オニヒトデ オニヒトデの概要

オニヒトデ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/13 06:08 UTC 版)

オニヒトデ

海遊館での飼育展示
分類
: 動物界 Animalia
: 棘皮動物門 Echinodermata
: ヒトデ綱 Asteroidea
: アカヒトデ目 Valvatida
: オニヒトデ科 Acanthasteridae
: オニヒトデ属 Acanthaster
: オニヒトデ A. planci
学名
Acanthaster planci
(Linnaeus, 1758)
和名
オニヒトデ
英名
crown-of-thorns starfish

形態

輻長約15-30 cm の大型のヒトデである。多数のを持ち、全身がに覆われている。

生態

サンゴ礁に生息し、成体がサンゴも餌とする。ビピンナリア幼生は植物プランクトンを摂取して成長し、定着した幼体は石灰藻やデトリタス(魚などの死体が分解してできた有機物)を食べるが、ある程度の大きさまで成長すると石灰藻食、デトリタス食に加えて珊瑚を捕食するようになる。石灰藻、サンゴとも摂食するときは口からを裏返して広げて餌生物に押し付け、消化吸収を行う。寿命は6~8年。なお、通常はミドリイシ類やコモンサンゴ類等の成長が早いサンゴを好むため、サンゴ礁の多様性を維持する役目を負っていると考えられている[1]

大発生について

時をおいて大発生することがあり、成長の速いミドリイシ類やコモンサンゴ類を食べ尽くして、成長の遅いサンゴまで食べるため、サンゴ礁環境の保全上有害とされている。ここ数年、沖縄近海のサンゴ礁にオニヒトデが大量発生しており、問題となっている。また、2009年2月には、徳島県牟岐町牟岐大島に生息するハマサンゴの周辺にも存在が確認されている。

この大発生に関して、自然の長期サイクルによるとする説と、人間の環境破壊に要因を求める説があるが、富栄養化がオニヒトデ幼生の餌である植物プランクトンを増殖させ、大発生につながるとする説が最も有力視されている。2010年オーストラリア海洋科学研究所オーストラリア北東部のグレート・バリア・リーフのオニヒトデ大発生が「農業肥料や都市排水などでサンゴ礁が富栄養化したために頻発するようになった」という仮説を多方面から検証した日本人オニヒトデ研究者・岡地賢らによる共同論文が公開された[2]。また岡地はネット上で一時期話題になった「オニヒトデ駆除が大発生を生み出す」説に対して「オニヒトデを傷つけると、腕の付け根あたりか らブドウの房のような卵巣や精巣がこぼれ出てきます。その房の中に入っている卵 や精子は、特殊な細胞の層に包まれていて未熟な状態ですので、そのままでは受精できません。仮に細胞層がやぶれて受精しても、大多数は正常に成長せず死滅します。このような生理的な卵成熟のメカニズムは、ヒトデ類全般に共通しています。オニヒトデの卵を包んでいる細胞層 は、オニヒトデ自身が体内に分泌する化学物質(ホルモン)の作用を受けて初めてこわれ、卵が放出されます。このホルモンがオニヒトデ体内で分泌される時期、すなわち繁殖期は、水温が約28℃になる6月上旬(八重山の場合)であることがわかっています。」と、「オニヒトデ駆除が大発生を生み出す」説の誤謬を明確に解説している[要出典]

なおグレート・バリア・リーフと沖縄本島周辺に生息するオニヒトデのゲノムをオーストラリア海洋科学研究所と沖縄科学技術大学院大学などが解析したところ非常に似ていることが判明。幼生が海流に乗って太平洋で広く拡散していると推測されている[3]

オニヒトデの天敵造礁サンゴで、オニヒトデ浮遊幼生を造礁サンゴポリプが食べて相互の天敵関係となる。ホラガイをオニヒトデの天敵とする説があるが、ナマコウニなども捕食する他、1個のオニヒトデを消化するのに1週間かかると言われており、大発生したオニヒトデの前では天敵となりえない。そしてオニヒトデが汚染に強いこととあいまって、大発生のサイクルが短くなっている、という指摘もある。

かつて大発生時には対症療法的に多大な予算をつぎ込んで駆除作業が行われることが多かったが、すべてのオニヒトデを駆除することは不可能であること、また漫然とした駆除がかえって間引きによるオニヒトデの成長を助長しオニヒトデの再生産に荷担する可能性があることなどから、近年、状態の良いサンゴ礁において徹底的に駆除を行い、それらのサンゴ礁を保全することで、将来的に、食害に遭ったサンゴ礁へのサンゴ幼生の供給源とする考えに基づいた駆除が行われている。

毒性

オニヒトデの体表面には多数の有毒の棘が生えており、生理活性作用の高いplancitoxin I及びplancitoxin IIを主成分とする毒物質(オニヒトデ粗毒)を有している[4]。 これがヒトの皮膚に刺さると毒素によって激しい痛みを感じ、アナフィラキシーショックによって重症に陥ることがあり、最悪の場合、死に至ることがある。刺された時の対応は、なるべく早くポイズンリムーバーで血液を吸引し、後に温湿布で患部を温める。

  • 37 kDaの塩基性糖タンパク質で、肝毒性を持つ。マウス LD50(静脈投与)140 μg/kg、致死時間 96時間程度[4]



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