アンモニア
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アンモニウムイオン
アンモニウムイオン (英: ammonium) はアンモニアに水素イオンが付加(配位結合)することにより生成し、アンモニア水の電離によっても一部生成する1価の陽イオンであり、オニウムイオンの一種である。正四面体型構造をとる。
アンモニウム塩
アンモニウムイオンを含むイオン結晶をアンモニウム塩(アンモニウムえん、英: ammonium)と呼び、アンモニアと酸との中和反応によっても生成する。多くのものが水に可溶であるが、過塩素酸塩、ヘキサクロロ白金酸塩などは溶解度が低く、アンモニウム塩の溶解度はアンモニウムイオンとイオン半径の近い、カリウム塩およびルビジウム塩に類似する。加熱により分解し、過塩素酸アンモニウムなどは爆発する。
- 無機アンモニウム塩
- 塩化アンモニウム NH4Cl(塩安)
- 過塩素酸アンモニウム NH4ClO4
- 硫酸アンモニウム (NH4)2SO4(硫安)
- 硝酸アンモニウム NH4NO3(硝安)
- 炭酸アンモニウム (NH4)2CO3(炭安)
その他関連物質
- 有機アンモニウム塩
- 酢酸アンモニウム CH3COONH4
- クロラミン NH2Cl, NHCl2, NCl3(アンモニアの水素原子を塩素原子でいくつか置換したもの)
- アンモニアの酸化体としては硝酸やヒドラジンなどがある。
- 第四級アンモニウムカチオン R4N+
合成
現在ではアンモニアの工業生産はハーバー・ボッシュ法によるものが一般的である。実際のプラントでは水素と窒素を鉄触媒存在下 25 - 35 MPa、約500℃ で反応させると[13]、
X-15のエンジンがアンモニアを燃料として使用していた 前述のようにアンモニアは条件次第で燃焼し、燃やしても代表的な温暖化ガスである二酸化炭素が生成されない。このためアンモニアを火力発電用燃料として使う技術開発が行われている。微粉炭と混焼させたり[25]、ガスタービン発電で燃料や空気の供給量・速度を調整したり[26]する方法等が研究されている。2020年現在、日本の火力発電所の燃料として利用する実証試験が行われている[27]。この試験では、産油国であるサウジアラビアの化学プラントで天然ガスからアンモニアを製造する際に、排出される二酸化炭素を分離回収して、EOR(石油増進回収)やCCS(二酸化炭素回収貯留)に利用する。こうしたことから、使用するアンモニアを、カーボンニュートラルな燃料として、「ブルーアンモニア」と呼称している。
グリッド・パリティ達成、再エネの価格低下により地域によってはブルーアンモニアより安く再生可能エネルギーによるグリーンアンモニアを製造可能になっている。経済産業省では3円/kWhでアンモニアを製造できると試算しているが、発電時の損失、火力発電所の改修コストを考えると最終的な発電コストは23.5円/kWhとしている。[28]
水素貯蔵
水素をそのままの状態で保存するよりアンモニアのほうが沸点、蒸気圧を下げ簡単に液化できるため水素貯蔵の一つとして研究されている。
アンモニアから水素の生成は吸熱反応で、400℃近い加熱された触媒によって生成される[29]。
熱源はSOFCのような高温の燃料電池の廃熱を利用したり、アンモニアと空気の触媒燃焼によって賄うことができる。
脱硝
環境に有害な窒素酸化物の発生を抑制するために火力発電所のボイラーなどに設置される、選択触媒還元脱硝装置の還元剤として使用される[30]。ディーゼルエンジンを動力とするディーゼル自動車においても応用されている(尿素SCRシステム)が、アンモニアを直接搭載するのは危険であるため「AdBlue」と呼ばれる専用の尿素水を代わりに搭載し、これを排気中に噴射することにより高温下で加水分解させアンモニアガスを得る仕組みになっている。
その他の用途例
- 推進剤 - 燃料電池やXLR99のようなロケット燃料。
- 19世紀末にはアメリカ合衆国で Emile Lamm が1870年と1872年にアンモニアを動力源として使用する機関車に関する特許を取得して[31][32]ニューオーリンズで1872年に作動流体として圧縮空気や蒸気の代わりにアンモニアを使用する無火機関車が馬車鉄道の代わりに使用された[33]。費用は1日当たり$6.775で、動物による牽引では1日当たり$9.910だった。
- 銀鏡反応を利用した銀めっきの還元剤としても使用される。
- 強烈な刺激臭のため、気絶した人に気付け薬として嗅がせることがある。また 9.5–10.5% のアンモニア水溶液は日本薬局方一部医薬品(日本薬局方アンモニア水)で虫刺され用の外用薬の成分として用いられることもある[34]。ただし、アンモニア自体はギ酸などには中和が期待されるものの、ヒスタミンなどに対する分解作用は無い。
- ブルーアンモニアなど、船舶や自動車等のエンジン燃焼プロパティーで活用するとした実証実験が行われている。
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