アマミノクロウサギ
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アマミノクロウサギ | |||||||||||||||||||||||||||
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アマミノクロウサギ Pentalagus furnessi
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保全状況評価[1] | |||||||||||||||||||||||||||
ENDANGERED (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | |||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Pentalagus furnessi (Stone, 1900)[2][3] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Caprolagus furnessi Stone, 1900[2] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
アマミノクロウサギ[4][5] | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Amami rabbit[1][2][3] | |||||||||||||||||||||||||||
分布
南西諸島の奄美大島と徳之島に棲息する[3]。模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は琉球諸島とされているが、奄美大島と考えられている[2]。
環境省による2021年時点推定での個体数は合計1万1549~3万9162匹、内訳は奄美大島が1万24~3万4427匹(2003年調査では2000~4800匹)、徳之島が1525~4735匹(同100~200匹)で、天敵の捕獲・駆除により個体数は回復傾向にある[7](「人間との関係」で後述)。
形態
頭胴長(体長)41.8 - 51センチメートル[3][4]。尾長1.1 - 3.5センチメートル[3]。体重1.3 - 2.7キログラム[3]。全身は光沢のある長い体毛と、柔らかく短い体毛で密に被われる[4]。背面は黒や暗褐色、腹面は灰褐色[4][5]。
眼は小型[3][4][5]。耳介も小型で[3][5]、耳長4.1 - 4.5センチメートル[3][4]。四肢は短く[3][5]、特に後肢は短い[4]。後足長8.5 - 9.2センチメートル[3]。指趾には爪が発達し[5]、穴を掘るのに適している[3][4]。
属名Pentalagusは「5つの歯のあるウサギ」の意で、模式標本となった個体の上顎臼歯が左右5本ずつしかなかった(ウサギ科は通常左右6本ずつ)ことに由来する[4]。本種も通常は上顎臼歯が左右6本ずつある[4]。椎骨の突起は水平方向に長い[5]。
出産直後の幼獣はほとんど体毛が無く、眼も閉じている[4]。
分類
種小名furnessiは、1896年に本種の模式標本となった個体を採集したW. H. Furnessへの献名[4]。
形態およびDNAによる分子系統学的解析、生態からウサギ科内でも原始的形態を残した種と考えられている[4][5]。奄美群島に本種のような原始的形態を残した遺存種が分布する理由として、中新世にアジア大陸に生息していたアマミノクロウサギ(の祖先)が、地殻の変動により島嶼に隔離され、その後ノウサギ属が侵入しなかったためと考えられている[8][4]。
- ^ a b Yamada, F. and Smith, A.T. 2016. Pentalagus furnessi. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T16559A45180151. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T16559A45180151.en. Downloaded on 24 June 2020.
- ^ a b c d e f g h i j k l m Fumio Yamada and Fernando A. Cervantes, "Pentalagus furnessi," Mammalian Species, No. 782, American Society of Mammalogists, 2005, Pages 1-5.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y 山田文雄「アマミノクロウサギ」『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 1 哺乳類』(環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2014年)56-57頁
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa 川道武男「アマミノクロウサギ 生きた化石の謎めいた生活」『動物大百科 5 小型草食獣』(今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年)142-143頁
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 山田文雄「アマミノクロウサギ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』(小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年)71頁、165頁
- ^ “アマミノクロウサギ、最多174匹死ぬ 夜間、減速運転を”. 産経ニュース (2022年1月26日). 2022年1月26日閲覧。
- ^ 「アマミノクロウサギ 7倍に:推定生息数 天敵駆除が効果」『毎日新聞』夕刊2022年12月20日(社会面)2022年12月25日閲覧
- ^ 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島世界自然遺産推薦書(仮訳版) p.90 https://www.env.go.jp/press/106449.html
- ^ 奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画
- ^ a b 浜田太『時を超えて生きるアマミノクロウサギ』小学館、1999年1月。ISBN 409394119X。[要ページ番号]
- ^ 名越左源太、国分直一、恵良宏『南島雑話2』(平凡社東洋文庫、1984年)42頁
- ^ 鈴木 真理子・大海 昌平2020 奄美群島固有種アマミノクロウサギによる農作物被害の調査報告.南太平洋海域調査研究報告 No.61:44-45
- ^ 「アマミノクロウサギ 交通事故死最多に 今年、9月末で89匹」『日本経済新聞』夕刊2022年11月4日(社会面)同日閲覧
- ^ 国内希少野生動植物種一覧 環境省(2022年11月4日閲覧)
- ^ a b 永戸豊野「原告はアマミノクロウサギ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』(小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年)72頁
- ^ 「クロウサギ守れ 奄美に研究施設:25年度開館 飼育や治療も」『日本経済新聞』夕刊2022年12月14日(社会面)2022年12月20日閲覧
- 1 アマミノクロウサギとは
- 2 アマミノクロウサギの概要
- 3 生態
- 4 人間との関係
- 5 出典
固有名詞の分類
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