ウェネティ語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/29 06:57 UTC 版)
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ウェネティ語 | |
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話される国 | イタリア北東部 |
消滅時期 | 紀元前5世紀∼紀元前1世紀 |
言語系統 | |
言語コード | |
ISO 639-3 |
xve – Venetic |
Linguist List |
xve Venetic |
Glottolog |
vene1257 [1] |
紀元前6世紀末から紀元前1世紀半ばにかけて書かれた300以上の短い碑文が残されている。とくにエステの東にあるバラテッラのレイティア (Reitia) 女神の神域の碑文や、ピアーヴェ川流域のラゴレ・ディ・カラルツォの神域に豊富な碑文が残る。碑文の内容は宗教的な奉納文と葬儀用の文が半々である[3]。
系統
インド・ヨーロッパ語族のケントゥム語に含められる。しばしばイタリック語派の、とくにラテン語に近いとされることがあるが、確実なことは言えない[4]。語彙は、人名や神名を除くと50語程度である[5]。文法の節で見られるように人称代名詞にはゲルマン語派との類似が見られる。
かつてウェネティ語はイリュリア語と関係があると言われた[6]。イリュリア語はアルバニア語と関係があると言われ[7]、またメッサピア語と近い関係にあるとも言われる[8]。しかしイリュリア語の資料がわずかな固有名詞以外何も残っていないため、証明は不可能である。
文法
名詞は3つの性、単数と複数の数、少なくとも主格・対格・与格・奪格を区別する。属格は疑わしい例しかない[9]。
代名詞には一人称単数のego(主格)、mego(対格)のほか、sselboisselboi(彼自身、単数与格)が見られるが、この形はゲルマン語派の形に類似する(ゴート語 silba、古高地ドイツ語 selbselbo)[10]。
動詞は時制(現在・過去)、法(直説法、命令法、おそらく接続法も)、2つの態を持ち、人称と数で変化する[10]。
文字
文字は、エトルリア文字の系統の独自の文字(古イタリア文字の一種)を使用したが、紀元前150年ごろになるとラテン文字を使用するようになり、またラテン語からの影響が強まった[11]。
エトルリア文字には有声破裂音の文字(b,d,g)がなかったため、帯気音の文字(φ,θ,χ)を有声音のために転用した。/f/は古いエトルリア文字の習慣に従ってvhと記されたが、カドーレでは後に単にhだけで表した[12]。ウェネティ文字の風変わりな特徴として、音節のはじめの母音(iを除く)と、音節末の子音に点を打つことがあげられる[13]。
- ^ Hammarström, Harald; Forkel, Robert; Haspelmath, Martin et al., eds (2016). “Venetic”. Glottolog 2.7. Jena: Max Planck Institute for the Science of Human History
- ^ 中世以降のヴェネト語(Il veneto;イタリア語の方言ともされる)とは別である。
- ^ Wallace (2004) p.840
- ^ Wallace (2004) p.842
- ^ Wallace (2004) pp.854-855
- ^ たとえば高津(1954) p.17注(1)でウェネティ語を「甚だしくラテン語化されたイリュリア語」とする
- ^ Woodard (2004) p.12
- ^ Woodard (2004) p.15
- ^ Wallace (2004) pp.848-850
- ^ a b Wallace (2004) p.850
- ^ Wallace (2004) p.842,846,855
- ^ Wallace (2004) p.844
- ^ Wallace (2004) pp.845-846
- ^ Wallace (2004) p.853
- 1 ウェネティ語とは
- 2 ウェネティ語の概要
- 3 例
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