オルキルオト原子力発電所 発電設備

オルキルオト原子力発電所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/17 16:21 UTC 版)

発電設備

ここでは、公式の表記に合わせて各原子炉を「OL1」といったように記している。

原子炉 炉型 主契約者 定格電気出力 運転開始 稼働率(1990年)[3]
OL1 BWR ASEA-Atom(現・ウェスティングハウス Electric Sweden AB 86万kW 1979年10月 93-97%
OL2 1982年7月 同上
OL3 EPR アレヴァ 160万kW 2022年3月[4]
OL4 未定 未定 100万 - 180万kW 未定

発電設備(詳細)

OL1、OL2

OL1、OL2の2基の原子炉はそれぞれ86万kWの出力を持っており、それぞれの形式は沸騰水型原子炉(BWR)である。ユニットの設計・供給はアセア・アトム社によって行われ、発電機はスタル・ラバル社(スウェーデン)によって供給された。OL1は1978年7月に最初の臨界を達成し、1979年10月に商業運転を開始した。 またOL2は1979年10月に最初の臨界を達成し、1982年7月商業運転を開始している。

営業運転終了は、OL1が2039年、OL2が2042年になっている。

OL3

急増する電力需要に対応するため、フィンランド産業電力はユニット3の許可申請を2000年12月にフィンランド政府に行い、試運転日を2009年5月に設定した。しかし、2009年5月に計画の都合がつかず、また予算超過が起こることになってしまい、試運転期限が数回延期されている。

営業運転開始は2013年を予定していたが[5]、2016年以降に延期となっている[6]。この計画はアレヴァとシーメンスの合弁会社であるアレヴァNPが始めたが、現在はシーメンスは事業から撤退しアレヴァが行っている。建設は2005年に始まったが、技術に関する問題が遅延を引き起こしている。最初に現れた問題は、原子炉の基礎コンクリートの凹凸の発生であった。また、下請け工場が規格の水準に達していなかった重い鍛造品を提供しており、これを再製作する必要があったことが判明した。また、欧州加圧水型炉(EPR)の特徴である二重封じ込め構造の構築にも時間を要している。

OL4

2008年2月14日にフィンランド産業電力はフィンランド雇用経済省にOL4の環境影響評価を提出し、その後の2010年4月21日、フィンランド政府はOL4の建設の許可をフィンランド産業電力に付与することを2010年7月1日の議会で承認した。

OL4は、100~180万kWという世界でも有数の規模の出力を持つ原子炉として計画されており、形式は現時点では未定だが、EPRABWRESBWR、 EU-APWR、APR-1400のいずれかから選定される予定[5]である。

オンカロ処分場

建設中のオンカロ処分場。

フィンランドは1983年、放射性廃棄物の最終処分場を建設する方針を決めた[1]。1994年フィンランド原子力条例[7]の修正の後、フィンランド国内の全ての核廃棄物をフィンランドで処分することが明示され、国民間で活発な議論を尽された。エウラヨキの議会は2000年に最終処分場受け入れを賛成多数で決め、翌2001年にフィンランド政府がオルキルオト島への建設を正式決定した[1]

この地層処分設備は、洞穴を意味する「オンカロ」と名づけられ[8]、オルキルオト発電所から数マイル花崗岩の岩盤に建設された。エウラヨキは2003年8月に施設の建築許可を行い、建築は2004年から始められた[9]

建設計画は4つの段階に分けられた。

フェーズ1、(2004年から2009年)地下420mに存在する設備への螺旋状に下るアクセストンネルの開削。
フェーズ2、(2009年から)同工程の520mまでの継続、貯蔵所設計に反映させるための岩盤特性の研究。
フェーズ3、貯蔵所の建築は2015年に予想される
フェーズ4、使用済み燃料のカプセル化と地層処分は2020年の開始が計画される(その後2025年から開始予定と報道された[10]

施設の建築を担当するポシヴァ社は、2012年頃に貯蔵所とそれに伴って必要となる構造物の建築認可のための申請書の提出を計画している。審査には3年かかると予想される。 オンカロ処分場は100年分程度のキャニスターを受け入れる大きさがあると予想されている[11]。処分場が満杯になった後は最終的にトンネルごと埋め立てられて密封される。

デンマークの監督Michael Madsenが共著、監督した長編ドキュメンタリー映画100,000年後の安全』(原題:Into Eternity)は開削の最初のフェーズを撮影、専門家がインタビューされている。映画の視点は地層処分の意味論的困難さに向いており、貯蔵所が遠い未来の人間にとっての危険として示されている。また、フジテレビの『その後』でもオンカロが取り上げられている。

ただし、原子炉本体を含む核廃棄物の地中処分は、アメリカ合衆国でも長年の歴史がある放射能処分方法で、オンカロが先進的な試みという訳ではない[12]

埋設のため地下400メートル超の深さまで坑道が掘られている。稼働すれば100~120年かけて最大6500トンの放射性廃棄物入りキャニスターを貯蔵。その後はベントナイト粘土)で密閉し、10万年以上かけて放射能の減衰を待つ計画である。ビジターセンターがあり、年2万人の見学者が訪れる[1]


  1. ^ a b c d 【クローズアップ】核のごみ 処方箋なるか--オンカロ 地層処分10万年 フィンランド20年代初頭にも稼働開始毎日新聞』朝刊2019年10月31日(国際面)2020年6月26日閲覧
  2. ^ a b 記事名不明[リンク切れ]中国新聞デジタル
  3. ^ http://www.tvo.fi/uploads/File/nuclear-power-plant-units.pdf
  4. ^ Lehto, Essi; Buli, Nora (2022年3月12日). “Finland starts much-delayed nuclear plant, brings respite to power market” (英語). Reuters. https://www.reuters.com/world/europe/finland-starts-much-delayed-nuclear-plant-brings-respite-power-market-2022-03-12/ 2022年3月14日閲覧。 
  5. ^ a b http://www.world-nuclear.org/info/inf76.htmlの「Finland's nuclear power reactors under construction and planned」を参照
  6. ^ “TVO prepares for further Olkiluoto 3 delay”. World Nuclear News. (2013年2月11日). http://www.world-nuclear-news.org/NN-TVO_prepares_for_further_Olkiluoto_3_delay-1102134.html 2014年5月27日閲覧。 
  7. ^ Nuclear Energy Act (990/1987) (in English)” (PDF). Finlex. 2011年10月18日閲覧。
  8. ^ Räisänen, Alpo (2010). “Onkamo and other place names”. Virittäjä (Helsinki: Society for the Study of Finnish) 4/2010 (114). http://www.kotikielenseura.fi/virittaja/hakemistot/jutut/raisanen4_2010.html 2011年10月18日閲覧。. 
  9. ^ Finnish Energy Industries, "Nuclear Waste Management in Finland"; accessed 2 October 2009; http://www.energia.fi/en/publications/nuclear%20waste.pdf
  10. ^ 核ごみ、地下450メートルに 岩盤に密閉、3年後稼働―世界初の最終処分場・フィンランド” (2022年11月13日). 2023年3月18日閲覧。
  11. ^ Into Eternity”. Intoeternitythemovie.com. 2011年5月15日閲覧。
  12. ^ アメリカでは原子力艦艇の原子炉は原則丸ごと地中埋没処理をしている。ニューメキシコ州カールスバッド近郊の「廃棄物隔離パイロットプラント」(WIPP)は2013年末時点で1万回以上もの廃棄物受け入れを行い、90,000m3 を超える核廃棄物が地層埋没処分されている。


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