エネファーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/17 05:40 UTC 版)
画像提供依頼:燃料改質器、固体高分子形燃料電池スタック、インバータ、熱回収装置、貯湯槽、バックアップ熱源が写っている画像の画像提供をお願いします。(2011年3月) |
エネファームは、家庭で電気とお湯を同時につくり出す家庭用燃料電池として、「エネルギー」と「ファーム=農場」を組み合わせて名付けられた。
また シンボルマークとして『人に地球にたくさんの実りをもたらす新エネルギーを表現した木』を採用。その木の実は、家庭用燃料電池がもたらす「電気」「お湯」「快適」「環境」「先進」「未来」など、さまざまな価値を表現している。家庭からのCO2排出削減に貢献し、未来の低炭素社会のエネルギーシステムの柱として普及することを目指している。
概要
都市ガス・LPガスから、改質器を用いて燃料となる水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて発電する。発電時の排熱は給湯に利用し、エネルギーを有効活用するので、省エネルギーとなる。なお発電の際には、水素を用いるため二酸化炭素が発生しないが、改質で水素を取り出す過程では、二酸化炭素が排出される。
出力は発電出力700W(アイシン、パナソニック)、400W(京セラ)。固体高分子形燃料電池(PEFC)と固体酸化物形燃料電池(SOFC)の2種類がある(長府製作所等ではSOFC型を「エネファームtype S」と呼称)。
災害による停電時でも発電できる機能を有しているため、新型コロナウイルス感染症での在宅避難の必要性から、エネファームのレジリエンス性が高く評価されている。
メリットとデメリット
メリット
- 発電で発生した排熱を直接利用できるため、排熱を利用しないタイプの火力発電や原子力発電と比べて、発電時のエネルギー利用効率が高い[1]。コジェネレーションも参照のこと。
- 自宅で発電をするため、送電ロスが無い。
- ガス会社によっては、エネファーム専用料金プランを用意しており、ガス料金の割引を受けられる。
- 給湯時の発電により、家庭で使用する4 - 6割程度の電力量をまかなえるため、電気料金が安くなる。
- 補助熱源機を組み合わせて使用するため、湯切れの心配がない。
- 設置時に補助金が支給される。
- 停電時でも発電が可能。
- 災害時には在宅避難が可能なため、レジリエンス性が極めて高い。
- 発電の様子がリモコンの画面で確認できるので、電気に対する意識が高まり、省エネルギーにつながる。
- 発電の際に発生する熱を捨てずに、お湯を作り給湯に利用するので、エネルギーをフルに活用できるシステムになる。
- 売電契約をしていれば、余剰電力はガス会社に売れる(SOFC機)。
デメリット
- 発電時の排熱で貯湯タンク内のお湯を温めるシステムであるため、貯湯タンクを設置するためのスペースが必要になる。小型の場合エアコンの室外機ほどのスペースが必要である[2]。
- ガス給湯器と比べると、補助金制度はあるものの初期費用が高い。1機あたり100万円前後(前者は80万円以下)[3]。
- PEFC機は、貯湯タンクのお湯が沸ききると発電を止める仕組みのため、発電量がお湯の使用量に左右される。
- 長時間にわたって低周波音を発生し、近隣住民とトラブルになるケースが報告されており、設置場所の検討は近隣への特段の配慮が必要とされる。(後述)
- 発電所からのロスがないため、火力発電より効率は高いが、エコキュートと比べると熱効率は低い。ガスから水素へ改質する際に、二酸化炭素や窒素化合物を排出する。
- 2016年4月1日から電力自由化により、余剰電力の売電が可能となったが、買取価格が太陽光発電のように10年間固定ではない。
仕組み
エネファームは大きく分けて下記のような6つの装置から構成される[4]:
- 改質器
- 燃料(都市ガス・LPガス)を水蒸気改質し、水素ガスを得る
- 固体高分子形燃料電池スタック
- 改質器からの水素と空気中の酸素を反応させ、直流電力を発生させる(同時に熱も発生する)
- インバータ
- 直流から交流への変換、系統連系に関する諸機能を司る
- 熱回収装置
- 改質器と燃料電池スタックから熱を回収し、温水を作る
- 貯湯槽
- 温水を貯めておく
- バックアップ熱源
- 貯湯槽の温水が不足になった場合に温水を供給する
これにより、電力と熱の両方を得る。燃料の持つエネルギーの70 - 80%を利用可能とされる[5]。
- ^ 省エネ・環境性|ホームエネルギー|JX日鉱日石エネルギー
- ^ “「エネファームミニ」の発売について”. 産経新聞. 2020年4月5日閲覧。
- ^ “家庭用燃料電池(エネファーム)の普及拡大”. 経済産業省. 2020年4月5日閲覧。
- ^ a b エネファームの補助金は上限140万円、ケンプラッツ、2009年4月8日
- ^ エネファームについて
- ^ 東京ガスによる家庭用燃料電池モニターの募集(2008年)
- ^ 積水ハウス、環境配慮型住宅「グリーンファースト」を販売開始、日経BP、2009年3月30日
- ^ 補助金制度について
- ^ 家庭用燃料電池「エネファーム」のラインアップ拡充について
- ^ [1]
- ^ エネファーム〜エネルギーをつかう家からつくる家へ〜 東京ガス
- ^ a b 家庭用コージェネレーションシステムから生じる運転音により不眠等の症状が発生したとされる事案(消費者庁)
- ^ 家庭用燃料電池事業体制の見直しについて
- 1 エネファームとは
- 2 エネファームの概要
- 3 普及の動き
- 4 キャッチコピー
- 5 かつて製造していたメーカー
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