アケビ 人間との関わり

アケビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 14:43 UTC 版)

人間との関わり

アケビは、ミツバアケビ同様に蔓、葉、根、果実には薬草としての効能があると言われている。葉や果実、若芽は食用にする[8]。成熟した蔓は、を編むなどして工芸品の素材として利用される。

食用

秋に開裂した果実を採って、中の白い部分(種子を包む胎座)が、昔から山遊びする子供の絶好のおやつとして親しまれてきた。味は、白い果肉はとろりとした爽やかな甘みがあり、黒い種子は苦味があるので除かれる[9]。果皮はほろ苦く、内部にひき肉を詰めて油で揚げたり、味噌を詰めて焼いたり[9]、刻んで味噌炒めにするなど、こちらは山菜料理として親しまれている。主に山形県では、農家で栽培され、スーパーで購入することができる。

東北地方などでは、春の新芽[注釈 1]や、4月ころの若い葉を摘んで山菜として利用し、塩ひとつまみ入れた湯で軽く茹でて、お浸し和え物などにする[9]。その他、民間では葉を乾燥させてアケビ茶にする[8]

岩手県秋田県ではアケビの種子搾油し、食用油としていた地域がある。アケビは油分が豊富で、種子20リットルから油3リットルが採れていた[10]。かつては「食用油の王様」と呼ばれる高級品であったが、昭和初期には安価な食用油が広まり衰退した。2017年からは旧西木村(現仙北市)が中心となり復活が試みられ、2017年にふたたび商品化されるに至った[11][12]

生薬

茎(蔓)、果実ともに内臓の熱を取って尿を出す薬草である[5]。ただし、妊婦や胃腸が冷えやすい人への使用は禁忌とされる[5]。木質化した蔓には、配糖体のアケビンやカリウムイオンなどを含んでおり、カリウムイオンが人間の体内に残ったナトリウムイオン(塩分)を排除するとともに、尿の出をよくする利尿作用があることが知られており、利尿薬として用いる[9]

つる性の茎を輪切りにして乾燥させたものは、漢方木通(もくつう)という生薬である[8]日本薬局方に記載の定義による)。葉が落ちる11月頃に、直径1 - 2 cmの太さに木質化した蔓を採集して、厚さ2 - 3ミリメートル (mm) ほどに輪切りにして天日で乾燥させて調製される[9][8]。木通は、利尿作用、抗炎症作用、通乳作用などがあり、竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)などの漢方方剤に使われる[13]民間療法では、熱感があるときの急性腎炎、妊娠腎、脚気膀胱炎など、身体にむくみがあるようなときに、木通1日量5 - 20グラムを水500 - 600 ccで半量になるまで煎じて、食間3回に分けて服用する用法が知られている[9][8]

果実は8 - 9月に成熟したものを採って天日乾燥したものが、八月札(はちがつさつ)と称される生薬になる[5]。民間療法では、熱感がある尿管結石睾丸腫瘍に対する薬効が期待されて、乾燥果実1日量10グラムを水600 ccに入れて煎じ、3回に分けて服用する用法が知られる[5]。また果実は、果実酒にもなる[9]。熟した果実から果肉だけを取り出して、35度の焼酎720ミリリットルに対して果実300グラム分の果肉と、1個分の果皮を漬け込んで3か月密封保存して果実酒をつくり、1日盃1杯ずつ飲むと、利尿や頭痛に効果があるといわれている[4]

木通とまぎらわしいものに関木通(かんもくつう)というものがある。これはアケビ類とは別の植物(ウマノスズクサ属)であり、腎臓障害を起こすおそれのある成分アリストロキア酸が含まれている。名前が似ている上、中国などでは関木通を「木通」としていることもあるので十分な注意が必要である。「木通」を利用する場合は日本薬局方のものが無難である。


注釈

  1. ^ 山形県や新潟県などでは「木の芽」と呼ぶ。

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Akebia quinata (Houtt.) Decne.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月23日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Akebia quinata (Houtt.) Decne. f. polyphylla (Nakai) Hiyama” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 12.
  4. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 121.
  5. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 118.
  6. ^ a b c 大嶋敏明監修 2002, p. 31.
  7. ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 200.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 馬場篤 1996, p. 16.
  9. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 122.
  10. ^ 渡辺資仲「アケビ」『林業百科辞典』p7 日本林業技術協会 1984年
  11. ^ 池本敦「地域活性化を目指したアケビ種子抽出油脂研究会の活動」『ビックあきた』第300巻、財団法人あきた企業活性化センター。
  12. ^ 仙北の高級「あけび油」復活 100本限定で発売”. 朝日新聞 (2017年2月7日). 2020年4月29日閲覧。
  13. ^ 大塚敬節『漢方医学』創元社〈創元医学新書〉、1990年(原著1956年)、第3版、229・238・253頁。ISBN 4-422-41110-1


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