インドネシア 政治

インドネシア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 06:45 UTC 版)

政治

国是

多民族国家であり、種族、言語、宗教は多様性に満ちている。そのことを端的に示すのは「多様性の中の統一 Bhinneka Tunggal Ika」というスローガンである。この多民族国家に国家的統一をもたらすためのイデオロギーは、20世紀初頭から始まった民族主義運動の歴史の中で、様々な民族主義者たちによって鍛え上げられてきた[30]

そうしたものの一つが、日本軍政末期にスカルノが発表したパンチャシラである[31]1945年6月1日の演説でスカルノが発表したパンチャシラ(サンスクリット語で「5つの徳の実践」を意味する)は今日のそれと順序と語句が異なっているが、スハルト体制期以降も重要な国是となり、学校教育や職場研修などでの主要教科とされてきた[32]。また、スハルト退陣後の国内主要政党の多くが、今もなお、このパンチャシラを党是として掲げている。

現在のパンチャシラは以下の順序で数えられる。

  1. 唯一神への信仰(イスラーム以外でもよいが無宗教は認容されない)
  2. 人道主義
  3. インドネシアの統一
  4. 民主主義
  5. インドネシア全国民への社会正義

行政府

元首たる大統領は行政府の長である。その下に副大統領が置かれる。首相職はなく、各閣僚は大統領が指名する。特徴的なのが「調整大臣府」と呼ばれる組織で、大統領と各省の間で複数の省庁を管掌しており[33]、2014年発足のジョコ・ウィドド政権では政治・治安担当調整大臣府インドネシア語版英語版経済担当調整大臣府インドネシア語版英語版海事担当調整大臣府インドネシア語版英語版人間開発・文化担当調整大臣府インドネシア語版英語版が置かれている[34]

第五代までの大統領と副大統領は、国民協議会(後述)の決議により選出されていたが、第六代大統領からは国民からの直接選挙で選ばれている。任期は5年で再選は1度のみ(最大10年)。憲法改正によって大統領の法律制定権は廃止された。各種人事権については、議会との協議を必要とするなど、単独での権限行使は大幅に制限された。また議会議員の任命権も廃止され、議員は直接選挙によって選出されることになった。

立法府

国民議会

立法府たる議会は、(1) 国民議会インドネシア語: Dewan Perwakilan Rakyat (DPR), 英語: Peoples Representative Council, 定数560)、(2) 地方代表議会インドネシア語: Dewan Perwakilan Daerah (DPD), 英語: Regional Representatives Council, 定数132)、そして (3) この二院からなる国民協議会インドネシア語: Majelis Permusyawaratan Rakyat (MPR), 英語: People's Consultative Assembly)がある。

まず、(3) の国民協議会は、2001年2002年の憲法改正以前は、一院制の国民議会の所属議員と、各州議会から選出される代表議員195人によって構成されていた。国民協議会は、国民議会とは別の会議体とされ、国家意思の最高決定機関と位置づけられていた。国民協議会に与えられた権限は、5年ごとに大統領と副大統領を選出し、大統領が提示する国の施策方針を承認すること、一年に一度、憲法と重要な法律の改正を検討すること、そして場合により大統領を罷免すること、であった。このような強大な権限を国民協議会に与えていることが憲政の危機をもたらしたとして、その位置づけを見直す契機となったのは、国民協議会によるワヒド大統領罷免であった。

3年余りの任期を残していた大統領を罷免した国民協議会の地位を改めるため、メガワティ政権下の2001年と2002年に行われた憲法改正により、国民協議会は国権の最高機関としての地位を失った。立法権は後述の国民議会に移されることになり、国民協議会は憲法制定権と大統領罷免決議権を保持するが、大統領選任権を国民に譲渡し、大統領と副大統領は直接選挙によって選出されることになった。

これらの措置により、国民協議会は国民議会と地方代表議会の合同機関としての位置づけが与えられ、また、国民議会と地方代表議会のいずれも民選議員によってのみ構成されているため、国民協議会の議員も全て、直接選挙で選ばれる民選議員となった。

(1) の国民議会は、2000年の第2次憲法改正によって、立法、予算審議、行政府の監督の3つの機能が与えられることになった。具体的には立法権に加えて、質問権、国政調査権、意見表明権が国民議会に与えられ、また、議員には法案上程権、質問提出権、提案権、意見表明権、免責特権が与えられることが明記された。比例代表制により選出される。

(2) の地方代表議会は、2001年から2002年にかけて行われた第3次、第4次憲法改正によって新たに設置が決まった代議機関であり、地方自治や地方財政に関する立法権が与えられている。先述の通り、総選挙で各州から選出された議員によって構成されている。

司法府

スハルト政権期には政府・司法省が分有していた司法権が廃止され、各級裁判所は、司法府の最上位にある最高裁判所によって統括されることになり、司法権の独立が確保された[注釈 1]。最高裁判所は法律よりも下位の規範(政令等)が法律に違反しているか否かを審査する権限を有する。他に憲法に明記される司法機関としては司法委員会と憲法裁判所がある。司法委員会は最高裁判所判事候補者を審査し国会に提示する権限及び裁判官の非行を調査し最高裁判所に罷免を勧告する権限を有する。憲法裁判所は法律が憲法に違反しているか否かを審査する権限を有する。憲法改正以前には大統領に属していた政党に対する監督権・解散権が憲法裁判所[注釈 2]に移された。これにより、大統領・政府による政党への介入が排除されることになった。

政党

現存する政党

以下、主なもの。

かつて存在した政党


注釈

  1. ^ 但し税務裁判所の人事と予算は引き続き財務省管轄化にある。税務裁判所の裁判に対する不服申立ては最高裁判所に対して行われる。
  2. ^ インドネシア共和国憲法第24C条第1項後段。
  3. ^ スハルトがゴルカルを支持母体として政権運営していたのは有名であるが、スハルトはゴルカルの党員でも党首でもない「ただの人」であった。その「ただの人」をゴルカルをはじめとするグループが大統領として推挙するという形式をとっていた。
  4. ^ 民主党はユドヨノ大統領の支持母体である。
  5. ^ ユドヨノは民主党最高諮問会議議長として党の最高権力を保持していたが、相次ぐ民主党不祥事によりアナスの党首続投が不可能な情勢となったため2013年3月31日の臨時党大会において党首に就任し自ら党運営を行うこととなった。
  6. ^ 2001年にメガワティと組んで副大統領に就任。2004年大統領選挙において大統領候補。
  7. ^ 最高諮問会議議長はプラボゥオ・スビヤント。
  8. ^ 大統領候補としてウィラントを支持している。
  9. ^ イスラム宗教団体ナフダトゥル・ウラマーを母体としている。アブドゥルラフマン・ワヒド大統領を出したことで有名。

出典

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