インド・ルピー 紙幣

インド・ルピー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/02 07:11 UTC 版)

紙幣

「マハトマ・ガンディー」シリーズ

1996年に発行開始され、現在流通している紙幣は「マハトマ・ガンディー」シリーズと呼ばれる。5ルピー、10ルピー、20ルピー、50ルピー、100ルピー、200ルピー、500ルピー、2000ルピーの8種がある。17カ国語(英語とヒンディー語が表面、残りの15カ国語が裏面)で額面の記載がある。

後述の2016年の高額紙幣廃止によってそれまで流通していた1000ルピーが廃止され、500ルピーは新札となり、新たに2000ルピー札が発行された。新札には偽造防止技術が付加されており、従来の透かしなどに加え、セキュリティー・スレッド、潜像、パールインク、マイクロ文字、表裏透過レジストレーションユーリオンなどが採用されている。又、額面ごとにサイズが異なるのも特徴である。その後2017年から2018年にかけて10, 50, 100ルピー札にも新札が登場し、200ルピー札も新たに発行された。2018年9月現在では新旧の紙幣が混在して流通している。


無効になった高額紙幣

インド標準時2016年11月8日午後8時に、ナレンドラ・モディ首相が、突如「インドに蔓延している汚職脱税の根絶を目的」として、1,000ルピー紙幣(当時の為替レートでは日本円で1,600円)と500ルピー紙幣(同日本円で800円)の流通差止を命じ、4時間後の11月9日午前0時(日本標準時同3時30分)以降、これら2種類の紙幣は、法定通貨としての効力を失うと、インド国営テレビ局(DDTV)を通じて宣言した[8]。この発表により、銀行やATMに通貨交換を求めて国民が殺到した。ただし、2016年12月30日までは、銀行や郵便局で旧紙幣(旧500ルピー紙幣・旧1000ルピー紙幣)の交換を受け付け、11月10日以降にインド準備銀行が、新たに新500ルピー紙幣・新2,000ルピー紙幣を発行するとしている[8]

突然の『高額紙幣無効』を宣告したのは、脱税目的で銀行口座預金せず、現金のまま自宅の貯金箱や金庫(=日本で言う「タンス預金」の状態)で保有している、富裕層の隠し資産を炙り出す狙いがあり、銀行口座を介さないインドの地下経済は、推定で国内総生産の20~45%(バンク・オブ・アメリカメリルリンチ[9]又は17.89%(2015年時点、国際通貨基金の推定値)[10]に及ぶと試算されている[9]

使用言語

インドでは公用語が多数に渡るため、紙幣の言語には、表面にヒンディー語英語、裏面には、アッサム語ベンガル語グジャラート語カンナダ語カシミール語コンカニ語マラヤーラム語マラーティー語ネパール語オリヤー語パンジャーブ語サンスクリットタミル語テルグ語ウルドゥー語の合計「17言語の言葉」で書かれている。

実情

市民には、未だ銀行口座を持たない者も一定数存在するため、需要に対して流通量が足りているとは言えず、少額の買い物に対して高額紙幣で決済しようとすると、使用を断られることも少なくない。

日本のように、釣銭がきっちりと用意されているような場所は稀で、商店や交通機関の支払いなど市民生活に於いては、100ルピー以下の額面が多く利用されている。1の位=硬貨のお釣りも省略される場合も多い。これは、前述の電子決済が広く普及する一因にもなっている。

紙幣デザイン

現行の紙幣のデザイン(2018年9月現在)
デザイン 額面 サイズ モチーフ 発行年 流通の有無
表面 裏面 表面 裏面 その他
1ルピー 97 × 63 mm グリーン及びピンク 1ルピーコイン サガル・サムラート[注 1] アショーカの尖塔英語版[注 2] 2015年[11] 無効
5ルピー 117 × 63 mm グリーン マハトマ・ガンディー トラクター マハトマ・ガンディー 2002年 / 2009年 限定的
10ルピー 123 x 63 mm チョコレートブラウン コナーラクのスーリヤ寺院 2005年 / 2018年 広域
20ルピー 147 × 63 mm レッドオレンジ マウントハリエット国立公園英語版 2001年 / 2006年 広域
50ルピー 135 × 66 mm アクア ハンピチャリオット 1997年 / 2005年 / 2017年 広域
100ルピー 142x66 mm ラベンダー ラーニー・キ・ヴァーヴ 2018年 広域
200ルピー 146 × 66 mm ブライトイエロー サーンチーの仏教建築物群 2017年 広域
500ルピー 150 × 66 mm ストーングレイ 赤い城 2016年 広域
2000ルピー 166 × 66 mm マゼンタ マーズ・オービター・ミッション 2016年 広域

注釈

  1. ^ ムンバイより170km沖合にある石油掘削機の名称。
  2. ^ デリーの鉄柱とは異なる。

出典

  1. ^ Frequently Asked Questions”. Royal Monetary Authority of Bhutan. 2021年4月18日閲覧。
  2. ^ 米グーグルがインドで電子決済サービス、来週にも導入へ=報道
  3. ^ 高額紙幣廃止 「キャッシュレス」構築へ お布施も電子決済
  4. ^ How is BHIM app different from mobile wallets- Business News”. www.businesstoday.in. 2017年6月7日閲覧。
  5. ^ http://finmin.nic.in/the_ministry/dept_eco_affairs/currency_coinage/Comp_Design.pdf COMPETITION FOR DESIGN
  6. ^ “IIT post-graduate gives Rupee its symbol”. Indian Express. (2010年7月15日). http://www.indianexpress.com/news/rupee-symbol/646761 2010年7月15日閲覧。 
  7. ^ “ルピー安は通貨記号のせい?インド 国際ニュース”. AFP. (2012年6月1日). http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2881388/9033535 
  8. ^ a b “インド、高額紙幣の流通を突如停止 腐敗対策で” (日本語). フランス通信社. (2016年11月9日). http://www.afpbb.com/articles/-/3107281 2016年11月13日閲覧。 
  9. ^ a b 黒沼勇史 (2016年11月9日). “インド高額2紙幣の使用禁止、230億枚無効に”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). http://www.nikkei.com/article/DGXLZO09332150Z01C16A1EB2000/ 2016年11月13日閲覧。 
  10. ^ Leandro Medina; Friedrich Schneider (2018-01-24), IMF Working Paper No. 18/17 Shadow Economies Around the World: What Did We Learn Over the Last 20 Years?(世界地下経済:過去20年間の教訓), IMF, https://www.imf.org/en/Publications/WP/Issues/2018/01/25/Shadow-Economies-Around-the-World-What-Did-We-Learn-Over-the-Last-20-Years-45583 2019年9月25日閲覧。 
  11. ^ India Re-introduces the One Rupee (Rs 1) Banknote in 2015 navonanumis.blogspot.com. 25 May 2015. Retrieved on 2nd July 2018.


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