アケビ アケビの概要

アケビ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/19 14:43 UTC 版)

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アケビ
Akebia quinata
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
: キンポウゲ目 Ranunculales
: アケビ科 Lardizabalaceae
亜科 : Lardizabaloideae
: Lardizabaleae
: アケビ属 Akebia
: アケビ A. quinata
学名
Akebia quinata
(Houtt.) Decne.[1]
シノニム
和名
アケビ(木通、通草、山女)
英名
chocolate vine, five-leaf Akebia
品種
  • フタエアケビ A. q. f. diplochlamys
  • アオアケビ A. q. f. viridiflora

名称

アケビの名の由来は、秋に楕円形の果実がつき、熟すと縦に割れて白くて甘い果肉と黒い種子を覗かせる様子から、「開け実」の意味で名付けられたものである[4]。アケビは、地方によりアケビカズラ[5][6]、アクビ[5]などの方言名でもよばれている。中国植物名(漢名)は、木通(もくつう)と称される[5]

分布・生育地

日本北海道を除く、本州四国九州に分布し[7]、日当たりのよい山野に自生する[4][8]。やぶ地や、やや日陰がちな場所に樹木に巻き付いて生育する[6]

形態・生態

つる性の落葉性の本木低木)で[4][5]になって左巻きに他の植物などに巻き付き[8]、古くなると質化する。

は、短い柄を持つ楕円形小葉が5枚集まってつく掌状複葉で、長い葉柄をつけて蔓(茎)に互生する[4][8]。小葉は長さ3 - 6センチメートル (cm) の狭長楕円形をしている[3]

花期は春(4 - 5月)[7]雌雄同株、雌雄異花の植物で、淡紫色の花を咲かせる[3]。春先に伸びた新芽に、新葉の間から長い総状花序を出して垂れ下がり、柄の基部に1 - 3個の濃紫色で大きな雌花、柄の先端に多くの淡紫色で小さな雄花がつく[4][8]。雌花に長い花柄があり、暗紫色の萼片花被)が3枚つき、花弁はない[8]雄花の中央部には6本の雄しべミカンの房状に、雌花の中央部にはバナナの果実のような3 - 9本の雌しべが放射状につく[3]。雌花の柱頭(先端部)には、甘みを持った粘着性の液体が付いており、花粉がここに付着することで受粉が成立する。雌雄異花でも出さないので、受粉生態にはよくわかっていない点が多いが、雌花が雄花に擬態して、雄花の花粉を目当てに飛来する小型のハナバチ類を騙して受粉を成功させているのではないか、とする仮説がある。ハエ類が甘みを持った粘着質を舐めに来る際に受粉していると考えられる。

果期は9 - 10月[3]受粉に成功した個々の雌しべは、成長して果実液果)となり、1果柄に2 - 3個集まってつき[4][8]、長楕円形で6 cmほどまで成長して、熟すと淡灰紫色や黄褐色に色づく[8][3]。成熟した果実の果皮心皮の合着線で縦に裂開し、内部に乳白色で柔らかい果肉胎座)と、そこに埋もれた多数の黒い粒状の種子を裸出する[8]。種子は黒色の径5 - 6ミリメートル (mm) の偏楕円形で、エライオソームがつく[7]。この胎座の部分は甘くて可食でき[8]、様々な鳥類哺乳類に食べられて[7]、種子散布に寄与する。

アケビにつく昆虫

アケビを食樹として利用する昆虫として、ヤガ科の大型のであるアケビコノハが知られる。幼虫がアケビ類の葉を食べて育つが、静止時や外敵の刺激を受けたときに、背を丸めて胸部の眼状紋を誇示する独特の防御姿勢をとることが知られている。成虫は口吻が硬化しており、ブドウナシなどの果実にこれを突き刺して果汁を吸う、重大な果樹園害虫とされる。

他にアケビにつく昆虫で目立つのは、カメムシ目ヨコバイ亜目キジラミ科の小型昆虫であるベニキジラミである。幼虫がアケビの展開前の若い葉に寄生すると、小葉が二つ折りのまま展開できずに肥厚して虫癭となる。幼虫はこの中で吸汁して育ち、羽化して成虫になると外に出て自由生活を送る。成虫は体長2ミリメートルほどで、セミを小さくしたような姿。非常に鮮やかな紅色で、アケビの植物体上にいるとよく目立つ。

栽培

挿し木で繁殖することができ、棚を作り、アーチ状に仕立てる[8]

商業栽培では、品質に優れたミツバアケビ由来の品種が多く用いられる。安定した結実のため、人工授粉を行うことがある。自家不和合性があり、他品種との混植などが必要である。アケビとミツバアケビは交雑しやすいため、ミツバアケビ由来の品種に対し、アケビを授粉樹として用いることもある。3葉種と5葉種では熟期が2 - 4週間程度異なる。


注釈

  1. ^ 山形県や新潟県などでは「木の芽」と呼ぶ。

出典

  1. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Akebia quinata (Houtt.) Decne.” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月23日閲覧。
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Akebia quinata (Houtt.) Decne. f. polyphylla (Nakai) Hiyama” (日本語). BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2020年5月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f 西田尚道監修 学習研究社編 2000, p. 12.
  4. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 121.
  5. ^ a b c d e f g h 貝津好孝 1995, p. 118.
  6. ^ a b c 大嶋敏明監修 2002, p. 31.
  7. ^ a b c d 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2012, p. 200.
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 馬場篤 1996, p. 16.
  9. ^ a b c d e f g 田中孝治 1995, p. 122.
  10. ^ 渡辺資仲「アケビ」『林業百科辞典』p7 日本林業技術協会 1984年
  11. ^ 池本敦「地域活性化を目指したアケビ種子抽出油脂研究会の活動」『ビックあきた』第300巻、財団法人あきた企業活性化センター。
  12. ^ 仙北の高級「あけび油」復活 100本限定で発売”. 朝日新聞 (2017年2月7日). 2020年4月29日閲覧。
  13. ^ 大塚敬節『漢方医学』創元社〈創元医学新書〉、1990年(原著1956年)、第3版、229・238・253頁。ISBN 4-422-41110-1


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