アニメ (日本のアニメーション作品) 表現の自主規制

アニメ (日本のアニメーション作品)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/01/08 03:49 UTC 版)

表現の自主規制

アニメ映画では「映画倫理委員会」、テレビアニメでは、放送事業者が自主的に放送基準・番組基準(放送コード)を定めて運用することが電波法放送法で規定され、民放連加盟会員各社による任意団体「放送倫理・番組向上機構」(BPO)による自主規制がある[37]

OVAやWebアニメには、自主規制に関する法的規定や任意団体などは存在しないが、放送権販売の為にテレビアニメ・映画と同等程度の自主規制が行われている。アダルトビデオに類するアダルトアニメ作品は「日本ビデオ倫理協会」の審査を受けている。

テレビアニメのパッケージ化販売には自主規制が無い為、お色気や流血など刺激の強い表現をテレビ放送で規制したものを本来の状態に戻したり、より過激な映像の追加や差し替えなどが行われているものもある。

歴史

1960・1970年代
1963年1月1日、手塚治虫による日本初の商業用連続テレビアニメ(週一アニメ)番組『鉄腕アトム』の放送開始。放送を見た当時のアニメーション映画の制作者などからは「TV紙芝居」などと罵られたとも云われる程、質の低いアニメーション作品でもあったが、視聴率は30%を超える人気を博し世界中で放映され、他の国のアニメーションと異なる方向に発展を遂げることになる。
1960・1970年代の国産アニメの少なかった頃には『トムとジェリー』、『ポパイ』などの海外製アニメーション作品も多数放送されていたが、国産アニメも増加し、1965年に日本初のカラー制作による長期放映を前提とした連続テレビアニメ番組として『ジャングル大帝』が始まり、1969年には『サザエさん』の放送が開始、テレビまんがとして認知されるようになった。
1970年代から1980年代
宇宙戦艦ヤマト』・『銀河鉄道999』の松本零士、『機動戦士ガンダム』の富野由悠季、『風の谷のナウシカ』の宮崎駿、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の押井守、『トップをねらえ!』の庵野秀明など、後に日本アニメ界を牽引する著名なアニメ監督が多数登場した。
この頃からテレビ局への納品や交通の便がいい練馬区杉並区などの西武新宿線沿線に制作会社が集結するようになり、日本一のアニメ企業集積地となっている。
1980年代から1990年代にかけてフランスの子供番組で日本のテレビアニメが連続して放映され人気を博し、多くのアニメファンを育てた(この世代は、番組のパーソナリティーの名前を冠して「ドロテ世代」と呼ばれている)[38][39]。この人気を受けて、フランス以外でも日本のテレビアニメの放送が増えていき、日本アニメの国際的受容のきっかけとなった。
1990年代
ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』『美少女戦士セーラームーン』『新世紀エヴァンゲリオン』などが社会現象的ヒットを達成した。『新世紀エヴァンゲリオン』は1997年に再放送が深夜帯に行われ、異例の視聴率5%台などの事例もあった。
1990年代末期から2000年代
少子化による朝夕やゴールデンタイムのアニメ放送枠の視聴率低下、ポケモンショック少年犯罪などを理由とする自主規制により、アニメ枠はニュースや情報番組、バラエティ番組などに改変されていった。アニメは削減された放送枠を補うように、以前から青年層向けに単発で放送されていた深夜枠へ移行、国民的アニメなどと呼ばれる長寿作品と子供向けアニメ以外は、朝夕やゴールデンタイムで放送しても視聴率が取れないことから、ほぼ放送枠を失って深夜枠の放送時間が上回るようになった。
時間帯から従来のターゲットである少年、少女といった児童向けから、中高生や成人アニメファン向けにターゲットを絞った低予算の深夜アニメが激増し、2000年には7本だったものが、2004年には60本制作されるなど粗製濫造も進んだ。もともと視聴者が少なく、低視聴率でスポンサーが付きにくい時間帯という事情もあるが、低予算の作品を乱発したことにより品質の低下(作画崩壊)なども起きた。深夜帯ゆえの注目度の低さを補う為に人気のある声優に頼った作品が増え始め、後にアイドル声優などとと呼ばれる流れとなった。
2005年頃から、民放5大キー局は様々な事情を抱える深夜アニメ放送枠を削減し、放送枠を失った深夜アニメは、テレビ神奈川TOKYO MX(東京)サンテレビ兵庫)など首都圏や関西圏といった人口密集地域を放送地域とするローカル局に追いこまれた。
三大都市圏では深夜アニメが地上波で年間100本を超えるような地域がある一方で、1本も放送されない地方も存在する。また主要メディアでの扱いは黙殺に近かった。しかし、その頃からインターネットの大衆化により、テレビなどマスメディアでは取り上げられない深夜アニメに関する情報が入手しやすくなり、じわじわとではあるが視聴者が増えていくようになった。また、情報番組でも2005年放送のドラマ『電車男』ブームで『萌え』という言葉が新語・流行語大賞のトップテンを受賞したことに便乗して、秋葉原メイド喫茶などアニメやそれに関連する情報が批判的な物も含め出回るようになり、いわゆるオタクに興味を持つ者や、逆に偏見を持つ者が増え混沌とした状態になった。
2006年には『涼宮ハルヒの憂鬱』『コードギアス 反逆のルルーシュ』等のヒットから深夜アニメブームが発生。京都アニメーションシャフトピーエーワークスなど演出が特徴的なアニメーション制作会社が話題となり、認知度は大きく向上した。一方、その普及の立役者のひとつが動画サイトによる海賊版であったという難しい側面もあった。
劇場アニメでは、宮崎駿監督、スタジオジブリ制作『もののけ姫』では邦画アニメーション初となる興行収入100億円を突破し、最終的には193億円を記録した。『千と千尋の神隠し』は国内興行収入が300億円を超え世界で評価され、第75回アカデミー賞長編アニメーション映画賞第52回ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞した。ただしスタジオジブリではこの頃からメインキャラに声優ではなく俳優を使う作品が増加していき、他の劇場アニメにも波及した。2002年公開『ほしのこえ』は、新海誠が監督・脚本・演出・作画・美術・編集をほとんど一人で行ったことでも注目を集めた。フルデジタルアニメーション個人制作では 他に類を見ないほどの出来として、大きく評価され世界中で様々な賞を受賞した。
2010年代
秋葉原(2013年)
一部の深夜アニメの話題作がスマートフォンの普及によりインターネットでのアニメ配信やTwitterなどSNS上の口コミを通じてアニメに関心の無い若者や、アニメ好きの芸能人の熱烈な支持を集め、CDや書籍などのランキングに上位にランクインするようになった。また、アニメファン特有の購買力に目を付けたローソンなど様々な企業で深夜アニメとのタイアップキャンペーンが増加し、以前と比べると深夜アニメは身近な存在となりつつある。アニメの舞台となった場所を巡る聖地巡礼が注目され、地方創生の切り札としても期待されている側面がある。
子供向けアニメでは社会現象となった『妖怪ウォッチ』なども登場している。また近年ではインターネット動画サイトで世界中でいつでもアニメを楽しめるようになり、電器店やアニメ、漫画などサブカルチャーが集結する秋葉原はオタクの聖地から世界的な観光地となりつつあり、外国人向けツアーのルート組み込まれるようにもなっている。
劇場アニメでは宮崎駿が2013年公開の『風立ちぬ』をもって長編作品からの引退を発表した。引退報道以降は庵野秀明や細田守、新海誠などが宮崎駿の後継者候補として取り上げられている。中でも新海誠の『君の名は。』では邦画アニメーション映画では宮崎駿に次いで興行収入100億円を突破し、200億円に迫る勢いとなっている。
世界的に日本のアニメーション需要が高まる一方で、アニメーターの労働環境や賃金など慢性的に抱える問題は解消されることもなく、少子高齢化による国内市場の縮小という問題にも直面している。特にアニメ制作会社であるA-1 Picturesでは、作画を担当者に依頼したり、完成品を受け取ったりする「制作進行」と呼ばれる現場の調整役を務めていた男性が2010年10月に自殺し、2014年4月11日付けで新宿労働基準監督署が過労によるうつ病が原因として労災認定した。通院した医療施設のカルテには「月600時間労働」との記載があったが、残業代が支払われた形跡は無いとされている。この事件がきっかけとなり、その劣悪な労働環境がマスコミに取り上げられ、『ブラック企業大賞2014 業界賞』を受賞することになった。
独立テレビ局で放送され話題となった深夜アニメをNHKが購入して放送する事例も出ている。
2020年代
鬼滅の刃』などのヒット作が登場している。
DVDが登場した2000年代は制作費をDVDで回収するビジネスモデルであったが、世界的にインターネット配信やそれを主軸としたサブスクリプションサービスが増加し、それらの配信サイトによる配信権や配信料が主な収入源となった[40]

物語的側面

アメリカではレイティングなどの規制が厳しいこともあり、子供向けの解りやすい物語を元にしたコミカル(喜劇的)な動画を楽しませる作品が多いが、日本では『鉄腕アトム』頃から子供向けではあるが、アンダーグラウンド (文化)の影響を受けていた漫画などと密接な影響を受けていたこともあり、単純に「ヒーローが必ず勝つ」という勧善懲悪の話では無く、社会風刺など含んだ多様で複雑な物語で、主人公に内在する様々な感情や心理を描く作品が多い[41]

技術的側面

リミテッド・アニメーションが主流で、ウォルト・ディズニー・カンパニーなどのアニメ作品に見られるフル・アニメーションはあまり使われない。映画などと同様に24コマ/秒で撮影されるが、動画は、同一画で3コマ×8/秒の撮影となる。静止場面では、同一画で24コマ/秒の撮影となる。テレビ放送用の作品は演出により、1話ごとにセル画の使用量が決められている。

部分アニメ(口パク
同一人物の口、目、手、足などを部分別のセル画にして撮影する手法。最近では口だけではなく、あごなども動かすようになっている。製作の手間を省くだけでなく、静止との対比で動きが鮮明になる。
バンクシステム
動画を繰り返して使用する技法。連続作品あらすじの説明、ロボットアニメの合体、魔法少女等の変身、主人公などのセリフシーンで使用される。背景画を差し替え、全く別の場面として使用することもある。
止め絵
競技場の観客席やパーティ会場や街中の雑踏など、人が多く賑やかな状態を演出するために使われる。静止画が使われる場合も多い。出崎統がよく使用する。新房昭之シャフトの場合止め絵の絵柄を独特にする作風で有名である。
動線・集中線漫符
漫画の技法が多用される。
カメラワーク
セル画を、上下左右に背景の上でスクロール(パン)させる技法や、「引き絵」と呼ばれる、カメラのズームによる演出(実際は、固定カメラの下で絵の方を引っ張る)。作画枚数の節約になり、演出意図を明確にする技術である。
パカパカ
背景を閃光の連続により激しく点滅させる手法で、費用をかけずに派手で見栄えのする演出効果として多用されていたが、1997年12月16日に放送された『ポケットモンスター』第38話を見た視聴者が体調不良を訴えたポケモンショックを契機に、NHKと民放各社がアニメーション等の映像手法に関するガイドラインを策定し、パカパカの使用に関しての自主規制が行われている。

商業的側面

ウォルト・ディズニー・カンパニーの販売戦略を真似たとも言われるが、それとは別の道を歩むことになった。

テレビ番組の場合、スポンサーから提示される予算の範囲で請け負うのが通常であるが、明らかに不足する制作費で請け負い、不足部分は本業の漫画の原稿料、海外への輸出と再放送、玩具・文具・菓子メーカーにアニメキャラクターの商品化権(版権)販売による制作資金の回収システムが誕生し、後々まで続くことになる。

輸出

日本での商業用アニメーションのテレビ放送と同時に、制作費を短期間で回収するため、安価で多くの国へ輸出する販売戦略がとられた。国内で流通を前提に制作されていたものを輸出するため、輸出先の国内法や文化的事情で内容に大きな改変が行われる場合が多い[注 5]。また、作品名・登場人物名やスタッフ名などは輸出先の各国に合わせて書き換えられたり、視聴者が日本製であることを知らない場合もある。

また著作権ごと(放棄した)の契約で販売された作品もある。アメリカで、『超時空要塞マクロス』・『超時空騎団サザンクロス』・『機甲創世記モスピーダ』の3作品をハーモニーゴールド USA 社(Harmony Gold USA)が翻案した『ロボテック』が制作され、さらに他国に輸出された事例も存在する[42]

世界的な多チャンネル化でソフト不足の中、日本アニメは安さで世界各地に広がった[43]。現在では、北米、南米ヨーロッパ南アジア東アジアロシアオーストラリアなど全世界に及び、総務省の調査(2005年度)によるテレビアニメの輸出額は、国内のテレビ放送権料の412億円の15分の1程度、26億円から28億円の規模である[44]。輸出金額では過半数を北米向けが占めるとも言われる。

日本貿易振興機構は、地域、国別にコンテンツ調査しており、その中にアニメに関する統計や傾向などのレポートがある[45]。しかし、近年は海外におけるアニメ市場が拡大する陰で、日本製アニメのシェアは縮小傾向にある。また放映終了後に各国の言語字幕を入れて違法に配信する「海賊版アニメサイト」が増加している。

輸出の歴史

  • 1961年 - 東映動画(現:東映アニメーション)の初期長編作品がアメリカへ輸出される。大川博が「東洋のディズニー」を目指し設立した東映動画は当初から国際市場を意識していた[46]
  • 1963年 - テレビアニメとして、初輸出された『鉄腕アトム』は、放送開始から8か月後に、アメリカのNBC系列のNBCエンタープライゼスによって、全米ネットワークでなく番組販売される形で放送された[47]。続く『ジャングル大帝』は初めからアメリカ市場を意識して人種差別等を考慮して制作された[48]
  • 1970年代前半 - テレビアニメの輸出が一般的になり、最初は香港台湾向けに始まり[49]北東アジア圏、東南アジア圏で放送されるようになる。
  • 1970年代後半 - 最初はイタリア、次いでフランスに向けに始まり、1980年代にかけてヨーロッパに大量に輸出される。その背景には、ヨーロッパにおける、テレビの多チャンネル化による需要と、日本製の作品が廉価で、本数の多さがあった[50][51]。東映動画が制作したテレビアニメのうち全体の3分の2はヨーロッパ向けで、特にフランスとイタリア向けが多かった[52]。アメリカ、アジア圏同様、内容が改変されることもあった。イタリアでは、最盛期には1日計7時間、日本のアニメを放送していた[53]
  • 1980年代 - 中華人民共和国で放送される[54]
  • 2013年 - 情報通信政策研究所の発表によると、2013年の日本の放送コンテンツ海外輸出額は約138億円であり、このうち、アニメが62.2%を占める[55]
  • 現在、香港タイ台湾などでは、ほぼ1週間程度の差で日本で放送のアニメ作品が放送されている。またネットでは海外向けのアニメの配信が行われ、日本での放送の1時間後には全世界で日本のアニメが見られるようになった。
  • 近年では海外を中心に「海賊版」と呼ばれる違法アニメ配信サイトが存在しており、海外への輸出展開を難しくしている。経済産業省の試算によると海賊版による損失は中国だけで年間5600億円、米国では2兆円を超えるとされ、2014年より海賊版を配信しているサイトへ削除要請をしていく取り組みがされている。
  • 2020年代にはインターネットにより同時配信されるスタイルが普及した[40]

日本国外の評価

文化の違いとして、『ドラえもん』など日本の生活風景が出るものや、『ベルサイユのばら』など特定の国を扱ったものは、受け入れられるかどうかは国によって大きく異なる。『ドラえもん』は、ヒーロー的な男性を尊ぶ北米では受け入れられず2014年まで放送されなかったが、東南アジア圏では人気がある。

東南アジア圏では性的な表現を除き、日本文化的な表現も受容されつつあり、再評価されている。好まれる作品は日本とあまり変わらない。また『超電磁マシーン ボルテスV』のように、特定の国で一部の人物の間(ファン)の中でヒットする作品も存在する。またキャラクターの人気も国によって異なる。

日本国外の規制等の事例

フランスでは、1983年にジャック・ラング文化相が文化侵略だと公言し、自国のアニメーション製作者へ助成金を出すことになった[56]。1989年には『キン肉マン』、『北斗の拳』が残酷だとバッシングされ放送中止となった。『聖闘士星矢』は暴力シーンをカットし世界中で放映されヒットし、アメリカを除き、ヨーロッパやメキシコ、南米で根強い人気がある[57]。また、欧州製の番組を6割以上放送することを放送局に義務付けたクォータ制度があり、残りの4割の中でアメリカと日本のアニメが放送されている[58]

EU加盟国では、1997年にEU理事会が、ヨーロッパ製の番組が放送時間の50%以上になるように放送局に義務付けた「国境なきテレビ指令」を出してから外国製アニメの新規放送が難しくなっている。

ニュージーランドでは『ぷにぷに☆ぽえみぃ』は、登場するキャラクターの容姿が幼児に見え、幼児性愛好者を増長させているとされ、政府機関により発売禁止処分を受け、所持が確認された場合、児童ポルノ禁止法違反により罪に問われる。北米やオーストラリアなど多くの国でそれに準じた処分が行われている。

アメリカでは、日本のアニメは古くから名前を変えたりストーリーを編集したり改変されてアメリカ化され、非アメリカ的な発言は取り除かれるのと同時に元の日本の製作チームに関する言及は最低限しか残されなかった[59]。1970年代にアメリカで起きた子供向けテレビ浄化運動で、増加していた日本のアニメの暴力描写と性的内容は問題視され、アメリカのテレビネットワークはアニメ放送を平日のゴールデンタイムから土曜朝に移行するが、各種保護者団体はネットワークに圧力をかけてアニメの一層の浄化を求め、日本のアニメは流せなくなった。1982年には、東映が『銀河鉄道999』をアメリカのニューワールド・ピクチャーズに売ったが、アメリカに合わせて大幅に改変され、ストーリーも破壊されたため東映はアメリカ事務所をたたんで撤退している。改変は舞台を日本ではなくアメリカの架空の場所に変えたり、人物も日本人名からアメリカ風に変えてアメリカの文化・生活が反映されたり、日本円もドル紙幣に変えられるなど、ローカライズが行われている。アメリカでは、子供向け番組のアニメでも「健康的な食生活を推進すること」が放送基準の一つであり、食に関する表現も規制され日本版からアメリカ風に編集されたり加工・変更されていた。未だにアメリカ式に改変されることもあるが、視聴者の立場としては改変を好まない層が近年増えたため、喫煙や飲酒など放送コードに抵触する部分などの改変にとどめられてもいる。

ロシアでは、サンクトペテルブルク裁判所が2021年1月に、複数の日本製のアニメを「暴力や死など過激なシーンの描写が視聴する未成年者らの成長に悪影響を与える」として、ロシア国内での放映や配布を禁止する決定を出している。インターファクス通信によると、ロシア検察当局が複数の日本製アニメの配布を禁止すべきだとする請求を裁判所に行っていた。この規制について検察当局は「過激な内容を含むアニメが未成年者に自殺などの害を及ぼすということが認められた」というコメントを出した[60]

中華人民共和国では、2006年に海外アニメの輸入・放送に関して、国産アニメの放送がアニメの放送全体の7割を下回ってはならない、国産アニメを制作した機関は国産アニメを制作した時間と同じ分まで海外アニメを輸入できる、17時から20時まで外国アニメーションの放送を禁止などいくつかの規定を定めた[61]。日本作品の放送シェアが8割を超えるのは、ダンピングによる日本の文化侵略であるとして締め出しを行った。同時に、自国のアニメーション産業の保護と育成に乗り出した[62]。内容についても検閲の対象であり、スタッフの発言により映画祭への出展が止められた事例もある[40]

大韓民国(韓国)では、かつて韓国での日本大衆文化の流入制限があったが、1998年に解禁された。解禁以前から日本のアニメは放送されていたが、制限をかいくぐるため前述(輸出の節参照)のように地理の実在架空を問わず舞台・人物などの韓国仕様への改変版が放送されていた。解禁後は、以前から放送されていたものはそのままだが、日本の実在地理や登場人物の日本人など日本のオリジナルのまま放送されている。聖地巡礼を意識していない架空の舞台・人物などは未だにローカライズされているものもある[注 6]

インドでは、日本でも問題視された子供への悪影響を中心とした社会現象が起きており、『クレヨンしんちゃん』を放送禁止処分にする動きもある[63]


注釈

  1. ^ ボンバーマンジェッターズシナリオ打ち合わせ アニメ ボンバーマンジェッターズ 制作現場レポートテレコム・アニメーションフィルムアニメ業界の基礎知識〜アニメーションの制作の流れ〜アニメーション産業に関する実態調査報告書(PDF)-2009年1月,公正取引委員会を元に記述している。
  2. ^ a b リアリティの向上や演出効果を高めるため、特殊効果を画面上の要素として付加する作業[9]。デジタルアニメにおいては、ソフトウェアを使用したエフェクトや線画に対するアンチエイリアス・加工処理がかけられ、3DCG主体の作品では、逆に直接描く2Dエフェクトを加えることもある。
  3. ^ 作業内容からすれば合成もしくはコンポジットと呼んだ方が近く、そうした表記になっている作品もある。
  4. ^ アメリカディズニー製作作品も日本では「ディズニーアニメ」と呼ばれ、講談社ディズニーアニメブック、偕成社ディズニーアニメ小説版など、ディズニー公認の絵本やノベライズ版にも「アニメ」が使用されている。
  5. ^ アメリカ版の『カードキャプターさくら』(現地タイトルは『CardCaptors』)は主人公の姓がAVALONになっている、フランス版の『めぞん一刻』(現地タイトルは『Juliette, je t'aime』)は舞台がミモザ・ペンションでヒロインの名前がジュリエットになっている、韓国版の『クレヨンしんちゃん』(現地タイトルは『짱구는 못말려』)は舞台がソウル特別市となっている、など色々。
  6. ^ 解禁以降は架空の地理あるいは日本の実在地理が舞台ではあるが架空の施設が主な舞台のものは、原作の名称のままだったり、地理や人名のみローカライズされたりしている

出典

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  2. ^ 高橋・津堅 2011, pp. 9–10.
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  4. ^ 『日経産業新聞』2001年12月5日1頁「セガ・東大、動くCG自在、「アニメ・日本」に省力化の武器――制作費削減に道。」(日本経済新聞社)
  5. ^ 米軍管理下での製作(せいさく)とフィルムの接収「線画発注書」の説明参照。広島平和記念資料館バーチャル・ミュージアム内を参照
  6. ^ 『フクちゃんの潜水艦』日本映画データベース
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  23. ^ 例としてドビュッシーのピアノ曲「映像」第3曲「ムーヴマンmouvement(動き)」冒頭のテンポ指示が「トレザニメ très animé(とても動いて)」など。
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  68. ^ 押井守「消息期には終息期のテーマがあるはずです 『アニメージュ』創刊200号に寄せて」『アニメージュ』1995年2月号
  69. ^ 小牧雅伸『アニメックの頃… 編集長ま奮闘記』NTT出版、2009年、p.83
  70. ^ 岡田斗司夫、山本弘、小巻雅伸「オタクの歴史徹底大研究」『空前絶後のオタク座談会1 ヨイコ』音楽専科社、2001年、p.57
  71. ^ 藤津遼太『「アニメ評論家」宣言』扶桑社、2003年、pp.277-278
  72. ^ 津堅(2007)、p.179
  73. ^ 日本アニメーション学会 公式サイト
  74. ^ 苺ましまろ:月刊コミック電撃大王2006年3月号





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