アスファルト混合物 製造

アスファルト混合物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/05 01:31 UTC 版)

製造

アスファルト合材工場

アスファルト混合物は、温度管理が行き届いた製造プラント(アスファルト合材工場)で製造されており[11]、製造プラントを大きく分けると、アスファルト混合物用の製造プラントと、再生アスファルト混合物の製造プラントがある[55]。アスファルト混合物用のプラントは、混合物の原料を貯める貯蔵サイロ、骨材を加熱処理するための骨材ドライヤーおよび、ふるい分けをする骨材ホッパー施設、配合のための計量施設(ミキシングタワー)、骨材・石粉(フィラー)・アスファルトの各材料を混合するミキサー、および製造されたアスファルト混合物を一時ストックする加熱貯蔵サイロからなっている[56][57]。アスファルト混合物の製造プラントは、骨材の乾燥や加熱に大量の熱を必要とする点で、生コンクリート工場とは異なっている[58]

再生アスファルト混合物は、一般の製造プラント設備に、アスファルトコンクリート再生骨材を製造する施設が加えられたプラント施設で製造される[55]。アスファルト舗装の工事現場で発生した既存の古いアスファルト混合物を回収して、骨材とするためプラント施設(再生骨材製造設備)で破砕して粒径13 - 0ミリメートルの再生骨材を製造し[57]、これに石粉、新規骨材を加え、再生骨材に含まれる古いアスファルトを再利用できるように軟化させる働きを持つ再生添加剤を混合させる[56]。再生骨材の配合率を変えて、アスファルトコンクリート再生骨材を主体として、新アスファルト、再生用添加剤、補足材などを加える場合と、新しい骨材や新アスファルトを材料の主体としてアスファルトコンクリート再生骨材を補足的に使用する場合、およびこれらの中間的な場合とがある[12]

製造プラントは、工程ごとに作業を進めるバッチ方式と、各工程を連続して行う連続方式があり[55]、日本では1つのアスファルトプラントで数十種類のアスファルト混合物を製造するため、バッチ方式のプラントが多く採用されている[58][59]。バッチ式プラントでは、アスファルト混合物を1回練る(1バッチ)ごとに材料を計量して混合する製造方法がとられている[59]。製造プラントはアスファルト混合物の安定供給が重要であり、製造には規格に適合しているか、品質が一様であるかについて注意を払い、適切な温度管理と品質管理のもとで製造されている[55]。一般に、混合時の温度は185を超えない範囲で、アスファルトの動粘度150 - 300センチストークス (cSt) の時の温度から選ぶ[11]。プラント内での製造過程は、骨材は貯蔵サイロからドライヤーに投入されて乾燥・加熱されたあと、ミキシングタワーで計量された後に1バッチ分ずつミキサーに投入されて、これにフィラーとアスファルトが供給されて、ミキサー内にて約170度の温度で1分程度混ぜ合わされる[60]。混合されて出来上がったアスファルト混合物は、ダンプトラックに積み込まれて出荷されるか、貯蔵サイロに移動する[60]。製造されたアスファルト混合物を、舗装工事現場までダンプトラックで出荷する際は、輸送中に冷え固まってしまうことを防止するために、シートなどで保護しながら運搬される[55]


注釈

  1. ^ アスファルト混合物中に含まれるアスファルトの質量比率のことをアスファルト量(英語: asphalt quantity )と呼び、混合物の全質量に対してアスファルトが占める質量を百分率 (%) で表される[5]
  2. ^ 岩石や玉石を破砕したもの[9]
  3. ^ 砕石、玉砕を製造するときに発生する破砕材をふるいにかけて、粒径2.36ミリメートル以下に選別した砂粒などの部分のこと[9]。品質管理上、シルト粘土を含まないことが重要となる[9][11]
  4. ^ ストレートアスファルトに、溶剤として揮発性の石油を常温で混ぜ合わせて液状にしたアスファルトのこと[18]。性質として使用前に溶剤が分離せず凝固を生じない[18]。溶剤が揮発することにより硬化が始まり、強度が増す特徴を持つ[19]。常温混合物のバインダーとして利用される[19]
  5. ^ 道路交通で劣化したアスファルト舗装面に局所的に開いた、径10 - 100センチメートルほどある穴のこと[20][21][22]
  6. ^ 各種アスファルト混合物の粒度範囲(合成粒度)は、混合物に占める19ミリメートル以下の範囲の骨材粒度のうち、0.075、0.15、0.3、0.6、2.36、4.75、13.2、19ミリメートルの各段階におけるふるい目通過量および、その通過質量の使用割合 (%) の関係を、それぞれ横軸と縦軸の積算値でグラフ化した粒度曲線にて表したもので、粒度の分布によって混合物の種類が分類されている[24]
  7. ^ このようなアスファルト混合物の不連続になっている粒度のことをギャップ粒度(英語:gap-grading )と呼んでいる[33]
  8. ^ たわみ性を向上させた、骨材飛散抵抗性に強いポリマー改質アスファルトH型-Fが用いられる[17]

出典

  1. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 131.
  2. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 92.
  3. ^ a b 用語について”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  4. ^ 土木図解辞典編集委員会編著『土木図解辞典』彰国社、1999年8月10日、140頁。ISBN 4-395-10020-1。表4-1-17 「カラー舗装の種類」の材料等の欄を参照。
  5. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 187 「アスファルト量(アスファルトりょう)」
  6. ^ a b c アスファルト混合物の素材”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  7. ^ a b c d 峯岸邦夫 2018, p. 108.
  8. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, pp. 108–109.
  9. ^ a b c d e f g h i 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 133.
  10. ^ 峯岸邦夫 2018, pp. 92, 108–109.
  11. ^ a b c d 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 84.
  12. ^ a b c d e f g 6-1 アスファルト混合物とは?”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  13. ^ a b c d e f 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 134.
  14. ^ a b c d 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 83.
  15. ^ アスファルト混合材の素材”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  16. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 129.
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  18. ^ a b 石井一郎ほか 2003, p. 87.
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  20. ^ a b c d e f g h i j k l 用語集”. フジタ道路. 2019年11月6日閲覧。
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  22. ^ 丸山記美雄・安部隆二・熊谷政行「融雪期に発生する舗装のポットホールの実態と発生メカニズムの検討」 (PDF) 『寒地土木研究所月報』No.730、国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所、2014年3月、2 - 13頁。
  23. ^ a b c 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, pp. 46–47.
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  25. ^ a b c d e f g h i j k 6-3 一般的に使用されるアスファルト混合物”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s アスファルト混合物の種類と特長”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  27. ^ a b c d e 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 132.
  28. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 216 「密粒度アスファルト混合物(みつりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  29. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 206 「粗粒度アスファルト混合物(そりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  30. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 199 「細粒度アスファルト混合物(さいりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  31. ^ a b 藤田圭一監修 1993, p. 191 「開粒度アスファルト混合物(かいりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  32. ^ a b c d e f 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 135.
  33. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 194 「ギャップ粒度(ギャップりゅうど)」
  34. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 216 「密粒度ギャップアスファルト混合物(みつりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  35. ^ a b 藤田圭一監修 1993, pp. 199–200 「細粒度ギャップアスファルト混合物(さいりゅうどギャップアスファルトこんごうぶつ)」
  36. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 199 「再生加熱アスファルト混合物(さいせいかねつアスファルトこんごうぶつ)」
  37. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, pp. 130, 135.
  38. ^ a b アスファルト混合物の紹介”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  39. ^ a b c d 低炭素(中温化)アスファルト混合物”. 日本道路建設業協会. 2019年11月7日閲覧。
  40. ^ a b 中温化アスファルト混合物”. 佐藤渡辺. 2019年11月7日閲覧。
  41. ^ a b c d e f g h i j 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, pp. 86–87.
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  44. ^ 大粒径アスファルト舗装”. 大林道路. 2020年1月6日閲覧。
  45. ^ a b c d e f g h i j k 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 85.
  46. ^ 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 90.
  47. ^ 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 86.
  48. ^ a b c 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 92.
  49. ^ a b c 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 140.
  50. ^ a b 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 93.
  51. ^ a b 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 141.
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  54. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 214 「ホイールトラッキング試験(ホイールトラッキングしけん)」
  55. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 116.
  56. ^ a b 峯岸邦夫 2018, pp. 116–117.
  57. ^ a b アスファルト混合物の製造設備/再生骨材製造設備”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  58. ^ a b 7-1 製造工場(アスファルト混合所)”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  59. ^ a b 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 136.
  60. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 136.
  61. ^ a b c d 8-3 表基層の施工”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
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  64. ^ アスファルト混合物の施行例”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  65. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, p. 139.
  66. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 90.
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  68. ^ a b 峯岸邦夫 2018, p. 104.
  69. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 93.
  70. ^ a b 7-2 環境への取り組み”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。






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