ウクライナ
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国民
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人口変動(1989年‐2012年)
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人口密度(2013年)
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都市人口(2010年)
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都市人口動態(1989年‐2010年)
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出産率(2010年)
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死亡率(2010年)
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年齢構成(2010年)[注釈 11]
民族
ウクライナは多民族国家である。主要民族はウクライナ人で、全人口の約8割を占める。ロシア人は約2割を占める。ほかに少数民族としてクリミア・タタール人、モルドヴァ人、ブルガリア人、ハンガリー人、ルーマニア人、ユダヤ人がいる。高麗人も約1万人ほどいる[134]。
国内最大の少数民族であるロシア人の割合が高い州は、ロシアが実効支配しているクリミア自治共和国とセヴァストポリを除くとルハーンシク州(39.2%)、ドネツィク州(38.2%)、ハルキウ州(25.6%)、ザポリージャ州(24.7%)、オデッサ州(20.7%)、ドニプロペトロウシク州(17.6%)の順となっており、東部以外ではキーウ市(13.1%)が高くなっている。また、西部のザカルパッチャ州ではハンガリー人が12.1%を、チェルニウツィー州ではルーマニア人が12.5%を占めている。
ウクライナは2021年に「先住民法」を制定し、ゼレンスキー大統領が7月21日に署名して成立した。先住民族としてクリミア・タタール人、クリミア・カライム人、クリムチャク人の3民族を認定した[135]。これに対してロシア検察は翌日、欧州人権裁判所への提訴を発表した[136]。ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンは先立つ7月12日、『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』という論文を発表していた[137]。
人口が集中しているのはキーウ、ドネツィク州、ハルキウ州、リヴィウ州、ドニプロペトロウシク州で、全人口の69%が都市部に住んでいる。
人口密度の高い州はドネツィク州、リヴィウ州、チェルニウツィー州、ドニプロペトロウシク州である[138]。
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諸民族の割合(2001年)黄色はウクライナ系
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非ウクライナ系人口(2001年)
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多数民族(2001年)肌色はウクライナ系、青色はロシア系
言語
ウクライナの国家語は憲法第10条により定められたウクライナ語のみであるが、憲法第10条にはロシア語を含む多言語使用・発展も保証すると記載されている。実態としてはウクライナ社会はウクライナ語とロシア語の二言語社会と呼びうる。
2001年の国勢調査によれば、全体の67.5%がウクライナ語を母語とし、ロシア語は29.6%となっていた。東部、南部と首都キーウではロシア語の割合が比較的高い[140]。他方、2006年に行われた民間調査統計によれば、ウクライナ語を母語とする国民は5割強となっている[141]など、統計によるばらつきがみられる。同じ調査統計の結果で、母語ではなく日常的に使用する言語を問う設問では、家庭内でウクライナ語のみを使用するのは全国民の38.2%、ロシア語のみが40.5%、両言語が16.2%となっており[142]、ウクライナはウクライナ語とロシア語の2言語国家であることがよく示されている。
ウクライナはロシア帝国およびソ連時代にロシア語化が進み、西ウクライナを除いて共通語としてロシア語が広く普及し、圧倒的に優勢となった。また、当時はウクライナ語はロシア語の方言や農村部の方言に過ぎないという認識さえあり、使用は衰退していった。特に都市部に住むインテリ層の間ではロシア語の使用が広まり、農村部ではウクライナ語、都市部ではロシア語という色分けができていた。しかしながら、ソ連からの独立時にウクライナ語を唯一の公用語として指定し、国民統一の象徴の言語として広く普及させ、復活させる国策を採った。一方、ロシア語は公用語に制定せず、ウクライナ語の復権を重要課題に掲げて重視した。これは、同じくロシア語が最も使われてきた隣国ベラルーシが独立後もロシア語を引き続き最重要視する政策とは対照的な路線をとった。
ウクライナでは政府機関ではウクライナ語のみが使われ、憲法・法律をはじめ、公的文書は全てウクライナ語で記述され、学校教育は大半がウクライナ語で行われる。また、街中の広告もウクライナ語に限定され、地下鉄のアナウンスや街中の案内表記もウクライナ語とされるが、ロシア語も言語法の手続きを通じた地方公用語として認定されている場合には地方レベルで使用可能である。この背景には、国家としてウクライナ語の普及を進める一方で、西ウクライナを除く地域の都市部住民の中には民族的にウクライナ人であっても日常生活ではロシア語を主に使用している人が少なくなく、ウクライナ語を運用することはできるが、ビジネスや娯楽、家庭での言語はロシア語が優勢となっている。さらに、東部や南部では、ウクライナ語が不得手とする人も少なくない。このように、独立以降ウクライナ語のみを国家語にしてきたウクライナであるが、生活の現場でのロシア語の使用頻度は低下しておらず、西部を除いた地域においてはロシア語は引き続き重要な言語となっている。
特徴的な点として、ウクライナ西部にあるリヴィウ州、ヴォルィーニ州、テルノーピリ州、イヴァーノ=フランキーウシク州のガリツィア地域はソ連時代を通じてもロシア語化が進まなかったことからウクライナ語が圧倒的に優勢で、日常的にロシア語が使われることは一般的でない。この3州ではロシア語の第2国家語化への反対者が多い。一方、東部の住民にはロシア語の公的地位向上を求める世論もあり、しばしば政治の場における敏感な論点となる。しかし、ウクライナ語が不得手な東部出身のウクライナ民族主義者も珍しくなく、使用母語と親露・反露感情は必ずしも一致しない点は留意を要する。2014年の政変以降も欧州安全保障協力機構(OSCE)などの国際機関は、社会においてロシア語話者が差別を受けている事実を報告していない[要出典]。
その他の言語として、クリミア・タタール語(クリミア自治共和国)、ハンガリー語(ザカルパッチャ州)、ルーマニア語(チェルニウツィー州)なども使われている。
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ウクライナ語使用地域
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ロシア語使用地域
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クリミア・タタール語使用地域
婚姻
婚姻時には改姓せず夫婦別姓とすることも、いずれかの姓に統一し同姓とすることも、複合姓とすることも、いずれも選択可能である[143]。
宗教
現在ウクライナの国民は多くキリスト教徒のアイデンティティを持っているが、大半は特定の宗教団体に属していない[144]。伝統的な宗教は、正教会の一員であるウクライナ正教会である。ルーシの洗礼以来、ウクライナの正教会はコンスタンディヌーポリ総主教庁に属していたが、1686年にモスクワ総主教庁に移され、20世紀末までモスクワ総主教庁に属していた。この移管は教会法に違反していたと指摘されるが[145]、モスクワ総主教庁側はこの移管を「教会法違反」とは捉えていない。1990年には、ウクライナの独立運動の興隆に呼応して、モスクワ総主教庁から分離独立したキエフ総主教庁が設立された。
キエフ総主教庁・ウクライナ正教会の教会法上の合法性を認めている他国の正教会は長らく存在していなかったが、キエフ総主教庁は教会法解釈・歴史認識につき主張をしつつ、自らの合法性の承認を得るべく様々な活動を行い、信徒数の上でもウクライナにおける最大の教会となった。なお、懸案だったロシア正教会からの独立問題については、2014年にロシアがクリミア半島を併合したことによる反ロ感情の高まりを受け[146]、2018年10月11日にコンスタンティノープル総主教庁から独立の承認を得ることに成功した[146]。
この承認に基づいて、2018年12月15日、首都キーウにある聖ソフィア大聖堂で開かれた統一宗教会議で、ロシア正教会から独立したウクライナ正教会の創設が宣言された(「ウクライナ正教会 (2018年設立)」参照)。オブザーバーとして出席したポロシェンコ大統領は「ロシアからの最終的な独立の日だ」と群衆に述べた[147]。
これに次ぐ正教会として、モスクワ総主教庁の下に留まりつつ事実上の自治を行っているウクライナ正教会(「ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁系)」参照)もあるが、ウクライナ国内での信者数は減少している。2022年ロシアのウクライナ侵攻をキリル1世 (モスクワ総主教)が支持したことでこの傾向は加速し、キーウ国際社会学研究所が同年7月に実施した世論調査では、帰属意識を持つ教会としてウクライナ独自の正教会を挙げた人が54%と最多で、モスクワ系ウクライナ正教会は2021年の18%から4%に減った[148]。したがって、2020年代における宗派別信者数は、右のグラフや下記のデータから大きく変化している。
他にもウクライナ独立正教会と独立合法ウクライナ正教会の教会組織が存在する。また、ロシア正教古儀式派教会の教区やポモーリエ派の会衆など、正教古儀式派の信徒も伝統的に存在している。
東方典礼カトリック教会たるウクライナ東方カトリック教会が正教に次いで勢力を有する。西方典礼のカトリック教会およびプロテスタント、さらにイスラム教徒、ユダヤ教徒、仏教徒も少数存在する。
朝鮮出身の開祖である文鮮明による「愛天、愛人、愛国」の教えを説く統一教会はウクライナを活動拠点の一つとしている[149]。
- 米国CIA『ザ・ワールド・ファクトブック』による2006年度のデータ:[150]
- ウクライナ正教会・キエフ総主教庁 - 50.4%
- ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁系) - 26.1%
- ウクライナ東方カトリック教会 - 8%
- ウクライナ独立正教会 - 7.2%
- (西方典礼の)カトリック教会 - 2.2%
- プロテスタント - 2.2%
- ユダヤ教 - 0.6%
- その他 - 3.2%
教育
1995年から6歳から17歳までの11年間が義務教育である。小学校・中学校に相当する9年間は同じ学校に通い、10年目以降は普通学校と専門学校のいずれかを選択することになる。このため11年間同じ学校に通う生徒も存在する。
必須科目はウクライナ語のほか、情報学、経済学などで、英語は1年生からの必須科目である。2000年から2001年の調査によると全体の7割がウクライナ語で教育を受け、残りの3割弱がロシア語となっている。そのほか、クリミア・タタール語、ハンガリー語、ルーマニア語でも教育が行われている。
ウクライナの学校は、3月末に1週間の春休み、6 - 8月に3か月間の夏休み、12月末 - 1月に約2週間の冬休みがある。
幼少期から数学教育が重視されており、IT産業の発達に寄与したとされる[133]。
高等教育機関
- キエフ大学
- キエフ・モヒーラ・アカデミー国立大学
- キエフ技術大学
- リヴィウシカ・ポリテフニカ国立大学
- リヴィウ大学
- 東ウクライナ国立大学
- ウクライナ自由大学
- ウクライナ経済大学
- ウクライナ教育大学
- キエフ音楽院
- グリエール音楽大学
- 国立リヴィウ銀行大学
- キエフ国立貿易経済大学
研究所
保健
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医療
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注釈
- ^ ウクライナでは1989年以降、ウクライナ語が唯一の公用語とされている[1][2][3]。
- ^ 日本語文献では「ウクライナ共和国」という表記もしばしば見られるが、間違いである。
- ^ ウクライナ語の「Україна」については、日本語には「ї」に近い発音がないため表記が困難であるが、便宜的に「ウクライィーナ」と表現される。ラテン文字表記としては「Ukrayina」や「Ukraina」が用いられる。
- ^ 以前は「烏克蘭」が用いられていたが、天江喜七郎が駐ウクライナ特命全権大使在任時にウクライナ日本語教師の大会で「宇克蘭」を使用するよう確認。以降、外務省、及び在ウクライナ大使館では「宇克蘭」、略称「宇」を用いている(例:“キエフ案内” (PDF). 在ウクライナ日本国大使館 2014年7月12日閲覧。)。ウクライナ語オンライン大辞典 も参照。また、中澤英彦著『ニューエクスプレス ウクライナ語』(白水社、2009年)や小泉悠著『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』(東京堂出版、2019年)にも「宇」との省略形が使用されている。その一方、「烏克蘭」の使用は現在も散見される。中国語圏では「烏克蘭」とその省略形「烏」表記が現在でも一般的である。
- ^ 1657年にスウェーデン王国との交渉においてコサックの棟梁イヴァン・ヴィホーウシクィイは、「ギリシアの信仰とルーシの言葉が広まっている地域、ヴィスワ川までの古のウクライナ、あるいはルーシ」の所有権の承認を主張していた[27]。
- ^ ポーランドはレーニンが率いたボリシェヴィキ軍に敗退したが、1922年には日波通商航海条約締結により日本からの手厚い支援を受けた。
- ^ クリミア併合後にロシア政権より功労者に贈られたメダルには「クリミア回帰 2014年2月20日?3月18日」と書かれており、ロシアによる併合計画がヤヌコーヴィチ政権崩壊直前から開始されていた可能性が見て取れる[74]。
- ^ ロシア大統領直轄市民社会・人権発展評議会は、実際の投票率は30-50%であり、そのうちクリミアのロシア編入に賛成したのは50-60%と報告している[75]。
- ^ クリミア・タタール人指導者であるムスタファ・ジェミレフは、国連安全保障理事会において、住民投票の投票率は32.4%であったと報告[76]。
- ^ ロシア政府は同戦闘を「内戦」と呼び、自らの関与を否定するが、現地世論調査によると、ウクライナ国民の57%が「ロシアとウクライナの戦争」だと感じており、「内戦」(13%)だと見なす国民より圧倒的に多い[79]。
- ^ 65歳以上人口に対する 0-14 歳人口の割合 (2013年1月1日時点)。
- ^ 現在の国籍はウクライナからアゼルバイジャンへ変更。
出典
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