ののちゃん 概要

ののちゃん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/14 13:30 UTC 版)

概要

いしいにとって初めての(毎日掲載を前提とした)全国新聞連載作品である[注釈 1]。しかし、それまでの雑誌などでの作風を大きく変えることなく作品を執筆しているため、全国紙の新聞連載4コママンガとしては珍しい特徴が見られる(特に『となりの山田くん』初期)。その一つとして、主要キャラクターに関西弁を話す人物を複数設定したことが挙げられる(後年は脇役に岡山弁が増えていった)。新聞連載4コママンガとしては、オチが難解なエピソードも散見されるが、それが独特の味を生んでいる。また、有名人に対するあからさまな揶揄や、隠語に近い言葉を登場人物にしゃべらせるといった点もある(例として、以下のようなものがあった)。

  • 内閣総理大臣退任からまもない時期の海部俊樹を「英語をしゃべらない宮沢さん」とあからさまな形で揶揄した[1]
  • 角川春樹が麻薬取締法違反の容疑で逮捕された時、「クスリなしでもラリっとった」というセリフを登場人物(しげ)に言わせた[2]
  • 渡邉恒雄をモデルとするキャラクター「ワンマンマン」を登場させた。このエピソードの発表時は、読売新聞側が「特定個人(渡邉)を中傷するような漫画の掲載」を非難する事態になった[注釈 2]

日常漫画でありながら、SFやファンタジー的な要素も折り込まれており、山田家には何人かの妖怪が住み着いていて、ごくたまに当たり前のような顔をして出てくる。

兵庫県南部地震発生直後には、被災地の住民の安否を気遣う山田一家の様子が描かれた。その後も約5日間にわたり同地震関連の作品を立て続けに掲載している。一つの時事ネタをこれほど連続して描いたのは後にも先にもこの時のみであった。『ののちゃん』となってからは、有名人の揶揄も含め、時事ネタは減少している。東日本大震災発生時には、一転してこれに直接触れることを避け、架空の海難事故(下記)を背景設定に加えることで遺族心情などを描いている。

初期は振り仮名はついていなかったが、現在はカタカナで振り仮名がついている。

2010年の連載再開後は、のの子のクラスの学級新聞に載った4コマ漫画という体裁で別の漫画が描かれるケースが出ている。内容としては、初期のような実在人物を揶揄したもの[3]や、いしいの他の作品(「忍者無芸帖」[4]「嗚呼!栄冠は君には輝かない」[5]B型平次捕物帳[6]「仁も義もなき戦い」[7])と同一もしくは類似したものがある。この試みは月1~2回ペースで約1年続き、評論家の村上知彦は「ののちゃんのドーナツブックス(双葉社のいしいひさいち個人選集)化」と指摘したが、この指摘があった時点で試みは既に半年以上の中断(中断はその後さらに3年以上)に入っていた。

2011年5月11日掲載の第4908回では、10年前に紫雲出山丸が沈没し、犠牲者が出たことを思わせる内容の作品が掲載された。全集第8巻の人物紹介では一部登場人物の家族が海難事故で死亡したことが書かれている[注釈 3]。この設定、これに絡んだ女子野球部員島田、学級会新聞(他にのの子作の「地底人」もある)、ワンマンマン、ロカ、異次元美少女の富田月子など尖った試みはしばしば長く中断したり、また忘れたころに再登場したりしているケースが多く、3小ネタも減って徹底的に山田家ネタが続く時期もある。編集部との間での攻防については特に語られていないが、いしい自身はボツや修正の要求には応じているとしている。ロカ登場の(いったん)最終回となった5217回についてはHPで「朝日新聞のコアな読者にはたいへん評判がわるかった・・・」と終了告知がなされており、軋轢をうかがわせるものとなっている。

「となりのやまだ君」と「ののちゃん」の相違点

改題の際、設定と登場人物の大部分、世界観は同じであるが、配役が一部変更された。

  • 「となりのやまだ君」では、のの子の小学校の校長先生だったキャラクター(野村克也がモデル)が、「ののちゃん」では市民病院の院長として登場した。
  • 「となりのやまだ君」では、まつ子の甥っ子で売れない推理小説家だった田淵コースケが、「ののちゃん」では第三小学校の体育の先生の田淵先生として登場する。
  • 「となりのやまだ君」では、小さな工場の社長だったキャラクターが、「ののちゃん」では小学校の校長先生になっている。
  • たかしの兄(義男、のの子の伯父)は「となりのやまだ君」では近所でアパート経営をしていたが、「ののちゃん」では故郷で農業をしている。その後、同居していた母の死にともない、山田家の近くでパン屋を営む娘(田村ユリ子)夫婦と同居。気軽に行き来する、やまだ君時代に近い設定となった。
  • のぼるの学年の生徒数が500人(となりのやまだ君)から、200人、180人(ののちゃん)と減っている。
  • 「となりのやまだ君」では、キクチくんに2人の姉(後述)がいる設定だったが、「ののちゃん」では一人っ子になっている。

このほか、連載中にしばしば設定が変更されることがある。


  1. ^ 毎日掲載でないものとしては、1986年1月25日から朝日新聞の「ウイークエンド経済」欄(毎週土曜日)に連載した「経済外論」があった。また、地域限定の駅売り新聞として、1980年代の夕刊フジには断続的に作品を発表し、一時期は土曜日を除く(日曜は発行なし)毎日連載していた。
  2. ^ 読売・渡辺社長にケンカ売った?漫画、サンケイスポーツ、2001年1月29日(インターネットアーカイブのミラー)。この事情のゆえかは不明であるが、「ワンマンマン」頃のエピソードは発表から1年以上経ってようやく単行本が発売された。その後特に表面化した抗議などはなく、ワンマンマンは2010年代にも登場。近年はわがままなサンタクロース役が恒例化している
  3. ^ 5月11日は犠牲者168名、国鉄戦後五大事故に数えられる紫雲丸事故の発生した日でもある。
  4. ^ 連載開始以来の30年近くの間、努力しようとしたのは(自分から勉強しようとしたのは)10回と無い[要出典]
  5. ^ いしい自身の本家の伯父が進水式のくす玉作りを手がける大工だった(『[総特集]いしいひさいち』p115)。直接のモデルではないが、サッちゃんを連れて山田家を訪れる風景はこの伯父の姿とのこと。
  6. ^ 作品の中では、ポスターのすぐ下のベンチでまつ子とのの子がたこ焼きを食べながら、ポスターに気づかずにロカの話をしている場面が描かれている。
  7. ^ 悲しむのの子に「おばあさんはきっとたかしは天国に行ったと思うよ」と慰めている。
  8. ^ 玉野市中心市街地活性化協議会の「いしいひさいち部会」のウェブサイトに、いしい自筆の町の地図が掲載されているアーカイブされたコピー”. 2010年8月16日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2010年10月14日閲覧。
  9. ^ いしい自筆の地図ではこの駅は終着駅である。しかし、たまのの駅の隣の駅(該当回では「のたま駅」と表記)を「急行電車」が通過する回(2010年6月5日付)があり、作中では整合が取られていない。
  10. ^ 2部編成の話が挿入される場合もあり、その場合はサブタイトルの後ろに「その1」、「その2」が付く(第6話のみ「1」、「2」。58話のみサブタイトルの前に「続・」が付く)。






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