オオカミ 文化

オオカミ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/21 00:18 UTC 版)

文化

魚の釣りのように返しがついた罠道具ヴォルフスアンゲル。返しのついた部分に餌を付けて、オオカミがジャンプしないと食べられない高さに設置して、食べたオオカミが吊り下げられるようにした罠である。
牝狼の乳を吸うロームルスレムス
『ロームルスとレムスの発見』(ピーテル・パウル・ルーベンス作)

ヨーロッパ中国など牧畜が盛んであった地域では家畜を襲う害獣として忌み嫌われる傾向にあり、逆に日本(北海道を除く)のように農業が盛んであった地域では、農作物へ被害をあたえるシカなどの害獣を駆除する益獣として、怖れをもたれると同時に慕われもした。また、アイヌやネイティブアメリカンなどのように、狩猟採集生活が盛んであった民族でも神格化されることがある。

狩り

  • Wolfsgrubeドイツ語版 - オオカミ用の落とし穴
  • ヴォルフスアンゲル - 釣りのように、ジャンプして餌に食らいついたオオカミが垂れ下がるタイプの罠。
  • ラップヤクトドイツ語版 ‐ ドイツでオオカミを追い込むのに利用した狩猟法。布を垂れ下げて、獲物の逃げる方法を誘導する。

飼育

オオカミは人間に懐くことはほぼなく、幼いころから育てたとしても従属させるのは難しいといわれる[15]

日本

オオカミは特定動物に指定されており、都道府県知事や政令市の長の許可が得られれば、法律上は飼育することは可能。ただし、商業目的で輸入することは禁止されているため、ペットとして飼育することは不可能である[16]

神話、伝説、民俗

  • 中世ヨーロッパにおいては、狼はしばしば死や恐怖の対象として描写される。北欧神話では巨大な狼であるフェンリルが神々の敵として描かれている。童話の『赤頭巾』では、狼は赤頭巾を食べようとする悪役として描かれている。18世紀中旬には、「ジェヴォーダンの獣」と呼ばれる巨大な狼(大山猫とも)が出現したとされ、フランス中部地方を震撼させた。しかし、オオカミは一匹だけで大きな獲物を狩る習性はなく、臆病な動物であるため、科学的に見てこの事件にオオカミは関わっていないとされている。
    • ロゲンヴォルフドイツ語版コルンムーメコルンデーモンドイツ語版) ‐ ライ麦(Roggen)+狼(wolf)。畑の穀物を食べる貪欲さがあり豊穣や不作を司り、畑作業の熱射病、麦畑を駆け回る風などとも関連付けされる。畑で遊ばないよう子供などが入ると襲われると脅かされる。
  • キリスト教でも、狼は邪悪な害獣として扱われることが多く、七つの大罪では、ユニコーンドラゴンと同じく『憤怒』を象徴する動物として扱われることがある。
  • 人間が狼に変身する人狼についての記述が古代よりしばしば見られる。ヨーロッパで狼を忌み嫌うのは中世キリスト教が、土着の信仰を駆逐するため人狼伝説を利用してきた影響も大きい。中世のヨーロッパでは、人狼の存在が信じられており、昼間は人間の姿をしている人狼が、夜間には狼の姿で他の人間を襲い、の武器(銀の弾丸など)でなければ倒すことが出来ないなどとされた。古代ローマの博物学者であるプリニウスは著書『博物誌』において、人狼が現われたという噂を紹介したうえで、このような変身の存在はでたらめであると否定している。イギリス本土の諸島では早い段階で狼が駆逐されたために、人狼の伝説は外国起源のものであり、魔法使いや巫女はたいてい猫や兎に化けることになってしまった、という説をセイバイン・ベアリング=グールドが唱えている[17]
  • インドにはオオカミが子供を育てたという噂が多数あり(狼っ子)、特にアマラとカマラという少女の事例が知られる。
  • 長野県佐久市猿久保では、オオカミがお産する穴を発見したら、赤飯重箱に詰め村人が巣穴の前に供えた。オオカミはお産を無事に終えると空になった重箱を村人の家まで返却したという民話がある[18]
  • 科学的観察に基づく話としてシートン動物記狼王ロボが有名である。
  • カムチャツカ半島では、双子の父親はオオカミであるとされた[19]

指導者や神

山津見神社の白狼像

軍事

題材とした作品など

赤頭巾とオオカミ

その他の狼を題材とした作品

小説
漫画
映画
アニメーション

注釈

  1. ^ インドネパールパキスタンブータン個体群はワシントン条約附属書I。
  2. ^ ただしヤマイヌと呼んだ上でのニホンオオカミ以外のイヌ科動物との混同、未分類のままの崇拝も見られる。

出典

  1. ^ Boitani, L., Phillips, M. & Jhala, Y. 2018. Canis lupus (errata version published in 2020). The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T3746A163508960. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T3746A163508960.en. Downloaded on 10 April 2020.
  2. ^ 今泉忠明『絶滅野生動物事典』(KADOKAWA<角川ソフィア文庫>、2020年ISBN 978-4-04-400527-6)p.85
  3. ^ W. Chris Wozencraft: Wolf. In: Andrew T. Smith, Yan Xie: A Guide to the Mammals of China. Princeton University Press, Princeton NJ 2008, ISBN 978-0-691-09984-2, S. 416–418.
  4. ^ 「海辺のオオカミ」『ナショナルジオグラフィック日本版』2015年10月号
  5. ^ 今泉忠明『野生イヌの百科』(第2版)データハウス〈動物百科〉、2007年、15頁。ISBN 9784887189157 
  6. ^ Sardella, Raffaele; Bertè, Davide; Iurino, Dawid Adam; Cherin, Marco; Tagliacozzo, Antonio (2014). “The wolf from Grotta Romanelli (Apulia, Italy) and its implications in the evolutionary history of Canis lupus in the Late Pleistocene of Southern Italy”. Quaternary International 328–329: 179–195. Bibcode2014QuInt.328..179S. doi:10.1016/j.quaint.2013.11.016. 
  7. ^ a b Wang, Xiaoming; Tedford, Richard H. (2008). Dogs: Their Fossil Relatives and Evolutionary History. Columbia University Press, New York. pp. 1–232. ISBN 978-0-231-13529-0. OCLC 502410693. https://books.google.co.jp/books?id=LnWdpK7ctI0C 
  8. ^ a b c R.M. Nowak (2003). “Chapter 9 - Wolf evolution and taxonomy”. In Mech, L. David; Boitani, Luigi. Wolves: Behaviour, Ecology and Conservation. University of Chicago Press. pp. 239–258. ISBN 978-0-226-51696-7 
  9. ^ Vucetich, John A.; Smith, Douglas W.; Stahler, Daniel R. (2005-11). “Influence of harvest, climate and wolf predation on Yellowstone elk, 1961‐2004” (英語). Oikos 111 (2): 259–270. doi:10.1111/j.0030-1299.2005.14180.x. ISSN 0030-1299. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.0030-1299.2005.14180.x. 
  10. ^ Winnie, John A. (2012-12). “Predation risk, elk, and aspen: tests of a behaviorally mediated trophic cascade in the Greater Yellowstone Ecosystem” (英語). Ecology 93 (12): 2600–2614. doi:10.1890/11-1990.1. ISSN 0012-9658. https://esajournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1890/11-1990.1. 
  11. ^ 吉行瑞子今泉吉典福井城内で射殺されたニホンオオカミ」『ANIMATE』第4巻、農大動物研究会、2003年、 オリジナルの2019年3月30日時点におけるアーカイブ、2019年5月6日閲覧 
  12. ^ a b “最後のニホンオオカミ 福井市(6)”. マイタウン福井 (朝日新聞社). (2007年1月9日). オリジナルの2007年10月6日時点におけるアーカイブ。. https://megalodon.jp/2007-1006-2236-27/mytown.asahi.com/fukui/news.php?k_id=19000130701090001 
  13. ^ Canis lupus hodophilax, Japanese wolf”. Natural History Museum Picture Library. The Trustees of the Natural History Museum, London. 2016年3月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年5月6日閲覧。
  14. ^ オオカミ、エゾオオカミ、狼 - アイヌと自然デジタル図鑑
  15. ^ オオカミは飼えるのか?狼の生態や犬との関係を紹介 | Petpedia”. petpedia.net (2013年10月9日). 2024年5月14日閲覧。
  16. ^ 狼と犬の関係とは? 違いやルーツ、狼に似たウルフドッグを紹介|ワンクォール”. magazine.cainz.com. 2024年5月14日閲覧。
  17. ^ ベヤリング・グウルド 著、今泉忠義 訳『民俗学の話』角川書店〈角川文庫〉、1955年、43頁。 
  18. ^ 佐久市志編纂委員会編纂『佐久市志 民俗編 下』(佐久市志刊行会、1990年)1119ページ
  19. ^ Uno Harva: Die religiösen Vorstellungen der altaischen Völker. FF Communications N:o 125. Suomalainen Tiedeakatemia, Helsinki 1938, S. 473
  20. ^ Im Führerhauptquartier (FHQ)
  21. ^ 『狼群作戦の黄昏』朝日ソノラマ新戦史シリーズ
  22. ^ 緑黄色社会、新曲「Mela!」が玉城ティナ出演"パルティ カラーリングミルク"CM曲に決定&先行配信スタート。クリエイター8名によるMVも本日4/13プレミア公開 Skream! 劇ロックエンタテインメント 2020年4月13日
  23. ^ 狐と兎:映画作品情報・あらすじ・評価|MOVIE WALKER PRESS 映画”. MOVIE WALKER PRESS. 2023年7月20日閲覧。
  24. ^ やっぱりおおかみ|福音館書店”. 福音館書店. 2023年7月21日閲覧。
  25. ^ 田中, 光二 (1984-08-01). 闇の牙. 集英社. ISBN 978-4-08-750781-2. https://www.amazon.co.jp/%E9%97%87%E3%81%AE%E7%89%99-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E7%94%B0%E4%B8%AD-%E5%85%89%E4%BA%8C/dp/4087507815 
  26. ^ 布浦, 翼 (1978-12-15). ワイルドブルー. 講談社. ISBN 978-4-06-106461-4. https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%BC-%E5%88%A5%E5%86%8A%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%89KC-%E5%B8%83%E6%B5%A6-%E7%BF%BC/dp/4061064614 
  27. ^ 東京都古書籍商業協同組合『プチフラワー 昭和57年9月号 八百比丘尼/山岸凉子 w / 古書 森羅 / 古本、中古本、古書籍の通販は「日本の古本屋」https://www.kosho.or.jp/products/detail.php?product_id=427588755 
  28. ^ きつねのよめいり 1 | 吉田秋生 – 小学館コミック”. shogakukan-comic.jp. 2023年7月21日閲覧。
  29. ^ 双葉社”. www.futabasha.co.jp. 2024年5月22日閲覧。






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