アスファルト混合物 施工

アスファルト混合物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/05 01:31 UTC 版)

施工

アスファルト合材の敷き均しを行うアスファルトフィニッシャ。ダンプトラックからアスファルト混合物が供給される。

アスファルト混合物の敷き均しは、工事の規模によって人力工法と機械工法が選択されるが、ほとんど場合は機械工法によって行われている[61]。このとき、アスファルト舗装工事現場へダンプトラックで運び込まれたアスファルト混合物は、一般に平らに転圧されてアスファルト乳剤が散布された路盤または基層の上に、舗装工事で使用されるアスファルトフィニッシャという重機を用いて、平坦で所定の幅や厚さが得られるように均一に敷きならされる[62][61]。このときのアスファルト混合物の温度は、一般に110 - 140度程度であり[60]、敷き均し時の温度が約110度を下回らない温度で転圧し締め固める[11]。アスファルト舗装の表層と基層には、それぞれ粒径が異なるアスファルト混合物が用いられる[63]。アスファルトフィニッシャは、アスファルト混合物を積載するホッパーと、再加熱しながら敷均しをするスクリードを装備する専門的な機械で[62]、ダンプトラックで運び込まれた合材がホッパーへ供給される[64]。タンパやスクリードで初期の締め固めを行うので、所定の厚さで施工が可能となる[45]

敷き均されたアスファルト混合物は、舗装の仕上げで十分に締固めを行う必要から、ローラ式の機械であるロードローラー(コンバインドローラ)やタイヤローラ、平板式の機械である振動コンパクターが用いられて所定密度になるまで転圧施工され[62][60]、継ぎ目転圧、初期転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順で行う[45]。初期転圧では、アスファルト混合物の温度が110 - 140度ぐらいの時に鉄の車輪を持った10 - 20トンのロードローラーによる2回程度の転圧で合材を安定させ、二次転圧でゴムのタイヤを持った8 - 20トンのタイヤローラまたは、6 - 10トンの振動ローラーでこね返し作用を抑えて、混合物に含まれる粗骨材の配列を安定させる[61][45][65]。二次転圧が終了するときのアスファルト混合物の温度は70 - 90度ほどある[45][65]。初期転圧時の温度が高かったり、転圧し過ぎたりすると舗装表面にヘヤークラックや不陸が生じてしまうことがある[45]。最終の仕上げ転圧は、不陸の修正とローラマークを消すために行うものであり、ロードローラーとタイヤローラを用いて2回程度行われる[61][65]。施工中のアスファルト混合物は温度が低いと固まってしまい、固まった状態では締固めが不十分となってしまうことから、製造プラントから運搬されてくる合材の到着時刻の把握が重要となる[66]

近年では、地中生態系への影響や地下水枯渇などの環境問題に対応できる舗装として、透水性舗装排水性舗装といった舗装も行われており、これらに用いるアスファルト混合物は、表層に空隙の大きいアスファルト混合物を用いている[67]


注釈

  1. ^ アスファルト混合物中に含まれるアスファルトの質量比率のことをアスファルト量(英語: asphalt quantity )と呼び、混合物の全質量に対してアスファルトが占める質量を百分率 (%) で表される[5]
  2. ^ 岩石や玉石を破砕したもの[9]
  3. ^ 砕石、玉砕を製造するときに発生する破砕材をふるいにかけて、粒径2.36ミリメートル以下に選別した砂粒などの部分のこと[9]。品質管理上、シルト粘土を含まないことが重要となる[9][11]
  4. ^ ストレートアスファルトに、溶剤として揮発性の石油を常温で混ぜ合わせて液状にしたアスファルトのこと[18]。性質として使用前に溶剤が分離せず凝固を生じない[18]。溶剤が揮発することにより硬化が始まり、強度が増す特徴を持つ[19]。常温混合物のバインダーとして利用される[19]
  5. ^ 道路交通で劣化したアスファルト舗装面に局所的に開いた、径10 - 100センチメートルほどある穴のこと[20][21][22]
  6. ^ 各種アスファルト混合物の粒度範囲(合成粒度)は、混合物に占める19ミリメートル以下の範囲の骨材粒度のうち、0.075、0.15、0.3、0.6、2.36、4.75、13.2、19ミリメートルの各段階におけるふるい目通過量および、その通過質量の使用割合 (%) の関係を、それぞれ横軸と縦軸の積算値でグラフ化した粒度曲線にて表したもので、粒度の分布によって混合物の種類が分類されている[24]
  7. ^ このようなアスファルト混合物の不連続になっている粒度のことをギャップ粒度(英語:gap-grading )と呼んでいる[33]
  8. ^ たわみ性を向上させた、骨材飛散抵抗性に強いポリマー改質アスファルトH型-Fが用いられる[17]

出典

  1. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 131.
  2. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 92.
  3. ^ a b 用語について”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  4. ^ 土木図解辞典編集委員会編著『土木図解辞典』彰国社、1999年8月10日、140頁。ISBN 4-395-10020-1。表4-1-17 「カラー舗装の種類」の材料等の欄を参照。
  5. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 187 「アスファルト量(アスファルトりょう)」
  6. ^ a b c アスファルト混合物の素材”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  7. ^ a b c d 峯岸邦夫 2018, p. 108.
  8. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, pp. 108–109.
  9. ^ a b c d e f g h i 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 133.
  10. ^ 峯岸邦夫 2018, pp. 92, 108–109.
  11. ^ a b c d 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 84.
  12. ^ a b c d e f g 6-1 アスファルト混合物とは?”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  13. ^ a b c d e f 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 134.
  14. ^ a b c d 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 83.
  15. ^ アスファルト混合材の素材”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  16. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 129.
  17. ^ a b c d e 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 130.
  18. ^ a b 石井一郎ほか 2003, p. 87.
  19. ^ a b 井町弘光「カットバックアスファルト」 (PDF) 『アスファルト』第26巻 第136号、社団法人日本アスファルト協会、1983年7月、28頁。
  20. ^ a b c d e f g h i j k l 用語集”. フジタ道路. 2019年11月6日閲覧。
  21. ^ 寒地道路保全チーム「積雪寒冷地の道路舗装の損傷について」 (PDF) 『寒地土木研究所月報』No.714、国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所、2012年11月、52頁。
  22. ^ 丸山記美雄・安部隆二・熊谷政行「融雪期に発生する舗装のポットホールの実態と発生メカニズムの検討」 (PDF) 『寒地土木研究所月報』No.730、国立研究開発法人土木研究所 寒地土木研究所、2014年3月、2 - 13頁。
  23. ^ a b c 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, pp. 46–47.
  24. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, pp. 132–133.
  25. ^ a b c d e f g h i j k 6-3 一般的に使用されるアスファルト混合物”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  26. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s アスファルト混合物の種類と特長”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  27. ^ a b c d e 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 132.
  28. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 216 「密粒度アスファルト混合物(みつりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  29. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 206 「粗粒度アスファルト混合物(そりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  30. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 199 「細粒度アスファルト混合物(さいりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  31. ^ a b 藤田圭一監修 1993, p. 191 「開粒度アスファルト混合物(かいりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  32. ^ a b c d e f 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 135.
  33. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 194 「ギャップ粒度(ギャップりゅうど)」
  34. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 216 「密粒度ギャップアスファルト混合物(みつりゅうどアスファルトこんごうぶつ)」
  35. ^ a b 藤田圭一監修 1993, pp. 199–200 「細粒度ギャップアスファルト混合物(さいりゅうどギャップアスファルトこんごうぶつ)」
  36. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 199 「再生加熱アスファルト混合物(さいせいかねつアスファルトこんごうぶつ)」
  37. ^ 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, pp. 130, 135.
  38. ^ a b アスファルト混合物の紹介”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  39. ^ a b c d 低炭素(中温化)アスファルト混合物”. 日本道路建設業協会. 2019年11月7日閲覧。
  40. ^ a b 中温化アスファルト混合物”. 佐藤渡辺. 2019年11月7日閲覧。
  41. ^ a b c d e f g h i j 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, pp. 86–87.
  42. ^ a b c d e f 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 88.
  43. ^ a b 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 89.
  44. ^ 大粒径アスファルト舗装”. 大林道路. 2020年1月6日閲覧。
  45. ^ a b c d e f g h i j k 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 85.
  46. ^ 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 90.
  47. ^ 青山咸康・服部九二雄・野中資博・長束勇編 2003, p. 86.
  48. ^ a b c 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 92.
  49. ^ a b c 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 140.
  50. ^ a b 道路保全技術センター道路構造物保全研究会編 2010, p. 93.
  51. ^ a b 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 141.
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  53. ^ a b c 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 139.
  54. ^ 藤田圭一監修 1993, p. 214 「ホイールトラッキング試験(ホイールトラッキングしけん)」
  55. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 116.
  56. ^ a b 峯岸邦夫 2018, pp. 116–117.
  57. ^ a b アスファルト混合物の製造設備/再生骨材製造設備”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  58. ^ a b 7-1 製造工場(アスファルト混合所)”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  59. ^ a b 宮川豊章・岡本亨久・熊野知司 2015, p. 136.
  60. ^ a b c d e 峯岸邦夫 2018, p. 136.
  61. ^ a b c d 8-3 表基層の施工”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。
  62. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, pp. 114–115.
  63. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 110.
  64. ^ アスファルト混合物の施行例”. 日本アスファルト合材協会. 2019年11月4日閲覧。
  65. ^ a b c 峯岸邦夫 2018, p. 139.
  66. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 90.
  67. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 98.
  68. ^ a b 峯岸邦夫 2018, p. 104.
  69. ^ 峯岸邦夫 2018, p. 93.
  70. ^ a b 7-2 環境への取り組み”. 日本アスファルト協会. 2019年11月4日閲覧。






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