ひまわり (気象衛星)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 01:19 UTC 版)
概要
日本が運用している静止気象衛星であり、「ひまわり」の名称は、1号から7号までは愛称、8号以降は正式名称である。1号から5号までの正式名称は静止気象衛星GMS (Geostationary Meteorological Satellite) 、6号と7号は運輸多目的衛星MTSAT (Multi-functional Transport Satellite) 。
「ひまわり」は世界気象機関 (WMO) と国際科学会議 (ICSU) が共同で行なった地球大気開発計画 (GARP) の一環として開始された。得られた気象画像は、日本だけでなく、撮影地域内の他国にも提供している。
最新の「ひまわり」は、ひまわり9号であり、2022年12月13日より、気象観測を行っている[1]。また、ひまわり8号は同日に9号と交代し待機運用中となっている[2][3]。
衛星リスト
衛星名称 | 打ち上げ日 | 運用状況 | 打ち上げ場所 | 打ち上げロケット | 衛星バス |
---|---|---|---|---|---|
ひまわり (GMS) | 1977年7月14日 | 1989年6月30日 運用終了 | ケープカナベラル空軍基地[4] | デルタ2914型ロケット132号機 | HS-335 |
ひまわり2号 (GMS-2) | 1981年8月11日 | 1987年11月20日 運用終了 | 種子島宇宙センター | N-IIロケット2号機 (N8F) | HS-378 |
ひまわり3号 (GMS-3) | 1984年8月3日 | 1995年6月23日 運用終了 | N-IIロケット6号機 (N13F) | ||
ひまわり4号 (GMS-4) | 1989年9月6日 | 2000年2月24日 運用終了 | H-Iロケット5号機 (H20F) | ||
ひまわり5号 (GMS-5) | 1995年3月18日 | 2003年5月22日 本運用終了 2005年7月21日 待機運用終了 |
H-IIロケット3号機 | ||
(みらい) (MTSAT-1) | 1999年11月15日 | 打ち上げ失敗 | H-IIロケット8号機 | LS-1300 | |
ひまわり6号 (MTSAT-1R) | 2005年2月26日 | 2010年7月1日 本運用終了 2015年7月7日 待機運用終了 |
H-IIAロケット7号機 | ||
ひまわり7号 (MTSAT-2) | 2006年2月18日 | 2015年7月7日 本運用終了 2017年3月10日 待機運用終了 |
H-IIAロケット9号機 | DS2000 | |
ひまわり8号 (Himawari-8) | 2014年10月7日 | 2022年12月13日 待機運用中[5] | H-IIAロケット25号機 | ||
ひまわり9号 (Himawari-9) | 2016年11月2日 | 運用中[6] 2022年12月13日から本運用開始した[7][8] |
H-IIAロケット31号機 | ||
ひまわり10号 (Himawari-10) | (未定) | (計画中)[9] |
名称の由来
宇宙開発事業団 (NASDA) の初期の衛星は、初代理事長島秀雄の意向で花の名前をつけており、気象衛星「ひまわり」の愛称も植物のヒマワリから来ている[10]。植物のヒマワリの花は常に太陽に向かって花を咲かせ、時間と共に太陽を追尾し向きが変化するといわれている (実際にそのように動くのは芽生えから開花前のつぼみの時期までである) 。このためいつも地球を同じ方向から見ているという意味と、1日に1回地球を回るという意味で「ひまわり」という愛称が付けられた。これに因んで、東京都清瀬市にある気象庁気象衛星センターの前の市道は「ひまわり通り」と名付けられている。2015年運用開始の8号以降は、愛称ではなく衛星の正式名称として「ひまわり」が採用されている。
また、MTSAT-1は公募により「みらい」という愛称が選ばれていたが、打ち上げに失敗したため使用されずに終わった[11]。
注釈
- ^ 1995年5月23日、ケープカナベラル空軍基地よりアトラスIロケット (AC-73)にち打ち上げ。2005年11月19日気象観測終了、2007年6月14日運用終了。
- ^ 1988年3月末までは、高解像度FAX (HR-FAX) と区別するために使用されていた名称 (気象衛星資料利用の手引き 昭和63年3月 気象衛星センター) 。
出典
- ^ a b c d 『静止気象衛星「ひまわり8号」の運用開始日について』(プレスリリース)気象庁、2015年5月27日 。2015年7月7日閲覧。
- ^ a b 『「ひまわり9号」の待機運用の開始について』(プレスリリース)気象庁、2017年3月9日 。2021年12月2日閲覧。
- ^ “静止気象衛星 「ひまわり8号」から「ひまわり9号」にバトンタッチ”. 日本気象協会 (2022年12月13日). 2022年12月14日閲覧。
- ^ ひまわり JAXA 宇宙情報センター 2016年7月16日閲覧
- ^ (ひまわり9号のバックアップ)
- ^ (ひまわり8号のバックアップ)
- ^ “気象衛星がバトンタッチ ひまわり8号から9号に―気象庁”. jiji.com. 2022年12月13日閲覧。
- ^ 2022年12月13日14時(JST)から運用開始予定。“衛星観測は「ひまわり8号」から「ひまわり9号」へ”. 気象庁. 2022年11月11日閲覧。
- ^ “三菱電機が「ひまわり10号」受注 次期気象衛星”. 日経新聞. 2023年3月20日閲覧。
- ^ “なぜ静止気象衛星(せいしきしょうえいせい)の愛称は「ひまわり」になっているの?”. 2019年7月29日閲覧。
- ^ “ひまわり?MTSAT?気象庁と国交省命名で“衝突””. (2005年3月2日). オリジナルの2005年3月4日時点におけるアーカイブ。
- ^ 我が国における主な衛星・センサ一覧表,文部科学省
- ^ 『「ゴース9号 (パシフィックゴーズ) 」の運用開始について』(PDF)(プレスリリース)気象庁、2003年5月22日 。2014年1月11日閲覧。
- ^ 『米国の静止気象衛星「ゴーズ9号」の運用開始について』(PDF)(プレスリリース)気象庁、2003年4月22日 。2014年1月11日閲覧。
- ^ 『運輸多目的衛星新1号 (MTSAT-1R) の静止化完了及び愛称について』(PDF)(プレスリリース)気象庁、2005年3月8日 。2014年1月11日閲覧。
- ^ 『運輸多目的衛星新2号 (MTSAT-2) の静止化完了及び愛称について』(プレスリリース)気象庁、2006年2月24日 。2014年1月12日閲覧。
- ^ 『H-ⅡAロケット25号機による「ひまわり8号」の打上げ結果について』(プレスリリース)気象庁、2014年10月7日 。2021年12月2日閲覧。
- ^ 『H-ⅡAロケット31 号機による「ひまわり9号」の打上げ結果について』(プレスリリース)気象庁、2016年11月2日 。2021年12月2日閲覧。
- ^ 『平成26年度気象庁関係予算決定概要』(PDF)(プレスリリース)気象庁、2013年12月24日 。2014年10月9日閲覧。
- ^ 『静止地球環境観測衛星「ひまわり8 号及び9 号」の紹介』(プレスリリース)気象衛星センター技術報告、2013年2月 。2015年8月2日閲覧。
- ^ “よりによって五輪中にダウンとは…韓国の気象衛星故障し、日本の衛星に「ヘルプ!」”. (2018年2月13日). オリジナルの2018年2月13日時点におけるアーカイブ。
- ^ "Exelis delivers advanced weather satellite payload to commercial customer in Japan" (Press release). Exelis. 17 December 2013. 2014年1月7日閲覧。
- ^ “通信衛星による配信: HimawariCast”. 気象衛星センター (2014年9月3日). 2014年10月7日閲覧。
- ^ a b “三菱電など、「ひまわり8号/9号」の地上設備の据え付け工事を完了”. 日刊工業新聞. (2013年10月8日). オリジナルの2014年10月11日時点におけるアーカイブ。 2013年10月13日閲覧。
- ^ “気象衛星「ひまわり」、江別で管制 台風少ない道内に副局設置”. 北海道新聞. (2013年10月8日). オリジナルの2013年10月16日時点におけるアーカイブ。 2013年10月13日閲覧。
- ^ a b 『2015年予定の「ひまわり8号」運用開始に向けて 「ひまわり8号/9号」運用等事業 地上設備の現地工事完了のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)宇宙技術開発、2013年10月7日 。2014年1月12日閲覧。
- ^ 赤石一英「ひまわり運用等事業について」(PDF)『測候時報』第79巻第1-2号、気象庁、2012年、1-14頁、ISSN 1342-5692。
- 1 ひまわり (気象衛星)とは
- 2 ひまわり (気象衛星)の概要
- 3 GMSシリーズ
- 4 MTSATシリーズ
- 5 HIMAWARIシリーズ
- 6 関連項目
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