ウラン 名称

ウラン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/02 03:58 UTC 版)

名称

同時期に発見された天王星(Uranus、ウラヌス)の名に由来している。

「ウラニウム」は、金属元素を意味するラテン語の派生名詞中性語尾 -ium を付けた形である。

概要

紫外線を照射した燐灰ウラン石が緑色に燐光する様子

現在の地球上に天然に存在している元素のうち、大量に存在しているものとしては、ウランが最も原子番号が大きく[4]、また最も原子量も大きい元素である。元々、ウランが地球上で天然に存在している元素としては、最も原子番号が大きいとされていたが、1951年にネプツニウムが、1952年にプルトニウムが、それぞれウラン鉱石中にごくごくわずかに含まれていることが発見された[5]。既述の通りウランの原子番号は92であるが、ウランは原子半径も大きいため、その比重密度)は、原子番号77番付近のオスミウムイリジウム白金などよりも小さい(室温付近で、ウランが1cm3当り19g程度であるのに対し、オスミウムとイリジウムが22.5g程度、白金が21.5g程度である[注釈 1])。ウランには幾つもの同位体が知られているが、その全ての同位体が放射性核種であり(一つも安定核種が存在せず)[6]、地球上では安定して存在し続けられない元素であることが知られている。しかし、ウランの同位体の中には半減期が長い(寿命が長い)同位体も存在する。特に長いのは、ウラン238(半減期は約44億6800万年)と、ウラン235(半減期は約7億380万年)である[7]。このように半減期の長い放射性核種は、ウランに限らず、現在の地球にも天然の放射性物質として存在している。ウランの場合、現在の地球に天然に存在しているのは、ウラン238(現在の地球ではウランの約99.274%を占めている)、ウラン235(現在の地球ではウランの約0.7204%を占めている)、ウラン234(現在の地球ではウランの約0.0054%を占めている)の3種の同位体である[8][注釈 2]。このうちウラン238とウラン235は、半減期が長い(寿命が長い)ために現在の地球に存在している(なお、ウラン238の割合が多いのは、ウラン238の半減期が一番長いことが関係している)。これに対してウラン234の半減期は、たったの約24万5500年程度でしかないにもかかわらず、現在の地球に存在している[9]。ウラン234が現在の地球に存在していられる理由は、ウラン238が鉛206に変化する過程(ウラン系列)に、このウラン234が属しているからである。ウラン238が1回のα崩壊と2回のβ崩壊をすることで、このウラン234になるため、ウラン238が存在する限り、ウラン234も無くならない(ウラン234が崩壊しても新たに補充される)のである。なお、このようにウランの同位体は半減期がまちまちなので、地球上のウランの同位体の存在比は、少しずつ変化している。

ウランは地球の地殻中に化合物や海水中に多原子陰イオンの形

イエローケーキ

ウランの単体は、銀白色の金属である。常温常圧での安定構造は斜方晶構造(α型、18.95g/cm3)であるが、668 °Cで正方晶構造(β型、18.11g/cm3)へ、775 °Cで立方晶構造(γ型、18.06g/cm3)へ相転移する。比重18.95(25 °C)、融点1132 °C、沸点3745 °C。ウラン単体は、反応性が高く、粉末を空気中に放置すると、空気中の酸素によって発火する。またウラン単体を水に投入すると、ウランは水から酸素を奪って、水素ガスが発生する。ウラン化合物の原子価は+2価から+6価をとり得る。このうち、一般に+6価が最も安定である。これに対し、+2価と+5価は特に不安定であり、特殊な条件でないと存在できない。+4価は硝酸水溶液および酸化物等では安定な価数であり、水溶液にしたときには緑色になる。+3価の水溶液は赤紫色となるが安定せずに、水を還元して水素を発生させながら+4価に変化するため、色も緑色に変化する。+6価は水溶液中でも安定であり、ウラニルイオン (UO22+) となって、水溶液は黄色を呈する。水溶液に限らず、+6価のウランは一般に黄色を呈するため、イエローケーキと呼ばれる。なお、ウランのハロゲン化物は+3価から+6価までをとり得るが、これらは揮発性であることが知られており、その蒸気圧は、+3価が一番小さく、+4価、+5価、+6価と大きくなる傾向にある。


注釈

  1. ^ 1cm3当り0.5g刻みの値。 ここは「概要」の節であるため、感覚的に理解してもらうために概算値を示した。
  2. ^ 地球上に天然に存在するウランの同位体は、ウラン238ウラン235ウラン234の3種であると考えて差し支えない。なお、全ての安定核種と半減期の特に長い放射性核種を合わせて原生核種英語版と呼ばれるが、原生核種として数えられるのは、このうちウラン238とウラン235の2核種である。

出典

  1. ^ The Chemistry of the Actinide and Transactinide Elements: Third Edition by L.R. Morss, N.M. Edelstein, J. Fuger, eds. (Netherlands: Springer, 2006.)
  2. ^ BNL-NCS 51363, vol. II (1981), pages 835ff
  3. ^ http://www.thefreedictionary.com/uranium
  4. ^ 桜井 2009, p. 379.
  5. ^ 桜井 2009, p. 380.
  6. ^ 桜井 2009, p. 372.
  7. ^ 国立天文台 2008, p. 466.
  8. ^ 国立天文台 2008, pp. 456, 460.
  9. ^ 国立天文台 2008, pp. 456, 460, 466.
  10. ^ 丸山誠史、服部健太郎、平田岳史、ミネラルウォーターのウラン・トリウム濃度 地球化学 Vol.48 (2014) No.3 p.187-199, doi:10.14934/chikyukagaku.48.187
  11. ^ a b c d e 桜井 2009, p. 371.
  12. ^ a b 国立天文台 2008, p. 944.
  13. ^ 国立天文台 2008, p. 137.
  14. ^ 桜井 2009, p. 370.
  15. ^ http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/EV_D_G1.html
  16. ^ パキスタンの原子力開発と原子力施設 (14-02-12-01)
  17. ^ 地理 統計要覧 2014年版 ISBN 978-4-8176-0382-1 P,95
  18. ^ a b 池田瑞代、大町康、宮河直人 ほか、ウラン体内除染剤スクリーニングモデルの基礎検討 日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会 セッションID:P-104 , doi:10.14869/toxpt.39.1.0.P-104.0
  19. ^ 김윤미 (2019年10月2日). “수십 년 밥했던 물이…기준치 157배 우라늄 '가득'” (朝鮮語). MBC NEWS. 2019年10月3日閲覧。






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