インフレーション 対策

インフレーション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 15:07 UTC 版)

対策

インフレの阻止や解消のため様々な対策が行われている。

  • 中央銀行の政策金利公定歩合の引き上げ
    • 金利の引き上げによる通貨高[42]
  • 中央銀行の公開市場操作による資金吸収オペレーション
  • 中央銀行の預金準備率引き上げ操作
  • 中央銀行の新通貨発行と預金封鎖にともなう新通貨への切り替え
  • 政府が財政支出を削減
  • 政府が増税をして消費を抑える
  • インフレターゲット(物価水準目標)

インフレーションのアレゴリー幕末、1868年より前)

世界最古

記録に残る世界最古のインフレーションはマケドニア王国アレクサンダー大王の死去直後、紀元前323年のことであると言われている[43]マサチューセッツ工科大学教授ピーター・テミンの研究によると、当時のバビロニアには既に市場経済があり、農産物の供給不足などに対してアケメネス朝ペルシアなど征服地から接収してもたらされた過剰な財宝(主に銀)の在庫がある中で、大王の死によって人々の不安感が増大したことが引き金となって、インフレーションが発生した[43]

古代ローマ

軍人皇帝時代の古代ローマでは兵士への給与を増やす必要に迫られ銀貨の改悪を繰り返した結果、インフレーションが起こり市民生活に影響が出てていた。ディオクレティアヌスは通貨改革を敢行したが効果が無かったため、301年に物品やサービスの最高価格を定めた勅令『最高価格令』を出した。これらは実施された形跡が無く効果は薄かったとされるが、日用品の価格や各職業の給与が詳細に定められており、現代では貴重な歴史資料となっている[44]

価格革命

ピサロによるインカ帝国征服後、ポトシ銀山などから大量の金銀がスペインに運ばれた。1521年から1660年までの間にスペインに運ばれた金銀の量は金200トン、銀1.8万トンと言われる。これらの金銀は主に貨幣となったため、欧州全域で貨幣価値が3分の1になった。つまり物価が3倍になるインフレが起こったわけで、これを「価格革命」と言った。貨幣供給により商工業の発展が起こり、地代の減少のために封建領主層が没落するなどの社会的変化をもたらした。

局地的

国単位でのインフレの他に、地域単位、都市単位でインフレ現象が起きることがある。

1324年メッカ巡礼に向かったマンサ・ムーサは、富を知らしめるために道中のカイロで黄金をばら撒いたことから金相場が暴落し、10年以上の間エジプト周辺でインフレーションが続いたといわれる[45][46]。12年後の記述では、エジプトでの金の価格は1ミスカール英語版(4.25グラム)の金は25ディルハム以上であったが、マンサ・ムーサが訪れてからは下落し、1ミスカルの金は22ディルハムを下回ったとされる[46]

現代的に問題になっているのは、国際連合平和維持活動(Peace-Keeping Operations:PKO)に伴うインフレーションである[要出典]。紛争地域の停戦後、平和維持のために派遣される各国の部隊は、経済が疲弊している所に急に現れる富裕層と同じである。そのため、駐屯地の周辺では、部隊が調達する生活物資・食料品を中心に価格上昇が起きてインフレとなり、紛争で困窮した周辺住民の生活を圧迫する。対策として部隊員の駐屯地外での購買活動抑制が行われており、PKO部隊は価格維持活動(Price Keeping Operation)も同時に行っていることになる。

日本では、明治以降の資本主義経済化の下で局地的なインフレが見られた。農業地域や未開拓地域(北海道)に工業鉱業・巨大物流施設(港湾)が出来ると、急激な資本投下と人口の急増(都市化)とが発生し、生活物資の必要から局地的なインフレが起きた。そのため、物価安定を目的に日本銀行の支店や出張所が置かれた。日銀の支店・出張所の開設場所や開設時期は、その地域での経済活動に伴う局地的インフレ懸念と密接に関係している[要出典]

関連用語

損益分岐インフレ率

損益分岐インフレ率(ブレークイーブン・インフレ率、break-even inflation rate)とは、物価が今後どの程度上昇すると一般的に予想されているかを表すインフレ期待(inflationary expectations)を測る代表的な指標である[47]。国債とインフレ連動債との利回りの差を数値化したものである(国債の利回り - インフレ連動国債の利回り)。市場が推測する期待インフレ率を表す。この値がプラスならインフレ、マイナスならデフレを市場が期待していることになる[48][49]

経済学者の岩田規久男は「期待インフレーション率は、インフレ連動債と普通の国債との利回り差でだいたいわかる」と指摘している[50]

原田泰、大和総研は「期待インフレ率は、年限が短いほど、直近の物価指数に影響を与えるため、近い将来の物価を見通すことには役立つ」と指摘している[51]

インフレ連動債のような特別に設計された金融資産が存在しない場合には、予想インフレ率を直接的に観測できない[52]


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