インターネットバンキング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/29 04:31 UTC 版)
提供サービス
主なサービス
多くの金融機関においてインターネットバンキングで提供されている中核的サービスは以下のものである。
- 残高照会
- 口座の入出金明細の表示
- 振込み・振替
このうち振込みは、店頭やATMといった実店舗取引からの移行(混雑の緩和、処理集中の分散、業務の省力化)を促進するため、実店舗利用の場合(銀行によっては、ATM利用時を含む)に比べて手数料が割安に設定されている場合が多い。
付加サービス
以下のサービスが付加的に行われている場合もある。
犯罪被害と対策
事例と対策
インターネットバンキングを標的としたネット犯罪としては、キーロガーやスパイウェアを仕込まれたり、フィッシング詐欺に遭ってパスワードなどを盗まれ、いつのまにか自分の口座から送金されお金を失ってしまうなどということが起きうる。
以下に各銀行が講じている対策のうち主だったものをあげる。
- TLSによる通信の暗号化
- PIN
- ログインパスワード
- 乱数表
- ワンタイムパスワード (OTP)
- ソフトウェアキーボード - キーロガーに対処
- フィッシング対策ソフトの提供
- 一定時間経過による自動ログアウト
- 取引上限額の設定
- 接続端末の制限 - IPアドレスやフィンガープリントによる接続制限
ユーザー側の注意点
- フィッシングサイト対策でのURLの文字・ドメイン名の確認(例:https://ja.wikipedia.org の部分を、インターネットブラウザで確認する)
日本での対策
全国銀行協会の取り組み
2006年施行の預金者保護法において、ネットバンキングは保護の対象外となっていた。
2005年度には49件だったネットバンキングにおける預金の不正払い戻しは2007年度には233件、被害総額は1億9千万円を超えるなど大幅な増加傾向を示したため、2008年2月、全国銀行協会はネットバンキングについても、預金者に過失がない場合は全額補償するという方針を打ち出した[3]。各銀行はさらに強固なセキュリティ対策と顧客への啓蒙を進め、2009年までの数年間には58件に減少するなど改善傾向が見られた[4]。
2013年頃から、コンピューターウイルスやワームなどを送り込まれてパスワードを盗まれ不正送金される事件が再び増加している。2013年の1年間で、日本でのネットバンキング不正送金の被害総額は約14億円である。個人だけでなく、法人の口座も狙われている。手口が非常に巧妙化していて、注意しているユーザでも被害に遭うようになっている。インターネットセキュリティ会社では、2014年も増えつづけることになると予測している[5]。
法人口座
被害が補償されることがあるのは個人のみで、法人の場合は補償されなかった[6]。そのため、法人がインターネットバンキングを利用するのはリスクが高かったが、2014年7月17日、全銀協は法人口座の不正送金被害に対する補償の指針を発表、一定の条件を満たした法人には補償が行われるようになっている[7]。
様々なシステムと開発業者
- AnserParaSOL
- NTTデータが提供する個人向けインターネットバンキング機能の提供サービス「ANSER-WEB®(アカウントアクセス)」、および個人向けインターネット投資信託機能の提供サービス「Fundcafé®」を統合し、全面的にリニューアルしたサービス[8]。従来のANSER採用行は、ParaSOLへ順次移行しているが、2014年5月時点で完了はしていない。
- eMuSC
- 日本アイ・ビー・エムが運営している、インターネットバンキングサービスとテレフォンバンキングサービスを提供する、チャネル共同センターの総称[9][出典無効]。
- bankstage
- 富士通開発によるインターネットバンキングシステム。
- Value Direct
- 野村総合研究所開発によるインターネットバンキングシステム。
注釈
- ^ Windows XP/Vista/Windows 7以外のOSやInternet Explorer (IE) 6/7/8/9以外のブラウザからのアクセスを拒否している場合もあるほか、「Windows以外のOS」に対応かつ「IE以外のブラウザ」に対応していても、PDAやスマートフォン、携帯電話のフルブラウザからのアクセスは拒否するものもある。
出典
- ^ a b c d e f “注目されるインターネット・バンキング戦略”. 野村資本市場研究所. 2018年3月17日閲覧。
- ^ 嘉藤隆也. “2002年にリリースされた法人向けインターネットバンキング”. F5 Networks, Inc. 2013年7月1日閲覧。
- ^ 「預金等の不正な払戻しへの対応」について - 全銀協ニュース 平成20年2月19日
- ^ インターネット・バンキングによる預金等不正払戻し(被害発生状況・補償状況) (PDF, 金融庁)
- ^ NHK「ゆうどきネットワーク」2014年4月14日放送
- ^ ネット預金:窃盗被害、法人は補償対象外[リンク切れ]
- ^ 法人向けインターネット・バンキングにおける預金等の不正な払戻しに関する補償の考え方について - 全国銀行協会
- ^ 個人向けインターネットバンキング機能の提供サービスを全面刷新 - 株式会社NTTデータ 2013年6月10日
- ^ 銀行向けチャネル共同センター・サービスを開始 -マルチチャネル向け共同センターを開設- - 日本IBM株式会社 2005年10月3日
- ^ 日立製作所の公式サイト内のインターネットバンキング共同センタサービス「FINEMAX」
- ^ 新商品・サービスを迅速に実現、システム部員のスキルを 『日経コンピュータ』 2010年8月31日
- ^ 日本ユニシス(株)しんきん情報システムセンターから信用金庫業界向けインターネットバンキングシステムを受注 - 日本ユニシス株式会社 平成13年2月1日
インターネットバンキングと同じ種類の言葉
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