik SV, Väinölä R (2003). “Endemic diversification of the monophyletic cottoid fish species flock in Lake Baikal explored with mtDNA sequencing”. Mol Phylogenet Evol 27: 143-155. 


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