アルジェリア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/15 05:43 UTC 版)
交通
交通インフラは、旧態依然の状態であったが、2000年代に入りモロッコ国境からチュニジア国境まで国土を横断する当時世界最大[19]の公共事業の1つとされたアルジェリア東西高速道路計画を中国企業と日本企業が受注し、日本企業としても過去最大級[20]の海外でのインフラ工事であることから国内外から注目を浴び、完成すれば国内の物流が画期的に向上することから経済対策の切り札として期待されていた。中国企業が担当した二つの区間は2010年10月と2012年4月にそれぞれ完成している[21]。しかし、2016年7月に代金の支払いをめぐって工事を打ち切った日本企業の担当した区間も中国企業に建設させると2017年11月にアルジェリア政府は発表した[22]。
また、アルジェリアを縦断する南北高速道路も中国企業によって建設され、2018年4月に一部開通した[23]。
国民
人口の約90%は、北部の地中海沿岸地域に住んでいる。また、人口の約半分が都市部に住んでいる。人口の30%が15歳以下である。義務教育は6歳から16歳までで、全て無料である。人口増加率はアフリカ諸国の中では比較的少ない。平均寿命は73.26歳であり、内訳は男性は71.68年、女性は74.92年となっている。独立後イスラーム法に基づいた家族法の下で、アルジェリアでは一夫多妻制が継続された。2005年の新家族法公布によって女性の地位は以前に比べれば向上したが、それでも一夫多妻制は一定の条件の下で合法のままとされた。
民族
国民の80%がアラブ人で、残りの20%がベルベル人であり、ベルベル人はカビリー地方のカビール人をはじめ、シャウィーア人、ムザブ人、トゥアレグ人など4つのグループに分かれる。わずかにフランス人(ピエ・ノワールの残留者)も存在する。南部の砂漠地帯には少数派の約150万人の遊牧民(ベドウィン)やスーダン系黒人が住む。難民キャンプには、西サハラからのサハラウィー人が46,000人が居住している。2009年、35,000人の華僑(海外中国人労働者)が居住している。
言語
主要言語はアラビア語とベルベル語であり、公用語もこの二つである。口語として話されるのはアラビア語アルジェリア方言(アーンミーヤ)であるが、公用語は文語である正則アラビア語(フスハー)としている。アルジェリア方言はオスマン帝国の軍人がもたらしたトルコ語の影響を受けており、スペイン支配を受けていた西部のオランなどではスペイン語の影響を受けている[24]。
1962年の独立以来植民地時代のフランス語教育への反動として急速なアラビア語化が進んだが、このことはアラブへの同化を拒否するベルベル語話者の反発を招き、1980年代にはベルベル問題を引き起こした。このため、2002年の憲法改正によってベルベル語(タマジグト)が国民語としての地位を認められ、2016年2月7日には公用語となった[25]。
フランス語は公式な公用語には指定されていないが、教育、政府、メディア、ビジネスなどで広く用いられるなど事実上の公用語となっており、大多数の国民はフランス語を話す。2008年の調査では、アルジェリア国民の3人に1人がフランス語を日常的に使用し、読み書きしているという状況であった(「fr:Langues en Algérie」も参照)。
婚姻
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宗教
国民が信仰する宗教は、99%がイスラム教で、そのほとんどがスンナ派である。イバード派もわずかに存在し、ムザブ人等のベルベル人がこれに属す。また、キリスト教徒やユダヤ教徒もわずかに存在する。キリスト教最大の教父ヒッポのアウグスティヌスはアルジェリアの生まれだった。
教育
6歳から15歳までの義務教育が敷かれている。義務教育は9年間の初等教育と前期中等教育を一貫した基礎教育学校(エコール・フォンダマンタル)で行われ、義務教育期間はアラビア語で教授されるが、大学教育ではフランス語で教授されることも多くなる。2002年の推計によれば、15歳以上の国民の識字率は69.9%(男性:79.6%、女性:60.1%)である[26]。アルジェリアの独立時の識字率は約10%だった[27]。
現在アルジェリアには43の大学、10の単科大学、7の高等専門学校が存在する。主な高等教育機関としては、アルジェ大学(1879年、1909年)、国立アルジェ工科大学(1923年)などが挙げられる。
保健
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医療
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治安
アルジェリアの治安は不安定となっている。2019年4月から2度にわたり延期されていた大統領選挙が同年12月12日に実施された結果、テブンが当選し同月19日に大統領へ就任したが、その際の組閣後も金曜日の民衆デモ及び火曜日の学生デモは継続される見込みとなっていて緊張状態が続いている。それに伴い、デモ等の抗議行動が予定されている地域は非常に危険な状況にあり、安全面の確保からもその地域に近付かないよう努めなければならない。
傍らで一般犯罪は引き続き多発しており、侵入盗(強盗、窃盗)や自動車盗、車上狙いや引ったくりの他、誘拐や薬物犯罪等が増加していることから注意する必要が求められている。さらに最近の原油の国際価格低迷による経済悪化が同国の治安に及ぼす影響も懸念されている。
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人権
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- ^ a b “UNdata”. 国連. 2021年11月7日閲覧。
- ^ a b c d e IMF Data and Statistics 2021年10月16日閲覧([1])
- ^ “アルジェリアが非常事態宣言を解除、反体制派に譲歩”. ロイター (ロイター). (2011年2月25日) 2011年2月25日閲覧。
- ^ a b c “アルジェリア、モロッコと国交断絶 「敵対行為」めぐり” (日本語). AFP. 2021年8月25日閲覧。
- ^ a b アルジェ 対モロッコ強硬「西サハラで主権」反発『読売新聞』朝刊2021年11月22日(国際面)
- ^ “アルジェリア大統領、5選出馬撤回=抗議デモで転換、投票も延期”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2019年3月12日) 2019年3月12日閲覧。
- ^ “Le président algérien Abdelaziz Bouteflika démissionnera avant le 28 avril”. France 24. (2019年4月2日) 2019年4月3日閲覧。
- ^ “アルジェリアで大統領が辞任 20年の長期政権に批判高まり”. BBC News. BBC. (2019年4月3日) 2019年4月4日閲覧。
- ^ ピエリック・グルニエ (2019年12月18日). “大統領選で無党派のテブン元首相が勝利、反体制運動は激化も(アルジェリア)”. 独立行政法人日本貿易振興機構. 2022年10月23日閲覧。
- ^ “西サハラが“日本デビュー”、政府は国家として未承認も、AU側招待を黙認”. 毎日新聞. (2019年8月30日) 2019年8月30日閲覧。
- ^ a b アルジェリア基礎データ 日本国外務省
- ^ 私市正年編『アルジェリアを知るための62章』pp.254-256
- ^ 私市正年編『アルジェリアを知るための62章』p.257
- ^ “Algeria - Military Spending”. GlobalSecurity.org (2016年1月14日). 2018年7月20日閲覧。
- ^ “アルジェリア軍機が墜落 死者77人、生存者1人”. CNN. (2014年2月12日) 2014年2月12日閲覧。
- ^ IMFによるGDP
- ^ 内閣府による県民経済計算 (PDF)
- ^ « Algérie : les chinois révèlent le coût de la grande mosquée d'Alger » , sur Observ'Algérie, 29 avril 2019
- ^ “East-West Highway - Road Traffic Technology”. 2010年10月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年11月9日閲覧。
- ^ “鹿島建設・大成建設・西松建設・間組・伊藤忠商事の共同企業体がアルジェリアで高速道路建設工事を受注”. 鹿島建設 2018年7月25日閲覧。
- ^ “Algerian East-West Expressway Project”. 中信建設 2018年7月25日閲覧。
- ^ “Algeria deals with Chinese firm to complete last artery motorway section”. 新華社 2018年7月25日閲覧。
- ^ “中国企業建設のアルジェリア高速道路が一部開通”. 人民網 2018年7月25日閲覧。
- ^ 私市正年編『アルジェリアを知るための62章』p.35
- ^ “Algeria recognises Berber language” (英語). (2016年2月7日) 2019年6月15日閲覧。
- ^ https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/ag.html 2009年4月2日閲覧
- ^ 私市正年編『アルジェリアを知るための62章』p.355
- ^ 私市正年編『アルジェリアを知るための62章』p.72
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