ふかひれ ふかひれの概要

ふかひれ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/29 05:50 UTC 版)

店頭にディスプレイされる最高級のふかひれ 天九翅

概要

中国でふかひれが食べられだしたのはの時代と言われている。潮州料理など、中華料理の高級食材として利用される。ほぐれた状態のふかひれをスープ点心の具として使うほか、ヒレの形のまま煮込む料理などがある。ジンベエザメウバザメのものが最も高級とされ、アオザメイタチザメなどのものも高級である。一般的には、ヨシキリザメのものが使用されることが多い。

日本は世界有数のふかひれ生産国であり、江戸時代にはナマコアワビと共に中国)へ輸出されていた[1]が、近年ではシンガポールインドネシアの生産量の方が上回っている。日本では気仙沼の水揚げが最も多いが、この多くはマグロ延縄漁業の際に釣れたサメからとられたものである。日本の気仙沼産が有名で且つ高級品として扱われるのは、加工技術が優れているためと言われる。日本は世界有数のふかひれ生産国ではあるが、最近では日本の漁船に従事する人にはフィリピン人やインドネシア人等が多くなり、彼らの国にも日本漁船が寄航する機会が増えた。この時に漁に従事したフィリピン人やインドネシア人が、ふかひれを持って下船する例が増えたために日本国内へ持ち帰られるふかひれは以前よりかなり減ったと言われている[要出典]

フカヒレ漁ではシャークフィニング英語版と呼ばれる漁法が動物愛護の観点から広く問題視されている。これは、サメからヒレだけを切り取り、その後サメを再び海に戻すという方法で、しばしば生きたままで戻され、泳ぐことができないため、そのまま死んでしまう[2]

また、フカヒレの国際取引のために捕獲されるサメ種の70%以上が絶滅の危機にある[3]

乾燥品の製法

ふかひれの天日干し(気仙沼)

生のふかひれを茹でるか鉄板で加熱してから、表面の鮫肌をブラシでこすり取り除く。油脂分を落とし天日干しにして、乾燥品が完成する。皮付きのまま乾燥にした加工品もある。

調理法

ふかひれ[4]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 1,431 kJ (342 kcal)
1.6 g
飽和脂肪酸 0.17 g
一価不飽和 0.12 g
多価不飽和 0.16 g
83.9 g
ビタミン
ナイアシン (B3)
(3%)
0.5 mg
パントテン酸 (B5)
(5%)
0.24 mg
ビタミンB6
(2%)
0.02 mg
葉酸 (B9)
(6%)
23 µg
ビタミンB12
(38%)
0.9 µg
ビタミンD
(7%)
1.0 µg
ビタミンE
(3%)
0.4 mg
ミネラル
ナトリウム
(12%)
180 mg
カリウム
(0%)
3 mg
カルシウム
(7%)
65 mg
マグネシウム
(26%)
94 mg
リン
(5%)
36 mg
鉄分
(9%)
1.2 mg
亜鉛
(33%)
3.1 mg
(3%)
0.06 mg
他の成分
水分 13.0 g
コレステロール 250 mg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[5]。別名: さめひれ、きんし 
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

調理する際は、乾燥したふかひれをまずネギショウガとともに茹で、さらに蒸した上で皮を剥き、水にさらす。このように下処理をしてから上手に煮込むと臭みが消え、軟骨魚特有の柔らかなゼラチン質の食感が楽しめる珍味となる。ふかひれ自体に味はほとんどない。

種類

ふかひれは形状と大きさにより価格が大きく異なる。形状により味が異なるわけではないが、一般的には元のヒレの形を保ったふかひれが高級品とされている。これは排翅の入手が困難である理由と、形状が保たれている排翅の方が加工済みの魚翅より品質を見極めやすい理由による。

  • 散翅(サンチー, sǎnchì)- 最初からバラバラにほぐれたヒレ。缶詰レトルトパックでも販売されており、一番安価で手ごろに食べられる。
  • 魚翅(ユイチー, yúchì)- 中国語でのふかひれの総称。または手のひら程度の小ぶりの物や、一本一本バラバラにほぐれた散翅を指すこともある。基本的にスープとして提供される。主に胸びれが使われる。排翅と比べると値段は安い。
  • 排翅(パイチー, páichì)- 扇のような形状を保った丸ごとの大ぶりなヒレ。基本的に姿煮として提供される。主に背びれと尾びれが使われる。大きさ・形・厚さで値段が大きく変わる。
  • 天九翅(ティェンジュウチー, tiānjiǔchì)- 最高級品。ジンベエザメとウバザメの背びれのみ天九翅になる。一本ずつの繊維がモヤシより太い。ジンベエザメとウバザメは捕獲と取引が国際的に規制されているため、天九翅は稀少である。特に形の良い天九翅は、しばしば料理店の権威を表す店頭ディスプレイとして展示される。

  1. ^ 松浦章:江戸時代に長崎から中国へ輸出された乾物海産物 関西大学東西学術研究所紀要, 第45輯, 2012.04, pp.47-76
  2. ^ a b Sharks”. WildAid. 20060521時点のオリジナルよりアーカイブ。20211006閲覧。
  3. ^ a b サメの世界的保護に関するワシントン条約の画期的採決、フカヒレ取引を規制”. 20221129閲覧。
  4. ^ 文部科学省 「日本食品標準成分表2015年版(七訂)
  5. ^ 厚生労働省 「日本人の食事摂取基準(2015年版)
  6. ^ “フカヒレ禁止の綱紀粛正、20兆円中国接待文化を変えるか”. 産経新聞社. (2013年12月16日). オリジナルの2014年5月4日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140504062827/http://sankei.jp.msn.com/world/news/131216/chn13121613220005-n2.htm 2014年5月28日閲覧。 
  7. ^ 世界初、イギリスがフカヒレの輸出入を全面禁止 サメの保護を促進”. ELEMINIST. 20211006閲覧。
  8. ^ Successful shark finning Citizens' Initiative presented to the Commission”. 20230113閲覧。
  9. ^ フカヒレ漁規制法案、米上院が可決(AFP.BB.News.2010年12月21日)
  10. ^ ハワイで「フカヒレ」の売買禁止…7月1日から・米国で初めて 2010/05/31 サーチナニュース
  11. ^ 「残酷だ」フカヒレ売買、所持禁止 中国系多い米加州(MSN産経ニュース 2011.10.08) Archived 2011年12月28日, at the Wayback Machine.
  12. ^ ホテル「ザ・ペニンシュラ」フカヒレ提供を停止”. 日本経済新聞社 (2011年11月21日). 2016年8月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  13. ^ シャングリ・ラ サステナビリティーの取り組み「シーフードポリシー」 全世界の81のホテル、リゾートでフカヒレ料理の提供を停止”. シャングリ・ラ・ホテルズ&リゾーツ (2012年1月17日). 2015年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月27日閲覧。
  14. ^ “無印が“販売中止運動”に反論、フカヒレ商品巡り署名活動起きる。”. ナリナリドットコム (ナリナリドットコム). (2013年6月9日). https://www.narinari.com/Nd/20130621878.html 2014年5月28日閲覧。 
  15. ^ “<サメ漁>気仙沼の漁師ら「反フカヒレキャンペーン」に憤り”. 毎日新聞社. (2014年5月25日). オリジナルの2014年5月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20140528072834/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140528-00000057-mai-soci 2014年5月28日閲覧。 
  16. ^ LUSHからのお知らせ - LUSH ONLINE


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