インカ帝国 文化

インカ帝国

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/19 14:23 UTC 版)

文化

キープ
インカの上着

「知識は庶民のためのものではない」という考えのもと、いわゆる文化活動は貴族階級だけに許された。一般庶民はそれぞれの役務に必要なことだけを教えられ、それ以上を知ろうとすることは禁止されていた。手工業などの技術も貴族によって独占されていた。すなわち貴族が職人として労働に従事していたことになる。

建築

インカ道路網。最大勢力時は北端がキト、南端がサンディエゴまで通じていた。黒線が山側の主要路線、 赤線がCOST SIDE。

彼らは神殿、要塞、優れた道路を建設した[誰?]。峻厳な山脈地帯に広がった国土を維持するため、王は国中の谷に吊り橋を掛け、道路を作った。その道路(インカ道路網スペイン語版英語版)は北部のキトからチリ中部のタルカに至るまで5,230kmにも達した。急峻な地形であるために人力もしくは家畜(偶蹄目)によって物資を輸送するしかなく、車輪を用いた運搬手段は発明されなかった。また野生馬を飼いならし、人や物資の運搬に用いることはなかった。1トポ(約7km)毎に里程、約19km毎にタンボ(宿駅)が、サパ・インカと随行者のために設置されていた。チャスキスペイン語版英語版(飛脚)が約8km毎に設置され、1日あたり約240kmの割合で緊急連絡をリレーした。口頭による緊急連絡は、おそらく数に基づく符号を含むキープ(結縄)により補われた。これらはヨーロッパで古くに使用されていた割符と同等の物であった。この道路網は帝国の維持に必要であったが、皮肉なことにスペインによる征服をより容易にした[20]

道中のタンボには、食物の備蓄庫も置かれた。収穫された農作物は税として備蓄庫に徴収され、集められた備蓄食料は惜しみも無く民に放出された。この結果、インカはその豊満な食料を求めた人達の心を掴んで僅か3代50年で広大な国土を得ることが出来た。この平等な徴収及び分配活動も、スペイン人が食料の補給に困ることなくインカを侵略できてしまった結果を生んだ。

美術・工芸

金属加工

ヨーロッパの技術が伝わるよりも前から、プレ・インカ時代の伝統を受け継いでトゥンバガ(金とあるいは合金)を精錬する技術を持っていた。いわゆるインカ帝国の金製品は実は合金製であり、そのためヨーロッパ人の侵略により、その大部分が溶かされて純金の延べ板にされてしまった(ワッケーロも参照)。一方、を用いた高温の炉を作れず、の製錬技術は無かった。鉄器火器を持たなかったことは、スペインによる征服を容易にした[21]

陶芸

また、幾何学文様が描かれた長頸の尖底土器が特徴で、チャビン文化などプレ・インカ時代の土器織物のようにコンドルピューマなどの動物をモチーフにしたものは少ない[21]

食文化

アンデスのトウモロコシ



注釈

  1. ^ 現在、ペルーボリビアにおいてはインカ帝国ケチュア語アイマラ語公用語として認められ、エクアドルにおいても公用語にこそなっていないものの、ケチュア語は初等教育機関で教えられている。この場合アルファベットにより文字化されている。
  2. ^ 上記説はエルインカ・ガルシラソによるもの。その他にもホアン・デ・ベタンソスによれば四組の夫妻とされており、アヤル・カチとママ・グァコ、アヤル・オチェとクラ、アヤル・アウカとラグア・オクリョ、アヤル・マンコとママ・オクリョ。シエサ・デ・レオンによれば三組の夫妻とされている[13]

出典

  1. ^ 島田・篠田編 (2012) 第5章
  2. ^ ピース (1988)、pp.87-88.
  3. ^ Millersville University Silent Killers of the New World
  4. ^ 増田編 (2000) p.125
  5. ^ イナミネ/山脇 (1995)
  6. ^ 島田・篠田編 (2012) 第2章、第3章
  7. ^ 島田・篠田編 (2012) 第9章
  8. ^ ピース (1988)、pp.137-138.
  9. ^ ピース (1988)、p.134.
  10. ^ 大貫 (1995)
  11. ^ Starn, Degregori, Kirk (1995)
  12. ^ 島田・篠田編 (2012) 第7章
  13. ^ ピース (1988)、p.46.
  14. ^ Urton (1990)
  15. ^ ピース (1988)、pp.45-46.
  16. ^ ピース (1988)、p.51.
  17. ^ Gary Urton, Signs of the Inka Khipu: Binary Coding in the Andean Knotted-String Records (Austin: University of Texas Press, 2003).
  18. ^ ピース (1988)、pp.50-51.
  19. ^ 島田・篠田編 (2012) 第14章
  20. ^ 島田・篠田編 (2012) 第12章
  21. ^ a b 島田・篠田編 (2012) 第10章





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