アスパラギン酸アミノ基転移酵素 アスパラギン酸アミノ基転移酵素の概要

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アスパラギン酸アミノ基転移酵素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/08 00:55 UTC 版)

アスパラギン酸トランスアミナーゼ
Escherichia coliのアスパラギン酸トランスアミナーゼのリボンモデル。中央の分子は補因子のピリドキサールリン酸[1]
識別子
EC番号 2.6.1.1
CAS登録番号 9000-97-9
データベース
IntEnz IntEnz view
BRENDA BRENDA entry
ExPASy NiceZyme view
KEGG KEGG entry
MetaCyc metabolic pathway
PRIAM profile
PDB構造 RCSB PDB PDBj PDBe PDBsum
遺伝子オントロジー AmiGO / QuickGO
検索
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主にミトコンドリア内で働くm-AST細胞質基質で働くs-ASTに分類される。

人体では、肝細胞をはじめとして赤血球心筋骨格筋などに分布する。これらの細胞が破壊された場合には血液中に流出するため、血中濃度を測定することで肝障害などの程度を知ることができる(詳細は逸脱酵素を参照)。

臨床検査におけるAST

逸脱酵素としての性質から、肝機能障害の程度を評価する目的で血清中のAST濃度測定が行われる。ただし、肝障害のマーカーとしては、肝細胞が破壊し尽くされるとむしろ流出量は低下する点と、肝臓以外の障害(心筋梗塞溶血性貧血)でも上昇しうる点に留意すべきである。肝臓に特異的という点では、ALT(GPT)も同時に評価することが有用となる。

基準値

単位は IU/l(国際単位/l)で示され、10 - 40程度が基準値となる。51以上になると精密検査が必要と判定され、医療機関への受診が強く推奨される(特に100以上の場合は早急な受診が必要である)。ただし、基準値内であれば「正常である」ということはできない。なお、基準値が検査機関や医療機関ごとに異なっていることに関し、施設間の差を無くす必要があると指摘されている[2]

異常値

肝炎脂肪肝肝硬変肝腫瘍、などの肝疾患ではAST、ALTの上昇が特徴的であり、100以上、ときに500以上を示す。なかでも、アルコール性肝炎や肝硬変、肝腫瘍ではASTの上昇が目立ち、ウイルス性肝炎や脂肪肝ではALTの上昇が目立つとされている。膠原病の1種である多発性筋炎(PM)、皮膚筋炎(DM)でもAST(GOT)の上昇を認める。しかし、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)では、有意な上昇を経ずに肝臓ガンを発症していることもある[3]

このほか、AST上昇時には心筋梗塞、溶血性貧血などが鑑別疾患にあがる(特にALTがあまり上昇せずASTのみが大きく上昇している場合)。採血時の溶血の可能性も考慮する必要がある。


  1. ^ PDB: 1AAMAlmo SC, Smith DL, Danishefsky AT, Ringe D (March 1994). “The structural basis for the altered substrate specificity of the R292D active site mutant of aspartate aminotransferase from E. coli”. Protein Eng. 7 (3): 405-12. doi:10.1093/protein/7.3.405. PMID 7909946. 
  2. ^ 岡上武, 水野雅之, 「肝機能検査、肝障害について─健診における問題点」『総合健診』 2015年 42巻 2号 p.307-312, 日本総合健診医学会 doi:10.7143/jhep.42.307
  3. ^ 医師なら必ずNAFLDに遭遇する…では見逃さないコツは? 日経メディカル 2020年7月30日


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