エニウェトクの戦い 戦いの後

エニウェトクの戦い

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/24 14:13 UTC 版)

戦いの後

戦闘ストレス反応を起こし「1000ヤードの凝視」を見せる19歳の海兵隊員セオドア・ジェームズ・ミラー二等兵。彼は撮影から一か月後の3月24日にエボン環礁で戦死した[25]

総括

日本軍は少数の捕虜以外は全滅。アメリカ軍の損害は戦死および行方不明195名、負傷521名というものであった。兵力の比率はおおよそ3未満対1と圧倒的な兵力差ではなく[16][注釈 1]、エニウェトク島での陸軍部隊の緩慢な戦いという問題点もあったが、海兵隊がそれをよく補ったため戦いを優勢に進めることが出来た[20]。クェゼリンの戦いの予想外の進展によるエニウェトク攻略の繰上げは、結果的にアメリカ軍に全面吉と出て、日本軍が十分な防備体制を構築する前にこれを叩き潰す事に成功した。ヒル少将は以下のような報告を、スプルーアンス中将に行っている。

私は当地における戦闘の細部について閣下が関心をおもちであると思います。われわれはまったく熊ん蜂の巣に行きあたったような有様でした。何度も何度も攻撃隊を発進させて、やっとこれを制圧することができました。しかし、もう二か月も後であったならば、これを占領することは非常に困難だったでありましょう。閣下があの時期に攻撃するように決定されたことがきわめてよかったことに、疑問の余地はありません。閣下がトラック島、およびサイパン、ならびにテニアン島に攻撃を加えられたことは、非常によかったと思います。われわれは一七日間にわたるエニウェトク環礁に対する攻撃の間に、日本軍の飛行機を一機も見かけませんでした。 — ハリー・W・ヒル、トーマス・B・ブュエル『提督スプルーアンス』371,372ページ

アメリカ軍はギルバートでの苦しい出血から多くのことを学び、その教訓を一連のマーシャルの戦いで遺憾なく発揮した。その効果は実にてきめんで、タラワ戦で幾分か損なわれたアメリカ軍将兵はおろか、アメリカ国民の士気をも一気に回復するほどのものであり、また、空母任務部隊の威力やスプルーアンス中将の作戦計画の遂行能力の高さなども確認されることとなった[26]。マーシャルの戦いの後、太平洋の主戦場は中部太平洋方面からはしばし離れ、ニューギニアからフィリピンへの進撃を渇望していたダグラス・マッカーサー大将の兵力が主力となるニューギニアの戦いに移る事となる(アドミラルティ諸島の戦いなど)[27]

残された環礁

エニウェトクの戦いの後、アメリカ軍はマーシャル諸島各地で掃討戦を行った。一連の掃討戦で大きな戦いはなく、4月下旬までには終わった。経緯は以下のとおりである[20][28]

一連の戦いの後、放置されたウォッジェ、ジャルート、ミリ、マロエラップの四環礁は、増強される航空兵力のための格好の「訓練地」として爆撃を受け続ける事となった[29]


注釈

  1. ^ クェゼリンの戦いでは約6対1(#ニミッツ、ポッターp.247)

出典

  1. ^ a b c #戦史62p.630
  2. ^ a b c d #戦史62p.637
  3. ^ #佐藤p.200
  4. ^ #ブュエルp.328
  5. ^ #佐藤p.194
  6. ^ a b c d e #戦史62p.629
  7. ^ #戦史6p.259
  8. ^ #戦史62p.630
  9. ^ a b c d #戦史6p.263
  10. ^ a b 河津、120頁。
  11. ^ #佐藤pp.194-195
  12. ^ a b c #ブュエルp.352
  13. ^ a b c d #戦史62p.631
  14. ^ a b c d e f #戦史62p.632
  15. ^ #戦史62p.589,625,631
  16. ^ a b #ニミッツ、ポッターp.247
  17. ^ a b #戦史6pp.261-262
  18. ^ a b c #戦史62p.633
  19. ^ a b c d e f g #戦史62p.634
  20. ^ a b c d e f #ニミッツ、ポッターp.248
  21. ^ #戦史62pp.634-635
  22. ^ a b #戦史62p.635
  23. ^ 河津、125頁。
  24. ^ #戦史62p.637
  25. ^ Pvt Theodore J MillerFind a Grave
  26. ^ #ブュエルpp.372-374
  27. ^ #ブュエルpp.375-380
  28. ^ #戦史62pp.612-614
  29. ^ #ニミッツ、ポッターpp.248-249





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