ほうとう
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ほうとうと山梨県
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山梨県内では現在でも日常的な料理として認識されている[8]。後述するように、食生活の変化や若年夫婦の核家族化で、一般家庭で食卓に上る頻度は下がってきている。一般的に、料理店では1人分ずつ、鉄鍋で鍋料理や鍋焼きうどんのような体裁で供される。よって、県外の人から「うどんの一種」または「鍋料理」と認識される場合がある。しかし、県内の家庭では1人分ずつ小鍋で作ることは希で、家族分を大鍋で作り、どんぶりか味噌汁椀に一食分が盛られ主食として供される。味噌汁のごとく、汁物として飯に添えられることもある。よって、山梨県内ではあくまでも固有の料理、あるいは食事と捉えられている。
前述の通り、山梨県内では「ほうとう」はあくまで「ほうとう」であって、一般に言う「うどん」とは異なるものとして認識している。粉食文化の浸透から、山梨県ではほうとう以外にも、夏食べる冷麦を「おざら」、冬食べるうどんを「ゆもり」と呼びわけることがある。また、いわゆる「吉田のうどん」は、「ほうとう」とは全く異質の麺料理である。
山梨県内ではほうとうにカボチャを入れることが多い。冬至にはほうとうにカボチャを入れる。
かつては麺を打つところから家庭で行い、大鍋に大量に作れ、調理法が簡易であることから、大家族の食を賄うことができる日常食であった。麺の加減や煮込む具材など、家々毎に「おふくろの味」があった。食べきれず余って翌日に沸かし返した「ほうとう」は、とろみが出て味が熟れてくるので、作りたてよりそちらを好む人も多い。日常食としての「ほうとう」は麺よりも野菜の量が多く、対して小麦粉を消費する「ウドン」は特別な日(モノビ)や来客時に振舞われる贅沢な料理であると意識されており、両者の区別は明確であった。
戦後には高度経済成長に伴う産業構造の変化で農業が衰退し、米食が一般化すると、日常食としての地位は下がる。しかしながら、現在でも山梨県地方においては献立のひとつの選択肢である。スーパーマーケットにおいて固形出汁や既製品の味噌を始め、ほうとう向けの幅広麺が販売されていることから、自家用に麺を打つことも少なくなり、観光食ほうとうの影響も受け、製法や味も画一化される傾向にあり、日常食としての在り方は変化している。
現在では外食産業としてほうとうを扱う店が数多くある。一般的なほうとうのみを扱う店や、小豆ぼうとう(粉ぼうとう)や汁のベースにコチュジャンなどを使用したもの、麺に竹炭などを含めたもの、家庭では通例ほうとうの具材として使用しないカキやスッポン、カニを入れる店など多彩である。
ご当地グルメに応用する動きもある。山梨県笛吹市は料理研究家・西本淑子の助言を得て、ほうとう麺にラーメン風スープを組み合わせた「ラーほー」を考案[9]。鍋で煮込む本来のほうとうより早く調理でき、安価(1000円以下)な麺料理として市内飲食店で提供する[9]。
注釈
出典
- ^ “農山漁村の郷土料理百選”. j100s.com. 2021年4月12日閲覧。
- ^ “知らないと損? 山梨の味噌屋さんに「ほうとう」の作り方を聞いた”. マイナビニュース (2020年2月25日). 2021年4月12日閲覧。
- ^ 若神子のほうとう祭(文化遺産オンライン)
- ^ 『甲州食べもの紀行』、pp.68 - 69
- ^ a b 『甲州食べもの紀行』、p.70
- ^ 影山正美「ホウトウ」『山梨県史民俗編』(2003年)第二章「1日 1日のケの生活」第五節
- ^ 影山正美「観光食ホウトウの誕生」『山梨県史民俗編』第三章(2003年)「開発 観光開発と民俗」第三節
- ^ 石川尚子・北村由紀子・加藤征江 (2003) "郷土料理に対する富山大学学生の意識調査"日本調理科学会誌.36 (4) :421-430. doi:10.11402/cookeryscience1995.36.4_421
- ^ a b ほうとう×ラーメン=「ラーほー」新たなソウルフードに 山梨・笛吹産経新聞、2018年7月13日、2018年7月21日閲覧。
- ^ 高野悦子、「しなのの味」 『調理科学』 1971年 4巻 2号 p.101-105, doi:10.11402/cookeryscience1968.4.2_101
- ^ 煮ぼうとう 深谷市ホームページ 更新日:2016年12月8日
- ^ 『美味いぞ!セブン-イレブンの埼玉フェア』開催! - セブン-イレブン ジャパン・2010年10月27日
- ^ 「武州深谷煮ぼうとう」の商品化について 〜埼玉B級ご当地グルメ王決定戦とサークルKサンクスの連携事業〜 - 埼玉県・2012年1月17日
ほうとうと同じ種類の言葉
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