てんかん 薬物療法

てんかん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/01 07:34 UTC 版)

薬物療法

日本で使われている抗てんかん薬には、以下のものがある。

これらの薬を用いた治療は、てんかんの根本にある原因を治癒するものではなく、痙攣を抑制したり、発作が出にくくする対症療法であり、服用は長期間にわたる。ただし、長期にわたって発作がない場合は、症状に合わせて徐々に減量し、休薬することもある。

2007年現在、薬物治療においては、発作の臨床型によって薬を使い分けている。用いる薬物は、ナトリウムチャネルを抑制するもの、T型カルシウムチャネルを抑制するもの、GABAの抑制作用を増強させるものの3種類がある。ナトリウムチャネルを抑制するものとしては、カルバマゼピン(CBZ)やフェニトイン(PHT)がよく知られており、T型カルシウムチャネルを抑制するものとしてはバルプロ酸ナトリウム(valproic acid; VPA)、エトスクシミド(ザロンチン?)がよく知られている。GABAの抑制作用を増強させるものとしてはジアゼパム(DZP、DAP)やフェノバルビタール(PB)がよく知られている。基本的に、ナトリウムチャネルを抑制するものは部分発作と二次性全般発作に効果的であるが、欠神発作にはほとんど効かず、T型カルシウムチャネルを抑制するものは欠神発作に効果を発揮する。

このように分類されてはいるが、抗てんかん薬は薬理作用が多彩であるため、ほかの抗てんかん薬で代用可能なことが多く、副作用を制御するために第一選択ではない薬が投与されることが非常に多い。バルプロ酸は「T型カルシウムチャネルを抑制するもの」として分類されているが、ナトリウムチャネルも抑制する作用があり、部分発作の治療にも用いられる。

てんかんの治療目的は、痙攣重積発作の緊急性のてんかんからの回復、慢性てんかんの発作再発の防止である。

  • 緊急時の薬物療法

緊急時は呼吸抑制に注意しながらジアゼパムを、血圧の低下に注意しながらフェニトインをゆっくりと静注する。ジアゼパムは、めまい運動失調をはじめとする副作用が強く、急性期の治療以外では基本的には使わない。

  • 慢性期の薬物治療

原則として単剤投与でコントロールする。使用薬剤はてんかんの型によって異なる。傾向としては、バルプロ酸が全般発作向きであり、カルバマゼピンが部分発作向きである。

  • 単純部分発作:フェニトイン、カルバマゼピン
  • 複雑部分発作:カルバマゼピン、フェニトイン
  • 強直間代発作(大発作):バルプロ酸、フェニトイン、フェノバルビタール
  • 欠神発作(小発作):バルプロ酸、エトスクシミド
  • WEST症候群:ACTH、バルプロ酸、ニトラゼパム

かつては右半球切除、脳梁切断といったロボトミーのような外科的な手法による治療も試みられたが、投薬で症状の抑制が可能な事例も増えており、薬物療法による発作の制御が困難な場合を除き、外科的な処置が行われることはない。また、脳ペースメーカーによる深度てんかんの治療も行われつつある。


注釈

  1. ^ てんかんガイド 湯の川総合病院脳神経センター てんかん・機能外科部門 部長 川村哲朗、2ページ目、表紙説明 「ラファエロ・サンツィォの筆による「キリストの変容」には、てんかん発作を起こしている少年が描かれている。この作品は、イエス・キリストがてんかんを患う少年を治したというマタイ、マルコ、あるいはルカによる福音書に記されている逸話を題材とした」
  2. ^ このてんかんの記述は、同一の少年についてのものであり、マタイ、マルコ、ルカの3つの福音書に記述されている。マタイ17章15節 [1] マルコ9章18節 [2]、9章20節 [3]、ルカ9章39節 [4]、9章42節 [5]

出典

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