イタチ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/15 06:04 UTC 版)
イタチ属 | |||||||||||||||||||||||||||
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オナガオコジョ M. frenata
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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タイプ種 | |||||||||||||||||||||||||||
ヤマイタチ Mustela erminea Linnaeus, 1758 | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
イタチ(鼬) | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Weasel ermine stoat Ferret mink polecat | |||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||
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イタチ属 分布域
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「イタチ」の語は元来、日本に広く棲息するニホンイタチ(Mustela itatsi)を特に指す語であり、現在も、形態や生態のよく似た近縁のチョウセンイタチ(M. sibirica coreana)を含みながら、この狭い意味で用いられることが多い。また、広義にはイタチ亜科(あるいはイタチ科)の動物全般を指すこともあるが(イタチ亜科の場合、テンやクズリなどの仲間も含まれる)、ここではイタチ属のイタチ類について記す。
分布
日本全国、ユーラシア、アフリカ、南北アメリカ大陸の亜熱帯から寒帯まで広く分布している。
特徴
イタチ属の動物は、しなやかで細長い胴体に短い四肢をもち、鼻先がとがった顔には丸く小さな耳がある。多くの種が体重2 kg以下で、ネコ目(食肉類)の中でも最も小柄なグループである。中でもイイズナ(Mustela nivalis)はネコ目中最小の種であり、体重はアメリカイイズナ (M. n. rixosa)で30 - 70 g、ニホンイイズナ(M. n. namiyei)で25 - 250 gである。
イタチ類は、オスに比べメスが極端に小柄であることでも知られ、この傾向は小型の種ほど顕著である。メスの体重は、たとえば前述のアメリカイイズナやチョウセンイタチ(M. s. coreana)ではオスの半分、ニホンイタチではオスの3分の1である。
小柄な体格ながら、非常に凶暴な肉食獣であり、小型の齧歯類や鳥類はもとより、自分よりも大きなニワトリやウサギなども単独で捕食する。反対にイタチを捕食する天敵は鷲・鷹・フクロウと言った猛禽類とキツネである。
肛門腺が発達しており、そこから強い悪臭を帯びた分泌液を噴出することで外敵から身を守る。
水辺を好み、泳ぐのも上手い。
種
伝統的な分類に基づくイタチ属の現生種は以下の通り。このうちアマゾンイタチ(Mustela africana)、オナガオコジョ( Mustela frenata)、コロンビアイタチ(Mustela felipei)は最新の分子系統解析ではミンク属に属すとされる。フェレット(Mustela furo)はヨーロッパケナガイタチ(M. putorius)の亜種M. p. furoとされることもあるが、頭骨にステップケナガイタチ(M. putorius)に似た特徴がある。また、ニホンイタチ ('M. itatsi)はシベリアイタチの亜種とされることがある。
- アルタイイタチ Mustela altaica
- オコジョ Mustela erminea
- オナガオコジョ Mustela frenata(最新の分子系統ではミンク属(Neogale)に属す)
- キバライタチ Mustela kathiah
- イイズナ Mustela nivalis
- シベリアイタチ(タイリクイタチ、チョウセンイタチ) Mustela sibirica, Siberian Weasel
- (ニホンイタチ Mustela itatsi (M. s. itatsi))
- セスジイタチ Mustela strigidorsa
- ハダシイタチ Mustela nudipes
- ヨーロッパミンク Mustela lutreola, European Mink
- ヨーロッパケナガイタチ Mustela putorius, European Polecat, Black sable
- (フェレット Mustela furo (M. p. furo))
- ステップケナガイタチ Mustela eversmanni
- クロアシイタチ(スジハライタチ) Mustela nigripes
- アマゾンイタチ Mustela africana(最新の分子系統ではミンク属(Neogale)に属す)
- コロンビアイタチ Mustela felipei(最新の分子系統ではミンク属(Neogale)に属す)
- ^ a b 大舘智志「ユーラシアの諸言語におけるクロテンおよび関連種の呼称リスト」『北海道立北方民族博物館研究紀要』第21巻、2012年、65-94頁。
- ^ "トマ(動物)". 世界大百科事典 第2版. コトバンクより2023年2月15日閲覧。
- ^ 和田干蔵「青森縣産哺乳類目録」『青森博物研究會會報』第5号、青森博物研究會、1937年4月、1-11頁、CRID 1050845761102627712、hdl:10129/2485、NAID 10013371159。
- ^ a b 村上健司編著 『妖怪事典』 毎日新聞社、2000年、36頁。ISBN 978-4-6203-1428-0。
- ^ 高田衛監修 稲田篤信・田中直日編 『鳥山石燕 画図百鬼夜行』 国書刊行会、1992年、50頁。ISBN 978-4-336-03386-4。
- ^ 少年社・中村友紀夫・武田えり子編 『妖怪の本 異界の闇に蠢く百鬼夜行の伝説』 学習研究社〈New sight mook〉、1999年、123頁。ISBN 978-4-05-602048-9。
- ^ 草野巧 『幻想動物事典』 新紀元社、1997年、30頁。ISBN 978-4-88317-283-2。
- ^ 『信州の民間薬』全212頁中79頁 医療タイムス社 昭和46年12月10日発行 信濃生薬研究会 林兼道 編集
- ^ オウィディウス『変身物語』9巻
- ^ 兵頭裕己編注『説教節 俊徳丸・小栗判官 他三篇』岩波文庫2023年(ISBN 978-4-00-302861-2)299-303頁。
- 1 イタチとは
- 2 イタチの概要
- 3 日本に棲息するイタチ属
- 4 利用
- 5 脚注
- イタチのページへのリンク