オートマチックトランスミッションフルード ATFの状態判断

オートマチックトランスミッションフルード

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/25 04:06 UTC 版)

ATFの状態判断

ATに挿入されているオイルレベルゲージを引き抜き、白色の布などで先端をふき取り、ATFの色を判定することでおおまかなチェックができる。暗い茶色や黒色に変色しているATFは、何らかの原因でトランスミッションに問題[4]が発生している、車体に過負荷が掛かっている、あるいはATFの耐用年数が超過しているなどの指標となる。

酷使されたATFは潤滑性能が低下し、摩擦材(主にクラッチとブレーキバンド)を不用意に減少させる要因になる。そのようなATFを交換しなかった場合、トランスミッションの摩耗を加速させ、正常だったトランスミッションを台なしにする可能性がある。しかし、ほとんどのATFが使用によってある程度暗い色になるため、色の判定だけがATFの耐用年数を示す完全に信頼できる要素とはならない。メーカーが推奨する交換間隔が、ATFの寿命を把握するより信頼できる要素となるが、整備履歴や走行距離が不明な場合は色の判定がATFの耐用年数を推測する一般的な手段となる。

歴史

1950年代から1960年代、あるいは1970年代までは、ATFには摩擦調整剤(en:friction modifier)として、鯨油が含まれていた。しかし鯨油は高温で失活してしまう欠点があり、1970年代以降は排ガス規制燃費対策のためにエンジン冷却水の温度を高く保つことが不可欠となったため、鯨油は次第に自動車の変速機を潤滑する添加剤として不適となっていった。

そして鯨油が商業捕鯨モラトリアムにより入手困難となったことで、オリジナルのDEXRON Type BやType Aなどの旧規格のATFの継続生産も困難となった。このときゼネラルモーターズは鯨油が添加されたATFを取り換えるためにDexron II Type C、後にはDexron II Type Dを発売することになった[5]

日本に置いては、主にGM系の技術で発展しDexron系ATFを使用するトヨタ・アイシン精機のグループと、フォードからの技術導入で共同設立され独自のATFを用いるジヤトコのグループ、それらとは別に独自の内製ATを開発してやはり独自のATFを用いるホンダでおおむね3通りのATFが市場に存在した。2000年代中盤、それまで市場の主流であったDexron III/H及びMercon規格が全面改定されることになったのを契機に、社団法人自動車技術会日本自動車技術会規格(JASO規格)の中で新たに日本車向け汎用ATF規格(後のJASO 1A)を策定することとなった。その際に既存の既存のATF評価基準であるJASO M315の評価内容について自動車メーカー、変速機メーカー、油脂メーカー、内部部品メーカーなど、多くのメーカーにATFの評価基準についてどのような点を最重要項目とすべきかをヒアリングしたところ、メーカーによって重要とする項目が全くまちまちであったという記録が残っている[6]

ATFの冷却

今日のATは非常に熱負荷が大きいことが一般的であるため、通常何らかの形で車体にはATF用のオイルクーラーが装着される。エンジンオイルと同様に空冷式である場合と、水冷式の場合がある。

空冷式はサーモスタットが内蔵されてオーバークールを防いでおり、高速度で走行風が通過するほど熱交換率が高まるためにハイパフォーマンス車で広く用いられる。水冷式はラジエーターコアの一部にATFを循環させるものであり、低速度でも安定してATFの温度管理ができるため、ファミリーカーで広く用いられている。




  1. ^ メーカーによってはATFに類似した専用油が設定される場合もあり、パワーステアリングフルード(PSF)と呼ばれる。
  2. ^ http://www.centerforqa.com/home.html
  3. ^ 極端な例としては航空機用作動油を使用するいすゞ・NAVi5など。ただしNAVi5の場合は一般的なATに多いトルクコンバータ式ではなくクラッチを用いた方式である。
  4. ^ 主に多板クラッチやブレーキバンドの摩耗限界や損傷などで、通常よりも大きな摩擦損失が発生しているなど
  5. ^ Turbo hydra-matic 350 By Ron Sessions, page 20.
  6. ^ 自動車工業会 - ATF 摩耗試験法に関する標準化調査 (PDF)





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